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Monitor Audio、プリーツ振動板や背面リング搭載の新フラッグシップスピーカー
(2016/4/12 09:00)
ナスペックは、Monitor Audioのフラッグシップスピーカーシリーズをリニューアル。「Platinum series II」を4月15日に発売する。ペアでの価格は、フロア型の「PL500 II」が320万円、「PL300 II」が160万円、「PL200 II」が110万円、ブックシェルフの「PL100 II」が68万円。センターの「PLC350 II」は68万円(1台)、「PLC150 II」は45万円(1台)、サブウーファ「PLW215 II」70万円(1台)。PL500 IIは受注生産となる。
従来の「Platinum series」から「Platinum series II」に進化し、型番の末尾に「II」が追加された。さらに、かつての最上機種「PL300」の上に「PL500 II」が追加されている。各モデル、仕上げはNATURAL EBONY、SANTOS ROSEWOOD、PIANO BLACKのカラーバリエーションを用意する。
共通の特徴
サブウーファを除く全モデルに共通するのは、ミッドレンジやウーファのユニットに、進化した「RDT II(リジッド・ダイアフラム・テクノロジー 2ND GENERATION)ドライバ」を採用している事。
軽量かつ高強度であり、無共振も実現。振動板は3層構造で、中心素材にはNomexのハニカムを採用。振動板の表面はC-CAM(セラミック・コーテッド・アルミニウム/マグネシウム合金)処理が施されている。裏面はカーボンファイバー織布で、異なる素材でサンドイッチしている。
これにより、300Hz以上の音域で8dB以上の歪みを軽減。「Monitor Audio史上最も低歪みなコーンに仕上がった」という。
振動板の背面には、特許技術のDCF(ダイナミック・カップリング・フィルター)を搭載。バネのように駆動するナイロンリングで、吸収材のように働き、コーンの後ろから空気圧を開放する空気穴も配置。ドライバが動くことで発生する高周波のエネルギーを効果的に減衰させ、ボイスコイルが帯びる熱も冷却。歪みを低減するという。
ツイータには、新開発のMPD(マイクロ・プリーテッド・ダイアフラム)を採用。コンデンサ型ドライバに似たもので、超高速で伸び縮みするアコーディオンに似たプリーツ振動板を採用。ドーム型ツイータの約8倍の表面積があり、振動幅が少なくて済むため、「極めて高いパワーハンドリングと能率を獲得した」という。100kHzまでの再生が可能で、歪みとなるブレイクアップ・ポイントも存在しない。
振動板自体がショック・アブソーバーとしても機能することで、減衰特性も良好。不要な表面振動も抑制し、ナチュラルな再生ができるとする。
エンクロージャは高級家具メーカーの職人が手作業で作っており、天然木を貼り合わせてキャビネットの原型を構築。手作業で11層ものピアノラッカーコーティングも施している。エボニーとローズウッド仕上げのモデルは、木目が調和するように、ペアでマッチングが図られている。
フロントバッフルには、自動車・船舶内のシートなどを手がけているAndrew Muirhead 社のブラック・イングルストーン・レザー(天然皮革)を採用。キャビネットには全て手張りで取り付けられており、完成までに約144時間かかるという。
筐体にはカーブが設けられており、定在波を抑制。内部のブレーシング(補強)も行なわれている。
全ユニットは、個々のユニットをエンクロージャ背面から直結されたテンションロッド一本で固定。ドライバ周辺に均等にクランプ力がかかるのが特徴で、ドライバとフロントバッフルの振動を排して、共振を防ぐとする。エンクロージャの剛性向上や、個々のユニットを特定のトルクで締め付けることによるチューニングも可能にしている。
内部エンクロージャーとバッフルの主要箇所には、振動を抑制するためのARC(アンチ・レゾナンス・コンポジット)を採用。
ミッドレンジユニットの背後には、テーパー状に仕上げられた内部エンクロージャーを配置。精度を向上させ、「アキュレートな中音域の再生に貢献する」という。
バスレフポートには、弾丸が通る砲身の気流の流れと同じ効果を狙って設計された、独自の構造を採用。ポート内の溝が流れを加速し、乱流を減少させ、効果的に気流を加速。「超高速かつダイナミックなバスレスポンス」を実現するとしている。
