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Nothing、KEFと音響設計「Headphone (1)」。価格は「良い意味でチャレンジング」

「Headphone (1)」(ホワイト)

Nothing Japanは、ブランド初となるヘッドフォン製品で、KEFと協力してサウンドチューニングした「Headphone (1)」を、8月28日に発売する。ブラックとホワイトの2色展開で、価格は39,800円。20日12時より直販サイト「nothing.tech」で予約を受け付けている。

これまでスマートフォンやイヤフォン、サブブランド「CMF by Nothing」からスマートウォッチなどを展開してきたNothingにとって、初となるヘッドフォン製品。筐体には同社スマートフォンなどで採用されてきたシースルー構造が採り入れられた。

ハウジングにシースルーデザインを採用した

Nothing Japan マネージングディレクターの黒住吉郎氏は「ロゴがなければ、他社のヘッドフォンはどれがどのブランドのものか分からない。Headphone (1)はデザインがまったくほかと違う。チャレンジングで大胆なデザインを採用した」とする。

透けて見える丸いパーツはチャンバー。ハウジング外側に赤いアクセントパーツがあるのが右側
左側には「SOUND BY KEF」の文字があしらわれる

シースルー素材を使いつつ、剛性を確保するためにボディにはアルミを採用。重量増を抑えるために可能な限り薄く、軽量に加工したとのこと。

音響はKEFと共同で設計した。写真左はNothing Japan マネージングディレクターの黒住吉郎氏

音響設計では戦略的パートナーシップ契約を結んでいるKEFと協力。KEFの無響室を活用して開発を進めるなど「単にコラボレーションしたとか、(KEFの)エンジンを採用したというわけではなく、音響の設計、チューニングそのものに、KEFが持つツールを使ったり、KEFが60年の歴史で得たお客さまからのフィードバックも反映させるなど、綿密な音響設計をKEFと行なった」(黒住氏)という。

「それゆえに実は当初予定していたローンチ日よりも遅れてしまいました。それだけ音に関してしっかり開発しようという(姿勢の)表れだと思います」

ドライバーは40mm径のダイナミック型。ポリウレタンを使ったサスペンションシステムと、高剛性ニッケル被膜を使った振動板を組み合わせている。

写真左は同時発表されたスマートフォン「Phone (3)」

Bluetooth 5.3に準拠し、コーデックはSBC、AAC、LDACをサポート。ハイレゾワイヤレス認証や有線接続でのハイレゾ認証も取得している。

ステレオ音源を立体音響化する空間オーディオ機能も搭載。これまでの空間オーディオ化は、演算処理をペアリングするスマホ側で行なっていたが、Headphone (1)では演算処理をヘッドフォン側で担当することで、より精度の高いヘッドトラッキング機能を実現したという。

「Headphone (1)」(ブラック)

アクティブノイズキャンセリング(ANC)や外音取り込み機能にも対応する。NCは最新のAIを採用したほか、2,800万通りの機械学習データも活用して性能を高めている。4マイクとビームフォーミング技術を組み合わせた通話機能も利用可能。

操作系ではタッチ操作ではなく、すべて物理ボタンを採用した。黒住氏は「タッチ操作は微妙なところがあって、特にヘッドフォンでは耳周りを叩くことになるのでボンボンとノイズが出てしまいます。またワンタップなのか、ダブルタップなのか、長押しなのかが分かりづらい」と説明した。

操作系は右ハウジングに集約。上がローラー、下がパドル

物理ボタンは横方向に回したり、押し込んだりできる「ローラー」、左右に押し込んで操作できる「パドル」、押し込める「ボタン」、スイッチ式の電源ボタンの合計4つ。

右ハウジング底部に電源スイッチやUSB Type-Cポート、有線端子を備える

ローラーでは音量調整や再生/一時停止、ANCモードの切り替えが可能。パドルは左右に押し込むことで、曲送り/着信応答や曲戻し/着信拒否、長押しで高速早送り/巻き戻しが可能。

右ハウジング外側にカスタムできるボタンがある

ボタンはショートカット用で、アプリ「Nothing X」からカスタマイズ可能。デフォルトではiOS/Androidの場合はAIアシスタント、Nothing端末の場合は、再生音源を切り替えられる「Channel Hop」機能が割り当てられている。

バッテリー駆動時間は、ANC ON時で最大35時間、ANC OFF時で同80時間。5分の充電で2.4時間(ANC ON)で使える急速充電にも対応する。充電ポートはUSB Type-Cで、USB接続による有線デジタル再生にも対応する。3.5mm有線端子も備えた。

本体はIP52の防塵防滴仕様。イヤークッションは日焼け止めなど化粧品に触れても変質しにくい素材を採用したという。

Nothing Xアプリからはイコライザー(EQ)設定が可能。EQは「Simple」と「Advanced」の2種類が用意されており、SimpleはKEFと作り込んだというプロファイルを利用可能。Advancedでは8バンドEQを使って、より細かくサウンドを調整できる。

装着イメージ

製品にはUSB Type-Cケーブル、3.5mmステレオミニケーブル、ソフトシェルケースなどが付属する。

事前に行なわれたメディア向け説明会のなかで、黒住氏は39,800円という価格設定について「良い意味でチャレンジングな価格だと思う」と自信を見せた。

「我々が言っているフラッグシップヘッドフォンとは違うと思いますが、他社さんがフラッグシップと謳っているヘッドフォンはだいたい6~7万円のライン以上にいるのが、ヘッドフォン市場だと思います」

「今回、我々はそれと同等か、同等以上のスペック上の価値があると思っています。さらに、そこには表れないデザインや操作系に関する配慮などを考えると、この価格は非常に魅力的なものだと思っています」