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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第581回:小型低価格ながら多機能なBDレコ、東芝「DBR-Z250」

〜Zシリーズがコンパクトモデルへ進化?〜


■各社それぞれの方向性へ

 かつてデジタルレコーダは、DVD-Rブームの波に乗りつつ、一般家庭へ高機能デジタル家電をねじ込んでいく格好の“黒船”だった。「録る」、「見る」、「書く」の基本機能に加えて、ユーザーのコンテンツを「貯める」、「見せる」、「編集する」といったメディアプラットフォーム化を果たし、さらに最近ではホームネットワークへ「流す」機能を強化してきた。

 これだけ多機能化していながら、これ以上の新機軸がない場合、世間的にはコンサバな商品という見方がされてしまうという、非常に評価の厳しい世界である。そうは言っても、テレビのレコーダとしてはもうやれるところはやり尽くしてきた感もあり、パナソニックはガンと小型化していく流れ、東芝は全チャンネル録画へ、ソニーはSCEがnasne投入、シャープはどうなるのかよくわからないと、それぞれの方向性を見出している。まあシャープは見出してないかもしれないが。

 さて東芝のREGZAレコーダも、全録タイプのMシリーズと、従来路線のZシリーズというラインナップを提示してきたが、どうやらZシリーズはこの夏投入の新モデルを見る限り、パナソニックの動きを睨みつつの小型低価格路線に変更するような構えを見せている。

 今回取り上げる「DBR-Z250」(以下Z250)は、この夏発売の新ラインナップのうち、下位モデルに相当する。まあ下位とは言っても上のZ260とはHDD容量が違うだけで(Z260は2TB、Z250は1TB)、機能的には同等で、廉価モデルという位置づけである。ちなみに8月上旬に発売されたばかりだが、Z250は執筆時点でネットの最安値は5万円台前半という値頃感だ。

 Mシリーズの後継が待たれるところではあるのだが、全録まではいらないよという買い換えユーザーにとっては、リーズナブルでイマドキの機能がフル搭載された廉価モデルというのは、一番おいしいところではないだろうか。

 今年8月に発売されたばかりの、東芝新モデルを、さっそくテストしてみよう。




■オドロキの小型化

 一番の違いは、その小型化だろう。ほぼ機能が一緒の前モデルZ150(430×331×80mm/幅×奥行き×高さ)と比べると、体積比で64%になったという。横幅は変わらないが、Z250では高さが47mm、奥行きが204mmと、かなり小さくなった。

前モデルと同等の機能ながらこのサイズに 高さも抑えられて、横長なイメージに

 奥行きが短くなったぶん、横がずいぶんと長く感じる比率となった。ただ昨今はテレビの奥行きがないため、AV機器もだいたいテレビの足の奥行き程度に収まるほうが好まれるようになったということもあるだろう。

 重量も4.5kgから3.1kgと、1kg以上軽くなった。まあ基本的には持ち運ぶものではないので、軽いからなんだということはあるのだが。

 正面からのルックスは、BDプレーヤー並みにシンプルで、BDドライブはスロットインタイプになっている。ボタン類は電源とイジェクトぐらいだ。左手のカバーが開くようになっており、ここにB-CASカードスロットとUSBポートがある。

BDドライブはスロットインタイプに 前面パネル内にはB-CASカードスロットとUSBポートが

 チューナは地デジ、BS、CSともにダブルチューナーだ。HDD容量は1TBで、エントリーモデルよりはだいぶ多い。全録のMシリーズは別と考えれば、従来型W録レコーダとしては実質上位クラスの容量である。さらに外付けのUSB HDDを増設できることを考えれば、当面は十分だろう。

 接続できるHDDは、1ドライブあたり最大で4TBまでのものとなる。登録可能な数は8台までというのは、従来と変わりない。

横一列になった端子群

 背面レイアウトも、薄型化に合わせて殆どの端子類が横一列になっている。唯一例外はアナログAVの入出力だけだ。HDMI出力1系統、デジタルオーディオは光が1系統のみ。背面のUSB端子は増設HDD専用だ。

 ネットワークはEthernet端子による有線接続のみで、無線LANには対応しない。昨今はレコーダでも無線LAN接続が標準になってきているが、その点では若干設置環境にハードルがあると言える。

 背面のパネルを見て何かもの足りないと思われるかもしれない。ファンがないのだ。ファンレスかと一瞬思ったのだが、廃熱ファンは底面にあった。脚部は薄く、それほど底面に隙間があるわけでもないが、これでも十分なようだ。底部に廃熱ファンを設けたレコーダが世界初なのかどうかはわからないが、少なくともこれまでこの連載で取り上げてきた中では、初めてである。