スピーカーターミナルは銅素材を精密加工して作られており、酸化を防いで高い伝導性を実現するロジウムメッキも施している。接続はスペード、バナナ端子と、外径7AWG(3.6mm)までの裸線に対応。高さの調整が可能なフットベースも搭載。スパイクは取り外しができ、ラバーフットも利用できる。
各モデルの仕様
PL500 IIはフロア型のフラッグシップモデル。200mm径のRDT IIウーファを4基、100mm径RDT IIミッドレンジを2基、MPDを2基搭載した3ウェイ7スピーカー構成。MPDを中心に、ユニットをバーチカルツイン(仮想同軸)配置している。
筐体はPL200 IIの約二倍の高さ。PL300 IIよりさらに低いクロスポイントを取り、4基搭載したウーファから「信じがたいほどのワイドかつディープな低音を生み出す」という。
再生周波数帯域は22Hz~100kHz。クロスオーバーは460Hzと3.6kHz、感度は91dB。インピーダンスは4Ω。推奨アンプ出力は150W~400W。外形寸法は504×626×1,848mm(幅×奥行き×高さ)、重量は99.1kg。
PL300 IIは、200mm RDT IIウーファを2基、100mm RDT IIミッドレンジを1基、MPDを1基搭載。3ウェイ4スピーカー構成のフロア型。再生周波数帯域は28Hz~100kHz。クロスオーバーは500Hzと3.4kHz、感度は90dB。インピーダンスは4Ω。推奨アンプ出力は100W~300W。外形寸法は410×470×1,158mm(幅×奥行き×高さ)、重量は54.52kg。
PL200 IIは、165mm RDT IIウーファを2基、100mm RDT IIミッドレンジを1基、MPDを1基搭載。3ウェイ4スピーカー構成のフロア型。再生周波数帯域は35Hz~100kHz。クロスオーバーは750Hzと3.9kHz、感度は90dB。インピーダンスは4Ω。推奨アンプ出力は100W~250W。外形寸法は360×375×1,043mm(幅×奥行き×高さ)、重量は36.08kg。
PL100 IIは、165mm RDT IIウーファを1基、MPDを1基搭載した、2ウェイ2スピーカーのブックシェルフ型。再生周波数帯域は40Hz~100kHz。クロスオーバーは3kHz、感度は88dB。インピーダンスは6Ω。推奨アンプ出力は60W~120W。外形寸法は225×285×370mm(幅×奥行き×高さ)、重量は14.94kg。別売でスタンドもペア12万円で用意する。
センターとサブウーファも
センターのPLC350 IIは、200mm RDT IIウーファを2基、100mm RDT IIミッドレンジを1基、MPDを1基搭載。3ウェイ4スピーカー構成。再生周波数帯域は32Hz~100kHz。クロスオーバーは780Hzと3.3kHz、感度は90dB。インピーダンスは4Ω。推奨アンプ出力は100W~250W。外形寸法は800×368×288mm(幅×奥行き×高さ)、重量は43.02kg。
センターのPLC150 IIは、165mm RDT IIウーファを1基、165mm RDT IIミッドバスを1基、MPDを1基搭載。再生周波数帯域は45Hz~100kHz。クロスオーバーは600Hzと3kHz、感度は89dB。インピーダンスは6Ω。推奨アンプ出力は60W~200W。外形寸法は583×291.2×225mm(幅×奥行き×高さ)、重量は23.98kg
サブウーファの「PLW215 II」は、フラッグシップモデル。25mm厚のMDF密閉型エンクロージャに、2基の380mm径C-CAMユニットを内蔵している。ユニットには、Black CEDコーティングされた76mmのエッジワウンド・ボイスコイルと、ベンデッドポールを搭載。強力な動力で、最大4cmのストロークを実現している。
アンプ部には、ドライバ毎に個別にデュアル構成で搭載した、DSPコントロールによるClass-Dアンプを採用。SMPSU(High Current Switch Mode Power Supply/高電流スイッチングモード)電源で駆動し、総出力1,400Wを実現している。
DSPは56bit処理が可能で、139dBのダイナミックレンジを実現。マイクを用いて、テストトーンを集音し、ルームキャリブレーションも可能。独自のアルゴリズムを用いて、設置環境に最適なセッティングができるという。音楽に合わせ、4つのプリセットモードも用意。専用アプリ「SubConnect」を使い、PCから周波数、スロープ、EQフィルタの微調整もできる。
LFE入力はRCA/バランスXLA、ステレオ入力はRCA。消費電力は最大1,200W。外形寸法は504×512×546.3mm(幅×奥行き×高さ)。重量は57.54kg。リモコンも付属する。