西川善司の大画面☆マニア

第227回

HDMI 2.1とは何か。8K/60Hzや動的HDRだけでない、次世代ディスプレイにもたらす変化

 CES開幕の前日となる1月4日(米国時間)、HDMI Forumは次世代HDMI規格となる「HDMI 2.1」を発表した。会期中のHDMIブースには、さっそくHDMI 2.1に関連した技術デモも披露されている。ニュースリリースベースの記事は掲載済みだが、より技術的に詳細な内容をレポートすることにしたい。

CES会期中のHDMIブース

端子が増えていないのに伝送速度向上。データレーンを4本に増加したHDMI 2.1

 HDMIは、HDMI 2.0で1レーンあたり6Gbpsの伝送速度を持つことになり、総3レーンで18Gbpsの伝送帯域を持つことになった。

 今回発表されたHDMI 2.1では、これが48Gbpsにまで高められている。その伝送帯域向上率たるや約2.66倍。

 現在、HDMIで採用しているデータ伝送手法のTMDS(Transition-minimized differential signaling)方式では、そのEMI(Electro-Magnetic Interference)特性上、これ以上の高速化が難しいとされてきた。

 しかし、そのEMI特性を新規設計し、伝送プロトコルをも刷新、伝送レーンを増設、伝送ケーブルの規格もさらに厳格化することで48Gbpsの伝送帯域を実現することとなった。

HDMI 2.1ではEMI特性を刷新させた

 HDMI 2.0世代までのHDMIでは3つのデータ(RGB,YUV)を伝送するにあたり、同期用のクロックを分離していた。2002年前後のHDMI最初期の当時の技術ではデータ伝送に際してはクロックを分離する方式が最良とされていたからなのだが、近年は、伝送データにクロックを重畳させる伝送方式が主流となったため、HDMI 2.1では大胆にも、この手法に変更したのだ。

 すると空くのが、これまでクロック伝送のために使っていたデータレーンだ。そう、HDMI 2.1では、ここも伝送路に活用することで、従来の3データレーン式から、4データレーン式に拡張をおこなったのだ。

 なのでHDMI 2.1の伝送帯域の48Gbpsは、1レーンあたり12Gbpsの伝送速度を持つことになる。

 HDMI 2.0世代の1データレーンあたりの伝送速度は6Gbpsだったので、これが倍化したことになるが、単純にクロックを倍化しただけというわけではないらしい。このあたりについての情報開示なかったが、信号の重畳技術を駆使したり、あるいは伝送データ側のビット列に工夫にを盛り込んでいるのかも知れない。

 さて、HDMI 2.0世代までは、例えばYUV=4:4:4の4K/60Hzの伝送には18Gbpsが必要だった。しかし、HDMI 2.1では16Gbpsで済むようになっているという。

 これはどういうことか。実装レベルの詳細解説は拒否されてしまったが、平易にいえば伝送プロトコルの改善と最適化によって実現されたと説明された。

 従来のHDMIでは実際の表示映像のピクセルデータ以外に垂直ブランキング、水平ブランキングを設けて伝送している。例えば3,840×2,160ピクセルで表される4K解像度の映像はHDMI伝送路では垂直及び水平のブランキング期間を合わせた4,400×2,250ピクセルの伝送となっている。さらにいえば、従来のHDMIでは、8bitの伝送データを同期信号用の2bitを付帯させて伝送していた。

 おそらく、このあたりの冗長性を切り詰めたということなのだろう。

 こうして見てくると、HDMI 2.1は、HDMIといいながらも、流す電気信号、データ仕様もことなるため、「もはやHDMIの皮を被った別モノ」ということができる。

HDMI 2.1の発表を行なったBrad Bramy氏(HDMI Licensing Administrator Inc.)