 リモコンは前モデルZ150の頃と同じものだ。再生操作ボタンと12キーを兼用する、独特のスタイルだ。なお今回はシンプルリモコンは付属しない。


底部に排気ファンを設ける斬新な設計 リモコンは従来同様



■東芝独特の操作感を継承

 では中身のほうを見ていこう。とは言うものの、実質的には前モデルのZ160/150とほとんど変わってない。詳しくは以前のレビューを、と書きかけて前回も実は大して中身をレビューしていなかったのを思い出した。

 すでに東芝レコーダをよくご存じの方にはお馴染みの情報だが、これから初めて東芝機を検討する方に、その独特の考え方をおさらいしておこう。

 まず東芝のW録機は、中身の録画エンコーダとして、R1とR2という、はっきりどっちを使うのか、という区別がある。他社のレコーダは、エンコーダがいくつあってチューナがいくつあって、という構成を、ユーザーに感じさせずに録画できるようになっている。だが東芝はW録をスタンダードにした時代から、このポリシーを通している。

予約が重複する場合、動作の問い合わせ画面が出てくる

 録画予約では、標準的にはR1が自動的にアサインされる。重複予約になったときだけ、R2で録画しますか、といったアラートが出る設計だ。これは、昔はR1とR2の機能に違いがあり、R2がサブ的な役割だった頃の名残である。いまはR1もR2も機能的にはだいたい同じなので、わざわざ分ける必要もないのだが、過去のユーザーはこのほうがわかりやすいとか、色々事情があるのだろう。

 その点を理解すると、いろいろわかってくる。例えば番組表で録画したい番組を選んでおいて、リモコンの「録画」ボタンを押すことで、設定画面を出さずにすぐ予約できる「一発予約」機能が搭載されている。これは他社でも同様の機能がある。


例え一発予約であっても、重複すれば通常の予約画面に誘導される

 この一発予約で時間的に重なっている番組を予約しようとすると、「一発」ではなく「数発」予約となる。まず重複のアラートが出て、R2で予約するかといった選択肢が出る。R2で予約を選択すると、続いて通常の予約画面が出てくる。

 一発予約なのに、R2への予約がこんなに面倒になっているのは、R1とR2の役割が違っていた頃の名残というわけである。以前のレコーダはアナログチューナやアナログのD1入力なども確保しつつ、デジタル放送独自のTS録画もサポートしなければならなかったので、一部の入力はこっちのエンコーダしか使えないとか、いろいろダンドリがあったのだ。

 昔は沢山のソースをユーザーが自分でやりくりできるレコーダとして、映像周辺機器を沢山持っているマニアに人気が高かったわけだが、それが故に内部ルーチンがものすごく複雑になってしまって、いまはもう直そうにも誰も手が付けられない状況になっているのではないだろうか。変なバグが出るぐらいなら、昔のままでいいということなのかもしれない。

 R1とR2の機能が分かれている部分もまだある。最近東芝が力を入れている機能として、タブレットやスマートフォンへの番組持ちだし機能に関わる部分だ。これは録画予約時に「オプション設定」で持ち出し用録画記録を設定するわけだが、この時の選択肢として、「持ち出し用録画のみ」と、「持ち出し用録画+通常録画」の2パターンがある。

 「持ち出し用録画のみ」を選択した場合、自動的にR2がアサインされる。「持ち出し用録画+通常録画」を選んだ場合は、通常録画はR1に、持ち出し用録画はR2が担当する。これは番組表で確認すると、予約情報に、R1とR2のマークが2つ付いていることでわかる。

番組持ち出しの設定 「持ち出し用録画+通常録画」を選ぶと、R1とR2が両方使われているのがわかる

 「持ち出し用録画+通常録画」を選んだ場合は、R1もR2も両方使っているため、その時間帯のW録はもうそれ以上できないということがわかる。さらに「持ち出し用録画」はR2でしかできないので、さらに「持ち出し用録画のみ」を選んでも、「持ち出し用」の番組をもう一つ同時にW録できないということもわかる。

 このように、同時動作の状況をユーザーが把握できるという点では、R1とR2という表示方法にはメリットもある。ただUIの見せ方としては、もうちょっとソフィスティケートにできないのか、という批判はあるだろう。



■どんどん進むタブレット連携

 レコーダとタブレット端末との連携は、DIGA+の場合、専用ディスプレイまで一緒にするという形で解決した。一方東芝の場合、自社製タブレット製品があるので、そちらと連携するという方法を実現している。

 東芝タブレットで出来ることは、大きく分けて「レコーダで受信している放送を生で見ること」、「録画した番組を見ること」、そして「録画データをタブレットに移して、ネットワーク圏外で視聴すること」の3つである。

