ビクター、世界初の民生用フルHD 3Dカメラ「GS-TD1」

-2つのレンズとCMOS搭載。モニタは裸眼3D表示


3D Everio GS-TD1

 日本ビクターは、フルHD解像度の3D動画が撮影できるビデオカメラ、「3DハイビジョンムービーEverio GS-TD1」を2月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は20万円前後。

 2010年12月14日に次世代のHDカメラ用技術として発表した、HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサー(LSI)の「FALCONBRID」(ファルコンブリッド)を搭載したビデオカメラ。最大の特徴は2つのレンズと2つのCMOSセンサーを備え、フルHD(1,920×1,080ドット)解像度で3D映像が撮影できる事。ビクターでは「2011年2月発売予定、家庭用ビデオカメラとして、左右の目用の映像をともに1920フルハイビジョンで3D記録できるのは世界初」としている。


GS-TD12つのレンズ、2つのセンサーを搭載するレンズカバーも内蔵している
主な特徴

 3D録画を行ない、左右の映像、2つのフルHD(1,920×1,080ドット/60i)映像を、Blu-ray 3Dでも使われている3D対応の画像圧縮フォーマットのMPEG-4 MVCでリアルタイムエンコードし、1,920×1,080ドット/60iで記録する。AVCHD形式とは異なる。また、Blu-ray 3D規格の24pでの記録はできない。

 撮影した3D映像は本体のHDMI端子を使って出力する。3D出力は1,920×1,080ドット/60iで行ない、HDMIのオプション規格を使っての出力となる。オプション規格のため、3D対応テレビでも受けられないものがある可能性はあり、対応を確認できたテレビの型番を公開する事も予定している。

 

GS-TD1
 3D録画時のビットレートは34/22Mbpsから選択可能。本体に64GBのメモリを内蔵しており、34Mbpsでは約4時間の録画ができる。内蔵メモリ以外にも、SD/SDHC/SDXCメモリーカードスロットを備えている。

 圧縮は、左目用のデータを基準映像とし、右目用はその差分を使って圧縮することで、効率の良い圧縮を実現している。ただし、左右のレンズの映像を別々の動画ファイルとして記録する事はできない。

 なお、解像度は低下するが、AVCHD方式での3D撮影として、サイドバイサイドの3D撮影も行なえる。また、2DのフルHD AVCHD動画の撮影も可能。静止画の3D撮影機能(MPO形式)も備えており、2.1メガピクセルの2D画像を2枚使った3D静止画が撮影できる。1秒間に最大12枚の3D静止画連写も可能。


上から見たところ側面背面。マニュアル調整ダイヤルを配置し、3D撮影時に  必要となる左右映像の視差調整や、フォーカス、アイリスなどを調整可能

 液晶モニタは3.5型で、92万画素。視差バリア式の3D液晶となっており、裸眼で立体視が可能。撮影中に立体感をチェックする事ができる。

モニタを開いたところHDMI出力などを備えている液晶モニタは3.5型で、92万画素。視差バリア式の3D液晶

 2つのレンズの間隔は35mmで、パナソニックの「HDC-TM750」や「HDC-TM650」に装着する3D撮影用レンズの間隔よりも広い。ビクターでは「得られる立体感と安全性を両立させた間隔」としている。

 レンズは左右とも開放F 1.2の明るいレンズを採用。高精細な撮影が行なえる「GTレンズ」を使っている。焦点距離は35mm換算で、3D動画撮影時が44.8~224mm、2D動画が37.3~373mm。光学5倍(3D時)のズーム機能を備え、3D撮影中のズームやAFも可能。2D時は光学10倍ズームとなる。左右の画像の差を独自アルゴリズムで高精度に自動調整することで、遠く離れた被写体も簡単に3D撮影できるという。絞りは虹彩絞りで、ボケ味は8角形になる。アクティブモードの手ぶれ補正機能も装備し、3D撮影時も機能する。

 CMOSは裏面照射型の「B.S.I. CMOS」で、1/4.1型、総画素数は332万画素(1枚あたり)3D動画撮影時は207万画素となる。明るいレンズと組み合わせる事で、より立体感のある3D映像撮影を実現したとしている。撮影補助機能として、スマイルメーターやスマイルショット機能も搭載している。

 HDMI出力に加え、AV出力、外部マイク入力、ヘッドフォン出力、USB端子を備えている。外形寸法は102×186.5×63.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約590g(バッテリ含む)。撮影時間は付属バッテリ「BN-VF815」使用時で約2時間(実撮影時間1時間)。

 撮影後のMPEG-4 MVCの3D動画は、本体でカット編集ができるほか、付属のPC用ソフト「Everio MediaBrowser 3D」を使ったカット編集も可能。ただし、同ソフトで3D映像として再生する事はできず、左目用の2D映像を表示して作業を行なう。また、BD-R/REのメディアに同方式のまま3Dで書き出す規格が存在しないため、PCでカット編集した3D動画をビデオカメラ本体に戻し、HDMI出力するという利用イメージとなる。

、付属のPC用ソフト「Everio MediaBrowser 3D」を使ってカット編集も可能

 PC用ソフトは今後のアップデート(7月を予定)により、MPEG-4 MVCのフルHD 3D映像から、AVCHDのサイドバイサイド3D映像に変換する機能も追加予定。ビデオカメラ本体にMPEG-4 MVCをAVCHDのサイドバイサイド3Dに変換する機能は無い。なお、ソフトにはAVCHDの2D/3D(サイドバイサイド)映像の再生、編集、BD作成、YouTubeアップロード機能は最初から搭載している。また、3D映像から3D静止画を切り出す機能は無い。

 これとは別に、USBで推奨の外付けBDドライブに接続し、記録動画を書き出す事も可能。その場合は再生時にビデオカメラ本体と接続し、再生する必要がある。

 立体感のある音声の録音も実現。ステレオ収録となるが、横に広がったレンズの両脇に左右のマイクを搭載する事で、人間の耳のように左右に十分な間隔を持ったマイクで集音する事が可能になり、従来のカメラと比べ、より立体感のある音声が録音できると言う。これには、独自の“バイフォニック”技術を使っており「映像だけでなく、音声も3Dに対応した」としている。


(2011年 1月 13日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]