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パナソニックが世界初「Ultra HD Premium」認定の4K TV発表。4K BDプレーヤーも
(2016/1/6 08:36)
パナソニックは現地時間の5日、米ラスベガスで開催された「CES 2016」のプレスカンファレンスにおいて、世界で初めてUHD Allianceの「Ultra HD Premium」認定プログラムに準拠した4Kテレビ「DX900」を発表した。
パナソニック コンシューマーエレクトロニクス(PCEC)のジュリー・バウアー社長は、「パナソニックは、長年に渡って、独自の技術革新により、高精細技術のリーダーシップの地位にある。それは、今回の4K Ultra HDテレビでも同様である。2016年は、4K Ultraによる高精細の世界を楽しむことができるように、4Kの製品群を拡大する」と語った。
DX900の価格は未定。2015年度内に発売する予定だという。今年春には日本でも発売される予定だ。
また、米国市場において、4K Ultra HD対応のBlu-rayプレーヤーを発売するとしたほか、65型4K有機ELテレビ「CZ950 4K OLED UltraHD スマートテレビ」を米国で初公開した。CZ950の米国での発売は予定されていない。
CZ950 4K OLED UltraHD スマートテレビおよびDX900では、ハリウッドのカラリスト(映画の色を調整・管理するエンジニア)であるマイク・ソワ氏と連携。家庭内での視聴に最適化したチューニングを行なったという。
そのほか、4K PHOTO機能を搭載した1型センサー搭載のコンパクトデジタルカメラ「LUMIX ZS100」や、4K対応ビデオカメラ「MZ-VX981」および「MZ-ZX1800」、ハイレゾ対応ヘッドフォン「HD-10」を発表した。
なお、Technicsブランドの製品としては、昨年秋のIFAで発表したプレミアムオールインワンシステム「OTTAVA」、グランドクラス「G30シリーズ」、ターンテーブル「SL-1200G」、ヘッドフォン「T700」の米国市場への投入を発表。ターンテーブルの「SL-1200G」は、Technics50周年モデルとして、今年夏に投入するという。
自動車や住宅関連などBtoBソリューションも強化
一方、会見ではBtoBソリューションについても広く言及された。
パナソニック ノースアメリカのジョセフ・テイラー会長は、自動車関連事業および、スマートシティをはじめとする住宅関連事業における取り組みに注力していることを強調。「パナソニックは、自動車向けインフォテインメントシステムと、自動車向けバッテリ技術において、最大のプロバイダーである」などとした。
自動車関連事業では、2017年型「アキュラNSX」に、プレミアムオーディオシステムを搭載。「OneConnect」と呼ぶコンテンツ配信プラットフォームを通じて、ドライバーに各種情報を提供。電子コックピットを実現することになる。
さらに、2017年型「リンカーンMKZハイブリッド」に、「SYNCR3インフォテインメントシステム」を搭載することも発表。いずれも、CES 2016のパナソニックブースでデモストレーションを行なうという。
また、メジャーリーグのアトランタ・ブレーブスと提携し、SunTrustパークプロジェクトに参加。大型LEDスコアボードの表示のほか、デジタルサイネージ、ビデオモニター、統合セキュリティカメラ、ビデオ管理システムなどを導入するという。
スマートシティについては、デンバー市において、空港近辺における大規模都市開発に参加することを明らかにし、スマートホームにおける監視と制御、発電および管理、監視、スマート街路照明、遠隔医療などのソリューションを提供する。これらの展開を「Panasonic ONE CITY」と呼び、パナソニックが米国でスマートシティの展開を行なう初の事例となる。
会見には、デンバー市のマイケル・ハンコック市長が登場。パナソニックのスマートシティの取り組みについての期待を述べた。
さらにジュリー・バウアー社長は、パナソニックブースの展示について説明。「スマートホーム」、「パナソニックスタジアム」、「タウンスクエア」、「ビジネス/小売」、「モビリティ」の5つのゾーンに分けていることを示した。
その中でバウアー社長は、「米国の平均的な家庭では、照明やカメラ、モーションセンサーをはじめ、すでにインターネットに接続することができる100以上のエンドポイントがある。真のスマートホームの時代が到来している」とコメント。「強力なソフトウェアプラットフォームによって、これを統合でき、モバイルデバイスを通じた操作が可能になる。スマートホームソリューションでは、家族と家との対話が劇的に変化することになる」などとした。
さらに、家庭内のエネルギー使用量を測定し、利用者の習慣を学習することで、より効率的な利用を可能にするソリューション「ORA」も開発。スマートホームに関するパイロットプログラムを実施することを発表した。また、ORAに関しては、エクセルエナジーとの戦略的提携も発表し、これを同社のユーザーに対して導入することも示した。さらに、ハネウェルと提携し、ホームモニタリングシステムを拡張することも発表した。
パナソニック AVCネットワークスの榎戸康二社長は、Facebookとの提携を発表。光ディスクを使用したデータアーカイブシステム「freezeーray」を開発したことを明らかにした。
「Facebookは、ユーザーが投稿した膨大なデータから、常に写真やビデオを見られるようにしておく必要がある。だが、その一方で、コストを抑制し、エネルギーを節約しながら、これを実現する必要もある。米国においては、300万のデータセンターがあり、年間1000億Kwが使用されている。これは、米国の全電力使用量の2%以上になる。Facebookと連携して開発したデータアーカイブシステムは、アクセス頻度が低いコールドデータの蓄積に最適化したもので、ブルーレイやアーカイブディスク技術に基づいたパナソニック独自のキーデバイスを使用している。Facebookのシステムエンジニアは、freezeーrayが持つ長寿命で不変性があり、高いデータ密度と低コストを実現する能力を高く評価している。データセンター業界にとっても魅力的なソリューションになる」とした。
さらに、昨年8月に、米衛星ネットワークオペレーターのITCグローバルを買収した事に触れ、「世界中のほぼどこにでも、重要なデータを、高品質の衛星通信サービスとして提供することができる」としたほか、公共部門へのソリューション提供に加え、競技場、劇場、ショッピングモールなどのエンターテイメント分野、コールドチェーンシステムおよびPOS端末、監視カメラなどによって実現する小売分野においてもソリューションを提供。「M&Aを通じて、これらのビジネスを成長させていく」とした。
小売分野においては、マクドナルドでの多くの導入があるほか、先頃発表した業務用冷蔵システムメーカーの米ハスマンにより、米国の食品流通業界における事業拡大を進める姿勢を示した。
さらに、昨年、米ラスベガスのベラッジオホテルの大規模噴水を使用し、70フィートの水の壁に3D画像の巨大なプロジェクションマッピングを使って歌舞伎を投写した実績や、今年開催されるリオデジャネイロオリンピックにおける映像支援、および開会式・閉会式が行なわれるマラカナスタジアムで、100以上の高性能デジタルプロジェクタを活用した演出支援を行なうことなどを示した。
榎戸康二社長はさらに、タフパッドの新製品として「FZ-Q1」も発表。「企業が必要とする信頼性、使いやすさ、セキュリティを実現するデバイスである」と位置づけた。
また、サイバーセキュリティについても言及。シマンテックと提携し、ネットワーク接続されたクルマのセキュリティを実現するソフトウェアモジュールを組み込むという。「昨年9月にソフトを発表以来、自動車業界から大きな反響がある。今後、日本の自動車メーカーから採用されることになるだろう。今後も、幅広く展開していく」と語った。