HDMI 2.1で伝送できるフォーマットは?~8Kはどのクオリティまで送れるのか

 こうして実現されたHDMI 2.1の48Gbpsの伝送速度によって、これまでHDMIでは伝送が難しいとされてきた8K/60Hzの伝送が可能になる。ただ、YUV=4:4:4の8K/60Hzの伝送には従来のHDMIでの伝送方式では約72Gbpsが必要だった。しかし、前述してきた伝送プロトコルの最適化で約64Gbpsで済むようになる。

 それでもHDMI 2.1の48Gbpsでは力不足である。どうやら、現状で8K伝送に拘っているのは日本のNHKのようだが、「8K伝送についてはYUV=4:2:0でいい」という姿勢を見せているようだ。

 ということであれば、4K/60Hzも、8bit幅のYUV=4:2:0で32Gbps、8bit幅のYUV=4:2:2で43Gbps、12bit幅のYUV=4:2:0で48Gbpsとなって、なんとか伝送はできることになる。

 またHDMI 2.1では、VESAで規格化されたロッシーな映像信号圧縮技術「DSC:Display Stream Compression」を活用した対応も進められている。

 例えば8K/60Hzの10bit幅のYUV=4:2:2の伝送には53Gbpsが必要になるが、このくらいならばDSCを用いれば、高品位なままに伝送はできそうだ。

 ちなみに、DSCとは、DPCM(Delta Pulse Code Modulation)とICH(Indexed Color History)をベースにしたリアルタイム性に優れた圧縮技術で、概念的にはGPUなどで採用されているテクスチャ圧縮技術を一次元データ(ストリームデータ)に適用するようなイメージとなる。

DSC圧縮のブロックダイアグラム

 圧縮無しのロスレスで8KをHDMI 2.1で伝送することにこだわるとすると、8bit幅でYUV=4:4:4の8K/30Hz(32Gbps)、YUV=4:2:0の8K/60Hz(32Gbps)、YUV=4:2:2の8K/60Hz(43Gbps)あたりになる。10bit幅だとYUV=4:4:4の8K/30Hz(40Gbps)、YUV=4:2:0の8K/60Hz(40Gbps)、12bit幅でYUV=4:4:4の8K/30Hz(48Gbps)、YUV=4:2:2の8K/60Hz(48Gbps)あたりまでが現実的なラインナップとなる。

 「YUV=4:4:4伝送が当たり前」の文化に住む筆者のようなPCユーザー視点からすれば、HDMI 2.1の8K対応力はもう一歩感があるが、ビデオ用途としては、まずまずのといった感触だ。

ついにHDMIケーブル一本で8Kの伝送が可能になる。しかし…!?

 最近、普及が進む4Kについてはどうか。

 8bit幅でYUV=4:4:4の4K120Hz(32Gbps)、10bit幅でもYUV=4:4:4の4K120Hz(40Gbps)、12bit幅でもYUV=4:4:4の4K120Hz(48Gbps)と余裕だ。

 現在はDisplayPort接続オンリーのハイリフレッシュレート対応のゲーミングディスプレイもHDMI 2.1ならば対応可能という事になる。場合によっては、HDMI 2.1対応のテレビ製品でゲーミングディスプレイ同等の機能に対応したものが出てきてもおかしくはないだろう。

4K/120Hzのサポートはゲームファンにとっては嬉しい要素。後述のVRRと絡めるとスポーツ中継で120Hz、ニュースで30Hzといったフレームレート/リフレッシュレートの使い分けも可能になる

 5K(5,120×2,880ピクセル)や10K(10,240×5,760ピクセル)解像度に対応するのもホットトピックである。8bit幅でYUV=4:4:4の5K/60Hz(28Gbps)、10bit幅で5K/60Hz(36Gbps)、12bit幅で5K/60Hz(43Gbps)は行けるのでPCディスプレイとして5K製品化の人気が出そうだ。10Kになると8bit幅でYUV=4:2:0の10K/30Hz(28Gbps)、YUV=4:2:2の10K/30Hz(37Gbps)あたりが限界。8bit幅でYUV=4:4:4の10K/60Hz(56Gbps)は前出のDSCを活用してロッシー伝送すれば、それなりの表示は出来るかも知れないが、あまり嬉しい感じはしない。

現時点でHDMIフォーラムが対応を発表した映像フォーマットの一覧。これだけに留まるという意味ではない

 Deep Color規格もHDMI 2.1では10bit、12bit、14bit、16bitまでがサポートされるので60Hzでよければ、YUV=4:4:4で16bitの4K/60Hz(32Gbps)が余裕である。

色深度としては8、10、12、14、16bitといったバリエーションがサポートされる。DSCなどの圧縮技術が組み合わせることで帯域の節約と表現幅の拡大の両立も可能に

