ソニー、ノーベル賞受賞の根岸氏を特別研究顧問に
-有機ELディスプレイなどの研究開発活性化図る
2010年ノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏 |
ソニーは、2010年のノーベル化学賞の受賞者である、米パデュー大学特別待遇教授、北大触媒科学研究センター特別招へい教授・根岸英一氏を、ソニーの材料デバイス分野、特に有機エレクトロニクス分野の研究開発領域におけるエグゼクティブ・リサーチ・アドバイザー(特別研究顧問)として招聘することで、根岸氏と合意したと発表した。
根岸氏は今後、ソニーが有機エレクトロニクス分野において社内外の拠点で進めている各研究テーマの報告会などに参加。助言を行なうほか、中長期的な研究計画や優れた研究者育成についてもアドバイスを行なうという。ソニーは「有機エレクトロニクス研究開発における社内研究者の活性化を目指し、その結果その研究開発が加速されることを期待する」としている。
根岸氏が、鈴木章・北海道大名誉教授、リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授とともに、2010年にノーベル化学賞を受賞した研究成果「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」は、有機合成における反応性を飛躍的に高める技術として活用されており、薬学・農薬・プラスチック・液晶など様々な産業の発展に寄与している。
一方、ソニーも、有機ELディスプレイ、フレキシブルディスプレイの背面回路などに用いる有機トランジスタ、有機太陽電池の一種である色素増感太陽電池、次世代充電池向けの電解質、植物原料プラスチックや再生プラスチックなど、有機化学や有機合成の技術を基盤とする研究開発を、次世代製品のコア技術として実用化するため、加速させている。
ソニーによれば、有機エレクトロニクス分野では、有機合成によって新たな機能を発現する新材料を開発することが差異化技術育成の鍵となっており、無限ともいえる物質の化学的な結合を自在に制御し、所望の機能を得る研究開発には、深い専門知識に加え、創造性、科学的なセンス、膨大な実験時間が必要になるという。
そこで、有機化学の世界的権威である根岸氏をエグゼクティブ・リサーチ・アドバイザーとして迎えることで、「研究開発に従事する研究者が触発、活性化され、ブレークスルーを生むきっかけになり、画期的なソニー製品への実用化につながることを期待している」という。
(2010年 12月 13日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]