音展'09 レポート【秋葉原UDX編】

-シャープの3DTV。卵形SPや500円イヤフォンなど


秋葉原UDX会場

11月13~15日開催

会場:秋葉原UDX、富士ソフトアキバプラザ、秋葉原電気街

入場料:無料

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 in AKIBA 2009」(音展)が13日、東京秋葉原で開幕した。会期は11月13日~15日までの3日間。入場料は無料だが、Webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要。

 音展はパシフィコ横浜で開催されていた「A&Vフェスタ」が名称変更し、東京・秋葉原に場所を変え、ユーザー、メーカー、販売店、地域が一同に参画する形態へと進化させた回遊型の大型イベント。約80社が参加する。主催は社団法人日本オーディオ協会(JAS)。

 メイン会場は秋葉原UDX会場にある「音展スクエア」と、富士ソフトアキバプラザ会場の「音展オーディオルーム&ホームシアター館」で、秋葉原地域のオーディオ専門店や量販店、電気街も協力。連動イベントなどを開催している。

 ここでは秋葉原UDX会場を中心に、注目の展示や製品をレポートする。


■ シャープ

 

60型のフルHD 3Dテレビ
 UDX会場で最も注目を集めているのが、シャープブース。中でも60型のフルHD 3D液晶テレビの展示が人気を集めている。展示されている試作機は、CEATEC 2009やFPD Internationalなどで展示されたものと同じだが、秋葉原のような街中で気軽に見られるのは今回が初めてであり、買い物に来たついでに立ち寄った人々が3Dメガネをかける姿が多く見られた。

 同社が新開発したUV2Aパネルを使った3Dテレビで、LEDバックライトを採用。左右それぞれの目に向けた映像を、高速駆動の液晶で交互に表示するフレームシーケンシャル方式となっており、アクティブシャッター型のメガネで視聴する。駆動スピードは非公開。観賞の際は3Dの飛び出し具合だけでなく、フレームシーケンシャル方式でも十分な輝度が確保できている事にも注目したい。


 

アクティブシャッター式のメガネで視聴するLX1シリーズの60型も展示UV2A液晶の利点を解説するコーナー

 ほかにも、11月25日発売の「LED AQUOS」ことLX1シリーズの60型「LC-60LX1」を展示。黒の沈みなど、UV2A液晶の利点を解説するコーナーと共に、高画質をアピールしている。

 

AQUOSシリーズのデザインを担当する喜多俊之氏が、手掛けたLED照明も展示されている。和紙を使ったやわらかい光が特徴だ販売店との連動イベントも実施。LED AQUOSやAQUOSオーディオを協賛店舗で購入すると、時計付のリモコンラックがブースでプレゼントされる

■ パイオニア

 TADのSACD/CDプレーヤーの記事でも紹介したとおり、パイオニアは富士ソフトアキバプラザ会場に本格的な試聴ルームを設けているが、UDX会場の方にも、様々な製品を紹介する大型ブースを用意している。

 11月中旬に発売する、iPodデジタル入力対応の一体型2.1chスピーカー「NAS5」(XW-NAS5)や、アンプも内蔵したマルチミュージックレシーバ「PFX-Z10」と小型ブックシェルフ「S-71B-LR」とのセット提案、コードレスヘッドフォン「SE-DRS3000C」、「SE-DHP3000」など、ライフスタイル別に様々な新製品を展示。

 

iPodデジタル入力対応の一体型2.1chスピーカー「NAS5」(XW-NAS5)アンプも内蔵したマルチミュージックレシーバ「PFX-Z10」

 ノイズキャンセリングヘッドフォンの新モデル「SE-NC70S」や、「SE-MJ71」などのヘッドフォン新製品も試聴できる。

 

ノイズキャンセリングヘッドフォンの新モデル「SE-NC70S」シアターシステムや、インウォールスピーカーなど、様々な製品を展示している

■ CAVジャパン

 豚やサッカーボール型など、個性的なiPodスピーカー「IPIGLET」が迎えてくれるCAVジャパンのブースでは、これらiPodスピーカーの新モデルを参考展示している。

 宇宙人か、パックマンの敵キャラのようにも見える、愛らしい風貌が特徴だが「中国本社から届いたばかりで、何をデザインしたものかはわからない」という。仕様は従来の「IPIGLET」とほぼ同じになる模様だ。

 

