小寺信良の週刊 Electric Zooma!

第646回

“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

CES 2014、ソニーの新カメラをレポート

小型4Kハンディカム。白いアクションカムは強化点多数

2014年の幕開けと言えば……

 毎年1月上旬に行なわれる、世界最大級のコンシューマエレクトロニクスショーのCES。昨年は留守番だったので、およそ2年ぶりの参加である。例年のCESは土日がプレスデーで、月曜日から木曜日が展示会となっていたが、今年はちょっと変則的で、日月がプレスデー、火曜日から金曜日が展示会となっている。

 現地時間で月曜日となる本日は、数多くのプレスカンファレンスが行なわれた。これも従来は市内中心部にあるVenetianのボウルルームで行なわれていたが、昨年から空港にほど近いホテル、Mandaray Bayに隣接するコンベンションセンターを中心に開催されることとなった。こちらも広くて立派な会場ではあるが、いかんせん市内中心部からみれば、南の端のホテルである。アクセスは非常に悪い。

 さらに言えば、Mandaray Bayコンベンションセンターとは別の場所、もっと市内寄りのホテルや、本会場であるラスベガス コンベンションセンターでプレスカンファレンスやミーティングを行なう企業もある。移動が間に合わないために諦める事になるなど、プレスにとっては非常に辛い会場配置となっている。

 本日は日本企業を中心にプレスカンファレンスに出席したが、メーカーによって人の入りは大きく違う。やはり面白いもの、新しいものにチャレンジする企業は、ここ米国でも非常にウケがいい。

カウントダウンの映像まで手が込んでいる

 中でも本日最後となるソニーのプレスカンファレンスは、会場となった本会場のソニーブース内一杯にイスを並べるも、そこに入りきれないほどの盛況ぶりを見せた。またプレス向けに見せる映像も、他社のパワポめくりながらの説明とはグレードが違う。ブースの上をぐるりと取り囲む帯状のスクリーンに投影される映像が、スピーチに合わせて変化していく。これ自体が一種のエンタテイメントになっているのだ。インターネット放送でライブ配信も行なわれたので、ご覧になった方はラッキーだった。アーカイブも公開されているので一度観ていただきたい。

本当の意味での4Kハンディカム登場

 プレスカンファレンスの細かな内容については、レポート記事の通りだ。カンファレンス後は、のいつものように、一般来場者よりも1日早くブース内の製品を見て回ることができる。大変な人混みなのですべてのものをゆっくり見ることはなかなか難しいが、個人的に気になるものがいくつか展示されていたので、それをご紹介しよう。

文字通りのハンディサイズ、4Kカメラ「FDR-AX100」

 ソニーがカバーする製品は幅広いが、プレスカンファレンスで一番の驚きをもって迎えられたのが、新4Kハンディカム「FDR-AX100」だろう。昨年11月に発売された「FDR-AX1」は、同社大型ハイエンドモデルのAXシリーズをベースにした4Kのカメラだった。一応ハンディカムシリーズではあるものの、あれが名前通りハンディかは意見が割れるところだろう。

 HD化する時もそうだったが、まず最初にAX1ぐらいのサイズのカメラが出て、そこから小型化されて普及期に入っていくものだ。ちなみに過去の連載を振り返ってみると、HDのカムコーダで最初の大型機が2004年10月発売の「HDR-FX1」、そこから小型化した「HDR-HC1」が出たのが、翌年2005年の7月のことであった。当然開発は平行して行なわれているとみるのが妥当だろうが、HD化の時には小型化に9カ月の開きがあった。だが今回の4K化では、小型新カメラの発売が(米国で)3月ということで、たった4カ月にまで短縮してきたことになる。

 体積比でおよそ1/4になったということだが、光学部を極端に小さくすると当然画質的に厳しくなる。今回のAX100は、前玉がかなり大きく、実に玄人好みのカメラに仕上がっている。

 レンズはもちろん新開発のZEISS バリオゾナーT*で、29mmスタートの光学12倍ズーム。超解像領域まで入れれば18倍となっている。絞りは7枚羽根の虹彩絞りで、3段階のNDフィルタも装備する。小さいながらもシーソー式のズームレバーが付いているあたりもポイントが高い。

小型ながらシーソー式ズームレバーを装備
背面には3段階のNDフィルタスイッチ
マニュアルリングの装備もぬかりない

 センサーは動画撮影時の有効画素数1,420万画素、1.0型の裏面照射CMOS。かつてHD時代はなかなか高画素のセンサーが搭載できず、画素ずらしなど色々なテクニックを使ってようやく達成した経緯があるが、今回はそもそも多画素化の発熱が問題となったCCDではなくCMOSだし、デジタル一眼のおかげで高画素化技術も積み上がってきている。最初から十分な画素のセンサーであるという点は、まさに時代の恩恵を受けたと言えるだろう。

 ただ本機での4K撮影は、フレームレートが最大30p止まりとなる点は注意が必要だろう。現在日本では、2020年のオリンピックをキーワードに「4K/60pでなければ4Kに非ず」的な流れにも見えるが、30pというフォーマットの魅力がうまく伝えられるか、そこがソニーの腕の見せ所だろう。一方画素数を落として720pでの撮影では、最高120fpsで撮影できる。