HDMI 2.1には48Gbps対応HDMIケーブルが奨励される

 EMI特性が刷新されたHDMI 2.1だが、HDMI端子の数や形状に変更はなく、従来通りType-A/C/Dのコネクタも利用可能できるという。また、HDMI over Ethernetもサポートされる。

 HDMI 2.1の仕様をフルスペックに活用する場合、具体的には48Gbpsの伝送域を最大限に活用する場合は「48Gbps対応HDMIケーブル」(仮称)の利用が推奨される。だが、そうでない場合は、従来のHigh Speed HDMIケーブルが利用可能としている。

 逆に、48Gbps対応HDMIケーブルは既存のHDMI規格のケーブルとしても利用でき、後方互換(backward compatibility)がサポートされる。

 なお、「48Gbps対応HDMIケーブル」というのは仮称だそうで、正式名は現在検討中だとのことだ。

HDMI 2.1接続用には対応保証がなされた「48Gbps対応HDMIケーブル」(仮称)の利用が奨励される

HDMI 2.1が対応したダイナミックHDRとはなにか?

 HDMI 2.1は「Dynamic HDR」に対応するという。HDRがHigh Dynamic RangeだからDynamic HDRは、「Dynamic High Dynamic Range」の略という事になる。

 現在、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)にも採用されている主流のHDR形式であるHDR10は、コンテンツタイトル単位でしかHDRのプロファイル情報(Image Descriptor)をディスプレイ装置側に伝達できなかった。

 例えば「最大輝度がいくつ」「採用している色空間はどれ」といった情報は、コンテンツ単位でしか定義ができなかったと言うことだ。

 例えば、すごく明るいシーンと暗いシーンが混在する映画で、最大輝度が1,000nitと定義されていた場合を考える。

 HDR10で表現される10bit階調の最大値が1,000nitに割り当てられることになるので、明るいシーンでは、最大1,000nitの範囲で階調が割り当てられて適度な表現で見られるかもしれない。

 しかし、暗いシーンで最大100nit前後の表現が続いたすると、このシーンにさける階調分解能はとても限定的なものになってしまうだろう。なぜならば10bitの表現幅のうち、かなり少ないbit数でしか暗い階調を表せなくなってしまうからだ。

 なので、本来はここは最大100nit前後の暗いシーンだったかもしないが、多くのbitで階調を表現できるように、マスタリングの段階で階調をブーストして最大500nitくらいで描くような調整を行なうかも知れない。

 この場合、映像の見た目としては辻褄が合うかも知れないが、「最大1,000nitの明るいシーン」と「最大100nitの暗いシーン」が併存するコントラスト表現をそのコンテンツ内で行なっていないことになる。

 こうした単一プロファイルで定義されるHDR映像の仕組みをHDMI 2.1では「Static HDR」(静的HDR)と呼称することにしたようだ。

静的(Static)HDRとは、まさに現行のUHD BDのHDR10方式を指す。HDRのプロファイル情報をコンテンツ単位でしか定義できなかった

 HDMI 2.1でサポートされる新しい「Dynamic HDR」(動的HDR)は、この制限を取り払うもので、プロファイルを理論上はフレーム単位で持つことができるようになる。

 先ほどの例で行けば、明るいシーンでは最大1,000nitの定義をしているが、暗いシーンでは最大100nitの定義が行なえると言うことだ。そう、これによって、明るいシーン、暗いシーン、両方のシーンで、それぞれHDR10の10bit階調を適切かつ最大の分解能を得られるようになるのだ。

動的(Dynamic)HDRでは、HDRのプロファイル情報をシーン単位、フレーム単位で定義可能に。瞬間、瞬間で適切な最大輝度、bit数による階調表現が可能になった

 これは、ゲームグラフィックスにもありがたい拡張である。というのもゲームグラフィックスの場合は、完全にシーンが動的に変化するので最大輝度の定義はしづらい。

 たとえ、そのゲームにおいて太陽光が10,000nitで定義してあったとしても、深い森の中だけを探検していては、10,000nitの明部表現を拝むことは希だ。つまり、ゲームでは最大輝度を何処に設定すればいいのか決めようがない。現在のHDR対応ゲームは、このあたりをかなり無理矢理解決していた。

 Static HDRのところで前述した例のように、多くのUHD BDで採用されがちな最大輝度を1,000nitとした上で、シーンの描画のnit数の方を臨機応変に変更するような工夫をやっていたのだ。