IPIGLETシリーズ。パンダ、豚こちらはサッカーボールを模したモデル参考出品のスピーカー。宇宙人なのか、スライムなのかは不明

 さらに、Bluetoothレシーバ機能も備えた一体型システム「MIP BT」も参考展示。曲線をふんだんに取り入れたデザインが特徴で、iPod接続用Dockと、Bluetoothレシーバを両方備えているのが特徴。スピーカーやアンプも内蔵し、ラジオ機能も持っているという。いずれも発売日や価格は未定。

 

Bluetoothレシーバ機能も備えた一体型システム「MIP BT」スピーカー部。デザイン面でも特徴的なモデル横から見たところ。大胆な曲線を描いている

 また、11月13日から順次発売を開始している、低価格な真空管アンプ搭載iPodオーディオシステム「VAZIO」(ヴァッジオ)シリーズも展示。プッシュプル構成の「T-3-WH」(111,300円/11月下旬発売)、「T-3-BR」(106,050円/11月下旬発売)、シングル構成の「T-2」(81,900円/11月13日発売)というラインナップ。

 

富士ソフトアキバプラザにも同社はブースを用意。日本発売は未定だが、プリメインアンプやフロア型スピーカー、ブックシェルフなどを参考展示した
 いずれもiPod Dockを内蔵/付属し、スピーカーも付属しているのが特徴。「iPodをメインに使う世代に、真空管を逆に“新しい”、“お洒落”なものとして提案。オーディオの裾野を広げたい」という。

 会場では同シリーズのCDプレーヤーも参考展示。筐体サイズをイメージしたケースのみの展示だが、2010年1月~2月頃の発売を予定しているという。「VAZIOシリーズと同じ筐体の仕上げを採用し、プレーヤーの上にアンプを設置できるようにする予定。重ねた際、アンプの高さが、スピーカーの高さと同じになり、デザイン面も統一がとれたものになる」という。価格は2万円前後を予定しており、こちらも購入しやすいモデルになるようだ。


 

VAZIOシリーズも一堂に展示されている右にある白っぽい筐体がCDプレーヤーのイメージ。仕上げやカラーは他のVAZIOシリーズと同じものになるという左は参考展示された真空管のプリメインアンプ「T-6」


 

■ 花野井製作所

 木目が美しい、赤い塗装の卵形スピーカーを出展していたのは、有限会社花野井製作所。二輪車のボディパーツのモデル製作を行なっている木型メーカーで、木材やエンジニアリングプラスチックから、CAD/CAMテクノロジーや熟練工の手作業により、様々な形状のものを作り出している。

 展示された卵形スピーカー「OVUM」(オーヴァム)は、その技術を用いてスピーカーのエンクロージャ作りに挑戦したというもので、同社がオーディオ系のイベントに参加するのは初めて。

 白樺を積層したものから削り出しで見事な卵形を生み出しており、木目を活かした塗装で仕上げているのも特徴。「エンクロージャの理想形と言われていたが、我々は卵形を理想と考えている。球体に比べて木削加工は難易度が高いが、技術力でそれを実現した」という。

 バスレフとなっており、ポートは底面に用意。2ウェイシステムで、30mm径のソフトドームツイータと、165mm径のウーファを近接配置し、音の融合を図っている。ウーファは自社開発で、コーンにはカーボンクロスを使っている。外形寸法は273×424×475mm。

 

卵型エンクロージャを採用した「OVUM」ウーファとツイータが近接配置されている底面にバスレフポートを備えている

 2010年春の発売を予定しており、「今後も再生音を追い込んでいく」という。価格などは未定で、来場者に価格のリサーチも行なっている。ユーザーが指定するユニットを使った、カスタマイズスピーカーの製造も可能だという。

 会場ではバイク用パーツのデザイナーがデザインしたという、非常に個性的なスピーカーも展示。来場者の視線を集めていた。

 

バイク用パーツのデザイナーがデザインしたという個性的なスピーカーも

□関連記事
【10月26日】CAVジャパン、真空管アンプ搭載のiPodオーディオシステム
-「VAZIO」。10W×2chで106,050円からの「T-3」など
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091026_324522.html


 

■ ワイズエポック

 結婚式場などを営む平安閣の、ワイズエポック事業部が手掛けるのは、世界初というステレオのピュアオーディオ用センタースピーカー「TRINI★STAR mini」(トリニスターミニ)。11月1日から20万円で発売している。

 通常のスピーカーと共にアンプに接続し、左右スピーカーの中心から、若干前(通常の部屋では30cm程度)に設置することで、ステレオサウンドのリニアリティを向上させるというもの。

 

ピュアオーディオ用センタースピーカー「TRINI★STAR mini」ステレオスピーカーの中央に、若干リスナー寄りの位置に設置する。イベント会場は広大なため、写真ではかなり前に出ているが、通常の部屋では30cm程度で十分とのこと