録画フォーマットは、4K/30p/24pと1080/60p/30p/24pがXAVC Sを使い、高ビットレート記録が可能。HD撮影ではAVCHDでも撮れるが、規格上のビットレートが28Mbpsまでしかないため、さらに高ビットレートで撮影するためにXAVC Sを利用する格好になっている。XAVC Sでは50Mbpsの記録も可能だ。この背景には、現在標準的な解像度となったHDでXAVC Sフォーマットが普及すれば、将来の4Kへの布石になるという狙いもある。

 画像処理エンジンは最新の「BIONZ X」。HDMIのバージョンは確認しなかったが、4K/30pなのでHDMI 1.4で十分対応できるはずだ。また4KからHDへのダウンコンバート機能もあり、1/4に縮小するため、解像感の高いHD出力が得られるという。またフルHD出力としては、4K映像から、任意の1/4の面積部分を切り出して出力する機能もある。カメラの液晶モニタ側は4K映像全体が表示されるので、画面上をタッチするとその場所がフルHDで出力されるというわけだ。

HDタイプのXAVC S対応カメラ「HDR-CX900」

 音声はXAVC Sモードでは2chリニアPCM、AVCHDモードでは5.1ch AC3となる。米国では今年3月の発売予定で、価格は約2,000ドルとなっている。

 同デザインのHDタイプのカメラ「HDR-CX900」もあり、こちらもXAVC Sでの高ビットレート記録が可能。3月発売で価格は約1,500ドル。そのほか、プロジェクタ内蔵型のHDハンディカムも新モデルも発表されている。

白いアクションカム?

カンファレンス中ずっと正面に近い位置に投影されていた「HDR-AS100V」

 プレスカンファレンスで上映された映像でも目立つ位置に描かれていた、白いアクションカム。最初はカラーバリエーション展開なのかと思っていたが、話を聞くとまったく別モデルの「HDR-AS100V」という新製品であった。

 従来のASシリーズは、防水機能を持たせるためにハウジングに入れる必要があった。だがせっかく本体が小さいのに、ハウジングが結構大きいため、他社のアクションカムよりも大きくなってしまっていた。筆者はそれがいやで、本体のみをどうにか三脚に固定できるよう、いろんな治具を組み合わせて使っている。もちろん、それでは防水機能がないので、アクションカムとしては使わず、普通にインタビュー撮影とかで使うだけである。

本体が防滴仕様となった

 だが今回の新モデルは、本体だけで防滴機能を持たせている。水中撮影には水圧の問題もあるので、さすがにハウジングに入れないとダメだそうだが、浜辺やスキー場などちょっと濡れるぐらいのことなら本体だけで撮影できるようになった。

 背面や底部の蓋は隙間がラバーでカバーされ、簡単には空かないようなラッチが付けられている。また底部には小さな三脚穴がある。もちろんこれでは普通の三脚には付けられないので、別途三脚穴の変換アダプタを使うようだ。写真では展示の都合のために底部の蓋が取り外してあるが、製品版は蓋は取れないという。

背面の蓋もきっちりシールドされている
底部に小さい三脚穴も装備
変換アダプタを使って既存のアクセサリに直接付けられる

 上部にある四角い部分は赤外線受光部だ。本機からタイムコードも入れられるようになったが、それの“ゼロリセット”をリモコンで行なうためのものだという。リモコンは専用のものはなく、HDR-AX2000、HXR-NX5J、NEX-FS100J、HXR-NX70J用に付属する「RMT-845」で対応するという。

 見た目はそんなに変わらないが、他にも変更点は多い。本体上部には、録画状態を示すタリーが追加された。また本体のみで使用する際にレンズを保護できるよう、レンズガードが取り付けられるようになっている。

液晶上部に赤外線受光部
レンズガードを取り付けたところ

 レンズ、CMOSも新しくなり、より高解像度な撮影が可能となった。センサーは有効約1,350万画素数の裏面照射型CMOS Exmor R、レンズはZEISSのテッサーだ。

 特にCMOSは読み出し速度を上げたことで、ローリングシャッター歪みを改善したという。従来のモデルは自転車など細かい振動が加わる映像では、映像が波のように曲がることがあったが、あの現象が改善される。さらに手ぶれ補正のアルゴリズムも改良し、より細かい振動を補正するようにした。その相乗効果で、かなり振動歪みを押さえ込めるという。

 また、こちらも画像処理エンジンを「BIONZ X」に変更したことで、1080/60pの映像をXAVC Sコーデックで最高50Mbpsで撮影できるようになっている。

 HDR-AS100Vは米国で3月発売。価格は本体セットが299ドル、すでに発売済みのライブビューリモコン「RM-LVR1」を同梱したモデルが399ドルとなっている。

 普段からAS15を使っている身からすると、ベースの形を変えずに3世代目まで来て、かなり完成度が高くなったと感じる。また、本体に三脚穴が追加されたのは、使い勝手としてもかなり大きな変化だ。

 ただ、Wi-Fiによるモニタリングが2.4GHz帯しかないので、コンベンションのような無線電波が飛び交いまくりの現場ではちゃんと動かない。それが故に展示用の機器はわざわざ改造して、有線で繋げている。それだったら最初から5GHz帯とかWiGigのような60GHz帯とか、競合がない帯域にいち早く移行すべきだ。なぜならばこの手の製品は、広く普及するようなものではなく、スペシャルな人が必要に迫られて買うものなのだから、汎用性を考える必要はないからである。

 CES2014は、いよいよ明日からが本番である。プレスカンファレンスでは紹介されなかった製品も、数多くお目見えすることだろう。今後のレポートにもぜひご注目いただきたい。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチボックス」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。