 これがHDMI 2.1になれば、HDR10で規定される最大10,000nitの範囲で幅広いダイナミックレンジをフレーム単位で表現できるようになるのだ。

従来のHDR10仕様の静的HDR表示。最大輝度を1,000nitに設定した状態であらゆるシーンの階調を10bitで表現しなければならない
HDMI 2.1で新設された動的HDR表示では、フレーム毎に最大輝度定義を設定可能。暗いシーンなので550nitに設定して10bit階調を暗部にも多く割り当てて表示できている。写真では分かりにくいが実際には違いが明瞭で、暗部陰影や明部彩度に違いが出る

 また、HDMI 2.1では最大輝度だけでなく、色空間定義もフレーム単位で行なえるようになるので、シーンに応じてBT.709色空間からBT.2020色空間に切り換えての広色域表現を行なうこともできる。

 そうなると気になってくるのが先日、AMDから発表された「FreeSync2」の存在意義だ。

 FreeSync2は、HDR表示の最適化を行なうものだが、基本的なことはHDMI 2.1の機能で代行できる。

 この件についてAMD担当者に確認したところ、「FreeSync2は、各ディスプレイ製品種別ごとの個別スペックを最大限に活かして表示が行なえる。色域ならばsRGB、DCI-P3、BT.2020といった既存の色空間に囚われない、そのディスプレイ機器の最大色域を活用して表示が行なえる。基本的なことはHDMI 2.1で出来るが、よりローレベルなハードウェア寄りの活用にFreeSync2の価値は依然とあると信じる」と述べていた。

 たしかに業務用途、プロ用途などにおいてはそうした活用のニーズがあるかも知れない。ただ、HDMI 2.1はどのメーカーでも利用できるフィーチャーであり、競合のNVIDIAでも利用できるという点では優れている。

 「FreeSync2対HDMI 2.1のダイナミックHDR」については、将来の製品選びにおいてチェックしておきたいポイントになりそうだ。

eARCの「e」は、Enhancedの「e」

 ARCとは、Audio Return Channelの略称で、HDMI 1.4の時に規格化された仕様だ。具体的には、1本のHDMI端子(HDMIケーブル)にて、伝送方向の上りと下りの双方にてデジタル音声の送受を行なう仕組みのこと。

eARCの「e」はEnhanced の「e」

 一般的には、AVアンプのようなオーディオ機器のARC対応のHDMI端子と、テレビ、プロジェクタのような映像機器のARC対応のHDMI端子同士を接続して活用するのが一般的だ。

 このシステムで再生させた音声は、ARC機能を活用することで、設定如何で、オーディオ機器側でも、テレビ側でも自在に再生ができるようになる。このARCがHDMI 2.1ではEnhanced(拡張)されて、eARCとなった。

 では、何が拡張されたのか。

 HDMI 2.0世代までのARCは、最新のDolby AtmosとかDTS:Xなどのオブジェクトベースオーディオシステムに対応していなかったので、コレに対応させます…というのが実際のところのようだ。また、多bit、高ビットレートの音響データをちゃんと伝送することが出来るような拡張も盛り込まれる。

ハイエンドユーザーにとっては使い勝手がいまいちだったARCが、eARCとなって使い物になるようになることを期待!

ついに映像送出機器(GPU)主導の表示システムに~G-SYNC対FreeSyncの戦いも終演?

 注目したいのは、 HDMI 2.1で、ついに映像送出機器(GPU)主導の表示システムに対応すること。まずは基本情報を整理しておきたい。

 これまでの映像機器の表示システムは60Hz(60fps)基準で表示する構造で設計されており、基本的に映像フレームレートは60fpsでないと「特別な処理系を行って同期をとるか」(垂直同期オン)、あるいは「最初からこの同期取りをあきらめるか」(垂直同期オフ)といった選択肢しかなかった。映画やアニメなどで採用される24fpsや30fpsといったコンテンツに関しては、まさに特別な同期取りの方法が導入されている。

 しかし、グラフィックス表現に凝りに凝ったゲームなどにおいては、シーンの描画負荷に応じてフレームレートが変わる可変フレームレートとなることが多く、垂直同期オンでは表示がカク付いたり、垂直同期オフでは映像の表示がぶれたりと、その表示品質に妥協をせざるをえなかった。