 通常、波紋のように広がる音を人間は耳にしているが、ステレオスピーカーの再生では、2つの音源から広がる波紋が重なり、その谷間となる場所(リスニングポイント)で音楽を聴いている。そのため、音の到達が遅れ、部屋の壁などに反射した間接音も合わさり、スピーカーからの直接音を十分に聴き取れないという問題があるという。

 そこでセンタースピーカーを前に出して設置し、部屋に影響されない直接音を復元。環境の影響も低減し、中央定位も明瞭になるというのが基本的な考え方だ。スピーカーには角度や配置の異なる4つのユニットを内蔵しており、長年の研究や試聴モニターの統計から割り出された配置/個数だという。接続はアンプからメインスピーカー、「TRINI★STAR mini」へと数珠繋ぎができ、専用アンプなどは不要。詳しい接続方法は同社のブログで説明されている。

 

背面。各種調節用ツマミも装備しているカラーバリエーションも用意している

■ エルメック電子工業/クレハ

 エルメック電子工業とクレハのブースでは、クレハの「KFピエゾフィルム」と呼ばれる、音がなるフィルムを使ったスピーカーを展示している。フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)であるKFポリマーを素材に開発された、高分子圧電・焦電体で、力学的、または熱的に刺激を与えると電気が発生するというもの。

 これをスピーカーユニットに使用したもので、フィルムに直接電圧をかけ、伸び縮みをさせ、音を出すという仕組み。繊細な高域再生が可能であると共に、例えば丸めてスピーカーとした場合、指向性が狭い通常のツイータでは真似できない、360度の指向性を持つ高域再生が可能になる。また、透明なプラスチックフィルムなため、自由な形状にできるのも特徴だ。

 

クレハのKFピエゾフィルム丸めたり、たわませたり、伸び縮みしやすい状態にすると音が大きくなる。逆に引っ張ってピンと伸ばすと、音は出ない

 エルメック電子では、このフィルムを波のような形状にして面積を増やし、ツイータユニットを開発。ダイナミック型の中低域ユニットと組み合わせた、フロア型スピーカー「HPS-01」を参考展示している。さらに、ツイータユニット「HPS-T1」単体の発売も予定。どちらも2010年春頃の発売を予定し、価格は未定だが、スピーカーは25~30万円程度の価格帯をイメージ、ツイータは1個3~10万円程度になるという。

 

波状にしてツイータに使ったもの同ツイータを組み込んだフロア型スピーカー

 また、同じフィルムを使った無指向性スピーカーをケンウッドが参考出品している。発売するかどうかは未定というモデルだが、フィルムを丸めて円柱形のスピーカーとしている。ツイータのサイズは7×27.5cm(直径×高さ)で、底部に8cm径のダイナミック型スピーカーを内蔵。中低域を担当させている。

 ダイナミック型からの中低音は筐体下部、およびフィルムの筒を通って上部からも放出される。普通の無指向性スピーカーは、高域を天面から放出するシステムが多いが、この試作機は逆。上から中低音がフィルムの前にかぶさっても、ツイータの音圧が強く、負けないため、バランスの良い無指向性の音になるという。フィルムが透明であるため、内部に光源を入れてイルミネーションも楽しめる。

 

フィルムを丸めた、円柱形の無指向性スピーカー天面はメッシュで、底まで穴があいている底にはダイナミック型ユニットを装備。地面と天面に向けて中低域を放出する

■ その他

 線路をはさんでUDXの隣にある、富士ソフトアキバプラザの1Fでは、オーディオ系のジャンクパーツ販売や、ソフト販売、掘り出し物市なども開催。見て歩くだけでも楽しいスポットになっている。取材中、日本では発売されていないというサムスンのインナーイヤフォンを発見。16mm径のダイナミック型ユニットを内蔵したモデルとのことだが、開口部やハウジングの形状が独特。さらに500円と激安で、聴いてみると最低音は控えめながら、量感のある中域と、さわやかな高域が同居する、なかなかバランスのとれた再生音。激安イヤフォンにありがちなプラスチックの付帯音も少ない。コストパフォーマンスの高さに思わず購入。音展のお土産にオススメだ。

 

ジャンクパーツや各種部品販売なども行なわれている激安イヤフォンを発見!
包装はチープだが、再生音はなかなかのもの。何より形状が面白い

 UDXにはほかにも、様々なメーカーの製品が展示されている。

 

AV専門店、アバックのブースでは三菱の最新プロジェクタなどの視聴が可能
カーオーディオ系の展示も用意されている


(2009年 11月 13日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]