CEATEC JAPAN 2009【三菱電機編】

82型3DリアプロTVやレーザーTV、155型有機EL
20万を切るフルHD DLPプロジェクタを国内販売


三菱電機ブース

会期:10月6日~10月10日

会場:幕張メッセ

入場料:大人1,000円/学生f500円
    (事前登録で無料/最終日は無料)

 三菱電機のブースでも、様々な3D表示技術が展示されている。大きなスペースを割かれていたのは北米で市販されている82型のフルHD DLPリアプロテレビ「WD-82837」を使った3Dデモ。同モデルは120Hz駆動に対応しており、標準で3D表示機能を用意。左右の眼用の映像を各60Hzで表示し、アクティブシャッター方式の眼鏡で見ることで、高精細な3D表示が楽しめる。国内販売はされていないが「市場動向などを見ながら(国内販売も)検討していきたい」という。

 また、学校や企業向けのデータプロジェクタとなるが、3D対応のフロントプロジェクタも参考展示している。こちらも120Hz対応で左右眼用の映像を各60Hzで表示し、アクティブシャッター眼鏡で見る。DLPプロジェクタで、パネル解像度はXGA。輝度は4,500ルーメンで、年内発売を予定。価格は40万円を切る見込み。

 

撮影禁止だったため遠景だが82型フルHD DLPリアプロの3Dデモコーナーこちらも実機は撮影できなかったが3D表示対応のDLPプロジェクタも登場した

 気になるのは「学校における3D映像へのニーズ」だが、「海外の学校では科学や理科の授業で3D映像が積極的に使われている」という。しかし、日本市場ではまだそこまでではないため、「飛行機のパイロット養成所などへの導入も想定している」という。


■ 155型の有機EL

 

試作された155型の有機ELディスプレイ
 三菱のブースで最も注目を集めていたのは有機EL。といっても、テレビ向けの技術ではなく、スタジアムや競馬場などに同社が導入している大型映像装置「オーロラビジョン」の技術を活かしたもので、世界で初めて有機EL方式のスケーラブルディスプレイの試作機を展示している。

 256ピクセルを1単位とする有機ELパネルを、1列に4枚組み合わせたものを「1ユニット」とし、それを好きなように並べることで、縦長や横長、超巨大なディスプレイなど、好きな形状/サイズが実現できるのが特徴。試作機はユニットを720個(2,880パネル)並べて155型(1,920×3,456mm/縦×横)のディスプレイとしている。解像度は640×1,152ピクセル。

 画素ピッチは約3mmあるが、2m以上離れるとほとんど気にならない。有機薄膜を陽極と陰極で挟み込んだ簡単な構造を持つ自発光型で、薄型軽量なのが特徴。併せて開発された高画質駆動の制御技術と高精度機構系により、高画質/高輝度/高コントラストを実現したという。試作機の奥行きは81.5mmで、同社LED型のオーロラビジョンと比べ4分の1になっている。また、パネルを組み合わせた際の黒い境目(目地)が少なく、超大型にした場合も、シームレスな表示ができるのが特徴。


 

女性が手にしているのが有機ELの1ユニットこのユニットを720個組み合わせて作られたのが155型の試作機画面をアップで撮影したもの。画素ピッチは3mmあるが、2m以上離れれば気にならない

 

直角や曲面など、様々な形状に配置できるのが特徴
 薄さを活かし、直角の壁や、湾曲した柱などにも配置することが可能。そのため、街頭ビジョンやスタジアムのディスプレイ、空港の案内板といった従来用途以外に、湾曲した通路の天井に配置したり、レストランの横壁全面に配置して森林の映像を表示し“外で食事をしているような店”にする事も可能だという。

 開発は継続されており、試作機の最大輝度は1,200cd/m2だが、目標輝度は1,500cd/m2。長寿命化の研究も進められている。「開発完了と受注受付開始時には改めてアナウンスする」としており、「従来のデジタルサイネージの枠を越えた、様々な活用ができるディスプレイとして提案していきたい」という。


 

利用イメージ。レストランの全面に有機ELを配置。直角になっている所にも配置可能だ有機ELに森林や青空を表示すれば、屋外で食事している気分が味わえる
ショッピングモールなどでの配置イメージ薄型軽量を活かし、大胆にモールの中央に配置し、滝が流れる映像を表示すれば、モールの中に本物の滝が出現したように見える