 そもそも、可変フレームレートになりがちなゲーム映像においては、現行の「60Hz基準表示システム」は相性がよくなかったのだ。

 この問題の根本的な解決はシンプルである。

HDMIブースでなぜかAMD FreeSyncのデモが! 担当者に聞くと「現状、HDMI 2.1のGAME MODE VRRの実機はないのでコンセプトを見せるという意味でAMD FreeSyncを使わせてもらっている」との返答

 映像送出側が映像ができあがったそばから映像表示を仕掛けるメカニズムにすればいいのだ。映像が伝送されてこない間は、映像表示側はそれまでの最新フレームを表示したままにしておけばいい。

 この映像送出側主導の表示メカニズムを実用化したのは、二大GPUメーカーのAMDとNVIDIAだ。それぞれAMDはFreeSync、NVIDIAはG-SYNCというGPU主導の表示メカニズムを提唱した。しかし、AMDのFreeSyncは自社GPUのRADEON向け、NVIDIAのG-SYNCも自社GPUのGeForce向けのソリューションとして訴求されていたのだ。

 今回、HDMI 2.1では、HDMI規格の中に、映像送出機器/GPUの都合で任意のタイミングで映像表示が行なえる「Variable Refresh Rate」(VRR)表示モードが盛り込まれたのだ。

VRRモードがついにHDMI標準規格に採用へ。テレビメーカーが採用してくれればテレビがゲームモニターと同等の使い勝手になる!

 HDMIでは、このVRR表示モードに対し「GAME MODE VRR」というネーミングを与えたが、HDMIブースの担当者は「いずれ映像表示システムの標準仕様として活用が進むかもしれない」と述べていた。

 例えば、ニュース映像は30fpsで、スポーツ中継は120fpsで、料理のレシピ図版シーンは10fpsで…と言ったことが可能になり、伝送路の節約、有効活用ができるようになるからだ。

VRRモードは家庭用ゲームへの対応も視野に。VRRモードやDynamic HDRは、HDMI 2.1規格で策定されはしたが、48Gbps伝送モードとは関係のない仕様となる

 当初はゲームユーザー向けの機能として訴求されることは間違いないだろう。

 このGAME MODE VRRに対応してさえいれば、テレビもPCモニターも全て可変フレームレート映像を美しく表示できようになる時代が来ることには大いに期待したい。

 気になることは、今後のAMDのFreeSyncやNVIDIAのG-SYNCの対応だ。ユーザーからすれば、GAME MODE VRR対応の製品が出てきた時点で、FeeSyncやG-SYNCの役割は終了したと判断するだろう。AMD、NVIDIA側のこの点の動向には留意していく必要がある。

HDMI 2.1では長尺ケーブルの安定性に課題?

 昨年のCES時点では「8K時代を迎えず終わりそう」という風潮もあったHDMIだが、今回発表されたHDMI 2.1により延命された。まだ、仕様策定段階途中ということで、仕様の揺らぎや追加仕様の盛り込みはあり得るとのことだった。

 インターフェースチップの量産、対応AV製品の市場投入までには、もうしばらく掛かるとみられる。実際の製品のお目見えは早く見積もっても来年と言ったところだろうか。

 HDMI 2.1時代を迎えるにあたり、筆者が個人的に一番気になるのは、実用的な最長ケーブル長についてだ。

 ホームシアターなどでは、AVアンプをリビング前に設置し、天井や床を通して配線し、部屋の最後部のプロジェクタに接続、というような設置パターンが多いので、長いHDMIケーブルを使うユーザーは少なくない。現行最新のHDMI 2.0世代の18Gbps HDMI時代になってからは、高品位なケーブルでないと、7m以上の伝送が不安定になる報告が多く出てきている。環境条件によって未接続状態になることがあるのだ。

 HDMIブースにいた担当者によれば、HDMI 2.1では、「48Gbps HDMIケーブル」(仮称)を用いたとしても長尺ケーブルでの接続安定性はHDMI 2.0世代より厳しいものになるだろう……と話していた。もしかすると、HDMI 2.1時代を迎えた際にはホームシアターファンは大規模な機器の配置換えの必要に迫られるかも知れない。

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。3Dグラフィックスのアーキテクチャや3Dゲームのテクノロジーを常に追い続け、映像機器については技術視点から高画質の秘密を読み解く。3D立体視支持者。ブログはこちら