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パナソニック、約10万円で4K、あとから手ブレ補正/ズームも可能なビデオカメラ

 パナソニックは、ビデオカメラの新モデルとして、4K撮影に対応した3モデルを1月21日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は「HC-WXF990M」が145,000円前後、「HC-WX990M」が125,000円前後、「HC-VX980M」が10万円前後。全モデル64GBのメモリを内蔵する。

4K撮影対応でファインダーも備えた「HC-WXF990M」

 いずれも4K撮影が可能なモデルで撮像素子や搭載しているレンズは同じ。機能差は型番で表現されており、Xが4K、Fがファインダー搭載、Wがワイプ撮り機能搭載、Vがワイプ撮り無しとなる。WXF990Mはファインダー搭載でワイプ対応、WX990Mはファインダー無し。VW980Mはファインダーとワイプ非搭載となる。カラーバリエーションはWXF990MとWX990Mがブラックのみ、VX980Mはブラウンとホワイトを用意する。

ファインダーを備えた「HC-WXF990M」
左が「HC-WXF990M」、右はファインダーの無い「HC-WX990M」
「HC-VX980M」のホワイトモデル。ワイプ撮り用のカメラを搭載していない
「HC-VX980M」のブラウンモデル

 いずれのモデルも撮像素子は1/2.3型のMOSで、有効画素数は4K動画撮影時で829万画素(16:9)。レンズは35mm換算で30.8~626mm(4K動画で傾き補正OFF時)。F値はF1.8~3.6。

 新モデルの特徴は、4K撮影対応モデルを従来の1機種から3機種に拡充させ、実売10万円前後で購入できるVX980Mも“4K普及モデル”としてラインナップしている事。さらに、撮影後に失敗した部分を補正したり、編集できる「あとから補正」機能を充実させた事。

 全モデルで光学式の手ぶれ補正機能を備え、傾き補正と5軸ハイブリッド手ブレ補正機能が利用可能。新モデルではこれに加え、「あとから手ブレ補正」を導入。4K解像度かつ広角で撮影しておいた映像を元に、そこからフルHDの映像に変換する際に、4Kの高解像度を手ぶれ補正用の余白として活用、ブレを抑えたフルHD映像に変換できる。

「あとから手ブレ補正」のイメージ

 「あとから追っかけ」も同様で、4K・広角で撮影した映像から、顔認識などを使って追い駆けたい被写体を中心としたフルHD映像に変換できる。例えば、幼稚園の演劇などを広角で4K撮影しておき、そこから我が子を中心に切り出したフルHD動画に変換したり、隣の友達を中心としたフルHD動画に変換するといった事も可能。ペットの犬やネコなど、動きが読めない被写体の撮影でも有効だという。

あとから追っかけ解説動画

 4K広角動画から、特定の部分を切り出す際に、光学ズームでは難しい、指定した部分に滑らかにズームしていくフルHD映像を創りだす「あとからズーム」、4K映像の一部分から一部分へ滑らかにパンするフルHD映像に変換する「あとからパンニング」なども利用できる。こうした編集はビデオカメラ単体で行なえる。

「あとから追っかけ」のイメージ
「あとからズーム」のイメージ
「あとからパンニング」のイメージ

 4K動画から800万画素の静止画を切り出して保存する「4K PHOTO」も備え、ベストシーンとして使える写真をカメラが自動的にピックアップしてくれる。

「4K PHOTO」ボタン

WXF990Mはシネマライク効果が特徴

 最上位のWXF990Mは、よりこだわった映像作品を作るための機能として「シネマライク機能」を装備。

WXF990M

 4つの機能で構成されており、フレームレートを撮影中に変更してスポーツなどで効果を出す「スロー&クイック」、4KからフルHDに変換する際に低速ズームアップして映画のような雰囲気を出す「スローズーム」、被写体のサイズを変えずに画角を変えて背景だけをズームさせる「ドリーズーム」機能を用意。いずれもフルHD映像のみで利用できる機能となる(スローズームは4K撮影し、フルHD変換時に指定する機能)。

ドリーズーム機能のイメージ

 この中の「ドリーズーム」は、カメラを台車に乗せて被写体から遠ざけたり、近づけたりしながら、同時にレンズをズームイン/アウトさせ、被写体のサイズを変えずに背景の画角を変える撮影手法を意味している。だが、一般のビデオカメラユーザーが台座や台座を移動させてくれるスタッフなどを用意するのは困難。そこで、被写体(人物)に協力してもらい、被写体が自分の脚でカメラに近づくと、カメラ側が顔認識を使って被写体のサイズが変わらないようにズームを操作する技術となる。

HC-WXF990Mはファインダーを備えている

ワイプ撮り機能も進化

 HC-WXF990MとHC-WX990Mは液晶モニタの端にもう1つのカメラを備え、メインカメラの映像とは異なる画角の映像を同時に撮影する「ワイプ撮り」機能を搭載。従来モデルから進化しており、本体のワイプカメラで撮影した映像を小画面で表示するのに加え、スマートフォンとワイヤレスで連携、スマホのカメラで撮影した小画面を記録する事もできる。

液晶モニタの端にもう1つのカメラを備え、「ワイプ撮り」が可能
ワイプ撮りのイメージ

 2画面のワイプ表示が可能で、最大3台のスマホと接続でき、小画面として使うカメラを選択できる。

 ワイプ撮り用カメラの仕様は、撮像素子が1/4型MOS。焦点距離が37.2mm(35mm換算)、F値はF2.2。

その他撮影機能も進化

 逆光撮影時に、露光時間の異なる2枚の画像を合成し、色潰れのない映像を撮影するハイダイナミックレンジ動画(HDR動画)機能も搭載。従来モデルから採用しているものだが、利用するためのメニュー階層が深かったのを改善。新モデルでは本体の側面に専用ボタンを設け、ワンタッチで簡単に設定できるようになっている。

 液晶モニタは3型で約46万画素。HC-WXF990Mは0.24型のビューファインダーも備えており、画素数は155万画素。ファインダーはスライド、チルト機構を備えている。

 全モデル64GBのストレージメモリを内蔵。SDカードスロットも備えており、128GBまでのSDXCカードが利用可能。

 撮影映像は3,840×2,160/30p、3,840×2,160/24p、1,920×1,080/60pなどに対応。記録方式はAVCHD 2.0、MP4/iFrame。2160/30pでは最大ビットレート72Mbpsで撮影可能。無線LAN機能はIEEE 802.11b/g/nに準拠し、2.4GHz帯を利用する。

 外形寸法は、HC-WXF990Mが68×163×78mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約405g。HC-WX990Mが65×161×73mm(同)で約360g、HC-VX980Mが65×141×73mm(同)で約352g。

(山崎健太郎)