 囲い込み戦略なのか、と思われるかもしれないが、実際には日本のデジタル放送特有のコピーコントロール縛りがあるため、全Android端末で実現できないという事情がある。そもそも無料放送にDRMをかけるなどということをしなければ、今頃はどんなAndroid端末でも実現できていた機能なのだ。

 東芝製タブレットとの連携は前回のZ150のレビューでお伝えしたが、手元に東芝タブレットがないと手も足も出ないというのはくやしいので、一般的なAndroid端末で動作可能なアプリとして、今回は「RZスケジューラ」を試してみた。

 これはレコーダ内の機能として好評だった、「おすすめサービス」から予約する作業を、タブレット上でも実現するアプリである。アプリはすでにGoogle Playで無料公開されているほか、iOS版もあり、多くの端末でインストール可能だ。今回は初代GALAXY Tabにインストールしてテストしてみた。

まずは機器登録を行なう

 まず最初に、機器認証を行なう。ユーザー名、パスワードなどはレコーダの初期設定でユーザーが自分で設定する項目だが、機器に対しての固有のパスフレーズを入力する必要がある。

 こちらは「おすすめサービス」内にある「レグザApp用パスフレーズ」という項目に書いてある。自動生成されるパスフレーズは、ひらがな10文字となっており、ファミコン世代にはふっかつのじゅもん的なアレで、ちょっと懐かしいやり方だ。

 機器登録が終了し、トップ画面に戻ると、レコーダの選択画面が出る。ここからレコーダの中のデータを参照するわけだ。


「おすすめサービス」でパスフレーズを見ながら入力 登録されたレコーダのうち、予約したい機器を選択

 「予約ランキング」の中には、地デジ、BS、CSのランキングがある。さらにその中に「総合」「ジャンル別」「時間帯別」の分類がある。「総合」はトータルのランキングで、いま人気の番組がチェックできる。

放送波ごとにランキングを選択 分類方法を選択 総合ランキングでは全体のランキングが把握できる

 面白いのは「時間帯別」で、深夜番組の中での人気番組や、朝の時間帯のランキングがチェックできることだ。

 朝の番組は、情報番組が多いかと思えばそうではなく、土日の子ども向け番組が上位に入っている。これは、朝の情報番組は生で見るもので、録画などしないということだろう。

 子ども用の番組であっても、上位のものは大人が見るために予約していると思われる。一方、12位ぐらいから本当に子ども用に親が録画予約しているというものが現われているようだ。このあたりは、東芝レコーダのユーザー層が垣間見えてなかなか興味深い。

深夜番組のランキングがわかる 朝の番組もアニメが優勢

 アプリでの予約設定画面は、全部のパラメータが縦にずらりと並んでおり、どの設定変更もアクセスしやすい。ただ、機能のプライオリティ付けがされていないので、パラメータの意味をよく把握しておかないと、余計なところをいじってしまう可能性もある。

ここで予約を行なうと、録画パラメータをいっぺんに俯瞰できる 細かい画質設定もタブレットならややこしくない?

 もっともタブレットなどを使って予約設定できるのは、比較的ITリテラシーの高い層かと思われるので、これでも問題はないのかもしれない。



■総論

 かつて東芝RDシリーズと言えば、マニアックな機能をどんどこ追加していって、録って残す派の人に絶大な人気を誇ったわけだが、その資産を使って全部入り小型に進んだらこうなりました、というのが、この夏のZシリーズと言えるのかもしれない。

 3万円台半ばまで価格が下がってきている同容量の前モデル、Z150と比べてどうかと言われると、正直本体サイズぐらいしか違いがない。他社がだんだん年1回ペースで新モデルを投入しているところ、半年で、しかもオリンピック商戦にも微妙に間に合ってないタイミングでの新モデル投入は東芝的にメリットがあるのかどうか、というのが気になるところだ。

 とは言っても、あと2カ月もすればCEATEC JAPAN 2012がやってくるので、この時にMシリーズの後継機をぶつけてくるのだとすれば、早めにW録機を出しておくという露払い的なところもあるのかもしれない。

 従来東芝機をずっと使っていた人の買い換え、買い増しとしては、前モデルから今モデルまで、値段がこなれてきたら買い時であろう。ただレコーダのあり方も今後加速度的に変わってきている中で、いくら多機能とは言え、従来スタイルのレコーダを今買うのは勿体ないんじゃないかなーというところも、考えておいた方がいいのではないかと思う。

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1TB DBR-Z250
2TB DBR-Z260
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(2012年 8月 29日)

= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチボックス」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。

[Reported by 小寺信良]