□ニュースリリース
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2009/1002-b.htm


■ レーザーテレビの量産機を参考展示

 

レーザーテレビの展示コーナー
 さらに、2008年のCEATECで試作機が展示された「レーザーテレビ」が今年も登場。既に北米で発売されているもので、今年は65型の量産機が展示されている。

 1080p対応のDMDチップを使ったDLP方式のリアプロで、光源にランプではなく、光の3原色を構成する3つの半導体レーザーを採用しているのが特徴。純度の高い色再現性を誇っており、カラーホイールが不要になるのも特徴。120Hz駆動に対応し、前述のリアプロと同様に3D表示にも対応している。国内販売も検討されているが、現在のところ未定。


□関連記事
【2008年9月30日】CEATEC JAPAN 2008【三菱電機編】
-無線伝送やキューブ型BDレコーダなど。レーザーTVも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080930/ceatec06.htm
【2月15日】三菱、3原色レーザーによる「レーザTV」を本年中に発売
-65型を試作。「LCDやPDPでは不可能な鮮やかな映像」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080215/mitsu.htm

【2006年2月16日】三菱、「xvYCC」対応のレーザー光源プロジェクションTV
-3原色レーザーを採用。「従来と一線を画する画質」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060216/mitsu.htm



■ シアター向けのフルHD DLPフロントプロジェクタ

 ホームシアター向けフロントプロジェクタの新製品も展示。低価格なフルHD DLPプロジェクタとして「IFA 2009」などで出展された「LVP-HC3800」で11月下旬の発売を予定。オープンライスで、実売は20万円を切る見込み。IFA 2009でのスペックから輝度やコントラストが若干変わっているため、改めて仕様を記載する。

 0.65型、1,920×1,080ドットのフルHD DMDチップを搭載し、DarkChip 2技術を採用。カラーホイールは6セグメント(RGBRGB)の4倍速。輝度は最大1,200ルーメンで、コントラスト比は3,000:1。フル10bit処理のパネルドライバ「DDP3021」を採用し、グラデーション表現などの改善を図っている。

 

LVP-HC3800。フルHD DLPでリーズナブルな価格を実現する上位モデルのHC6800なども展示された

 レンズは光学1.5倍ズームで、投写サイズは50~300インチ。50型の最短投写距離は1.5m。デジタル台形歪み補正機能も備えている。720p/576p時代の同社DLPプロジェクタの置き換えを狙っており、LVP-HC900/910やLVP-HC3000/HC3100/HC1100と打ち込み角を揃えることで、天吊り金具を変えずに設置可能なのが特徴(ベースユニットのBR-2は流用できるが、プロジェクタとベースを接続する金具「BR-HC3800S/29,400円」は別途必要)。

 ランプ出力は230W。駆動音は約25dB。入力端子はHDMIを1系統と、コンポーネント(D-Sub15ピン共用)、S映像、コンポジットを各1系統装備。RS-232C端子も備えている。消費電力は330W。外形寸法は345×270×129mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.5kg。

□関連記事
【9月5日】【IFA2009】三菱、20万円以下のフルHD DLPプロジェクタ
-「HC3800」。パラマウントと協力しブース展開
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090905_313308.html


■ VISEOの新モデルも参考展示

 

実機は撮影できなかったが、VISEOの新モデル展示コーナー
 液晶ディスプレイ「VISEO」の新モデルも参考展示。VISEOでは、動画ブレの原因となる残像を軽減する「MPエンジンII」を搭載したモデルと、超解像技術「ギガクリア・エンジン」を備えたモデルが存在するが、参考展示モデルでは両方の機能を備えているのが特徴。「近いうちに正式発表する予定」だという。

 画面サイズは24.1型で、解像度は1,920×1,200ドット。HDMIを2系統備えるほか、D5端子も用意するなど、多彩な入力端子を装備しているのも特徴。

 

ほかにも、超小型プロジェクタで光源として使用する高出力半導体レーザーなども展示。写真は638nmタイプ。赤色光源として使うもので、鮮やかな表示を可能にするほか、TO-CANパッケージ品で業界最高クラスの光出力を実現している大容量エンクロージャを備えたDIATONEスピーカーを採用する液晶テレビ、REAL MZW300など、新製品のラインナップも展示HDDレコーダとBlu-ray Discレコーダを内蔵した液晶テレビ「REAL BHR300シリーズ」

(2009年 10月 6日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]