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国内最大の映像機器展「Inter BEE 2007」が、幕張メッセで11月20日から22日まで開催されている。放送業界向けの展示会となっており、最新ビデオカメラやモニタ、デジタル放送用の送出システムなどが出展されている。
入場は無料だが、事前登録もしくは会場での当日登録が必要となる。主催は社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。出展者数は754社で、前年比21社増の過去最大規模となっている。
■ ソニー
14日に発表された、2008年2月発売のHDVカムコーダ「HVR-S270J」、「HVR-Z7J」などを展示。 いずれも、新開発の1/3型、112万画素CMOSセンサーを3枚使った「3クリアビッドCMOSセンサー」を搭載。CMOSセンサー内にカラムA/Dコンバーターとデュアルノイズリダクションを集積化した「Exmor」技術により、暗部撮影でも低ノイズ化を図っている。HDV 1080/60i、DVCAM/DV 480/60i記録に加え、HDVの1080/24p、30pのプログレッシブ記録にも対応する。 HDVテープだけでなく、CFカードへの記録も可能。同梱しているメモリーレコーディングユニットをカメラ本体に装着し、別売CFカードにHDV(.m2t)/DVCAM/DVの映像をファイルとして記録できる。DVテープとCFの同時記録も可能。
また、新技術として有機ELディスプレイを用いたビューファインダを参考展示。11型パネルを搭載し、カメラの上部に装着するカラーモニタのように利用できる。なお、パネルは、12月1日発売の有機ELテレビ「XEL-1」と同じもの(11型/960×540ドット)を使用している。 モニタとしての輝度やコントラストなどの仕様は決定しておらず、製品化の時期や価格などは未定。
マスターモニタの新製品として、NAB2007で発表された23型の「BVM-L230」(12月15日発売/207万9,000円)も披露。22.5型/1,920×1,200ドットのパネルと、3色のLEDを用いる「TRIMASTER」バックライトを搭載。ドライバは10bitで、フレームレートは96/100/120Hzに対応する。 さらに、2008年のNABでの正式発表を目指すという同シリーズの42型「BVM-L420」も参考展示。価格は未定で、6~7月の発売を予定する。IBC2007では静止画のみの表示だったが、今回は初めて動画も映された。
■ 松下
9月に発売した「AJ-HPX3000FG」(546万円)など、P2HDシリーズの新ラインナップを展示。今後発売のモデルとしては、2008年春の発売を予定するAVCHD記録のプロフェッショナル向け低価格モデル「AG-HMC75」を参考展示。 AG-HMC75は、1/4型CCDを搭載し、AVCHDの1,440×1,080ドットでSDHCカードに記録可能。出力端子としてHDMIやコンポーネント(BNC)、コンポジット(同)を搭載、音声入力にはRECレベルボリュームを備えたXLRを搭載する。RCAのオーディオ出力や、ヘッドフォン出力も装備する。スピーカーも内蔵。液晶モニタは3型。価格は未定だが、30万円前後の見込み。
そのほか、1080i対応で遠隔操作が可能なカメラ「AW-HE100」を展示。SDI出力対応ユニット「AW-HHD100」と合わせて2008年3月に発売され、価格は「AW-HE100」が882,000円、「AW-HHD100」が157,500円。 カメラは回転台との一体型で、離れた位置の別売コントローラで操作できる。解像度は1080i/720p/480iの切り替えが可能。レンズは新開発のフィルタ径82mm/光学13倍ズームレンズで、ワイド幅は32.5mm。
なお、会場では開幕直後に記者発表会が催され、P2HDシリーズとの機器互換やシステム開発に関する新たな協業を発表。 富士フィルムが米欧など海外市場向けにP2互換カードを2008年春から発売するほか、ThomsonのGrass ValleyビデオサーバーがDVC PROとAVC-Intraの両コーデックに対応することが明らかになった。さらに、朋栄が開発したメディアマネジメントシステムや、Omneonの送出サーバー「Spectrum」の入出力ユニット「MediaPort」も新たにAVC-Intraをサポートする旨が発表されている。 P2シリーズはワールドワイドで6万台以上を出荷、採用する放送局は610局に達している。AVCネットワークス社 システム事業グループ システムAVビジネスユニットの下水流正雄ビジネスユニット長は「100万の味方を得たようなもの。P2カードの容量拡大も検討し、今後もP2で映像文化に貢献したい」とコメントしている。
■ マクセル、ビクター、KDDIなど
日立マクセルは、ノンリニア編集へのiVDR活用提案として、業務用の250GB/160GBモデルを参考展示。コンシューマ向け製品との違いは、温/湿度に関する耐久性の向上や、著作権保護規格「SAFIA」に対応しない点など。製品化の時期や価格は未定。 ブースでは、USB接続アダプタを介した編集をイメージしたデモを行なっていた。また、既存製品よりカートリッジが約6mm厚い18mmの耐衝撃モデルを参考展示。高さ1.22mからの落下テストをクリアしたという。
ビクターは、11月2日に発表した液晶モニタ「DT-V9L1D」(9型)や「DT-V17L1D」(17型)を展示。また、HD-SDI入出力とHD-SDIキー出力を備えたハイビジョンビデオテロッパー「BC-9000B」も展示されている。 なお、19日に発表された業務用4K D-ILAプロジェクタ「DLA-SH4K」は隣にあるアストロデザインのブースでデモ上映していた。
KDDI研究所のブースでは、4Kデジタルシネマ向けのH.264エンコーダソフトを展示。4Kデジタルシネマ向けに、MPEG-4 AVC/H.264のHigh Profileでのリアルタイムエンコードがソフトウェアで行なえる世界初という技術で、会場では35mmフィルム素材から取り込んだ映像をH.264に変換、4Kモニタに表示していた。 また、低価格なH.264エンコーダや送出システムが登場したことにより今後懸念されるという、偽のワンセグ放送などのサービス妨害を目的としたストリーム認証システムを展示。 偽のデータ放送を用いた不正ショッピングサイトへの誘導などを未然に防ぐため、電子署名が認証されない放送に対してはテロップでエラー表示を行なうというもので、会場で実際に偽のワンセグ放送波を送信、携帯電話側で検知するというデモを行なっていた。
□InterBEE 2007のホームページ ( 2007年11月20日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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