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「アナログ終了3年前 デジタル完全移行推進の集」が開催
-各界代表と、地デジ大使、草なぎ剛が集合


各界代表、草なぎ剛さん、地デジ大使が勢ぞろいした

7月24日開催


会場は明治記念館
 総務省は24日、地上放送のデジタル化を加速推進することを目的として、総務大臣が本部長を務める「地上デジタル放送国民運動推進本部」を明治記念館(東京)で開催した。今後、半年毎に年2回程度(1月24日前後、7月24日前後)の開催が予定されている。

 この推進本部は、「2011年7月の地上放送の完全デジタル化に向けた最終段階にあって、高齢者を含め、すべての国民に対する丁寧な啓発・相談、地域レベルのデジタル化への取組支援などすべての関係者が一体となった国民運動を展開することにより、国民の視点に立った地上放送のデジタル化を加速推進すること」を目的としている。

 推進本部の後には総務省デジタル放送推進協会(Dpa/ディーピーエー)が主催の「アナログ放送終了3年前 デジタル放送完全移行推進の集」が行なわれた。アナログ停波(2011年7月24日)まで、ちょうど3年(1,095日)前ということで、デジタル放送を推進する国、放送事業者、メーカーなどの関係者が一堂に会した。

増田寛也総務大臣

 開会にあたり、増田寛也総務大臣が、海外に出張中ということで、ビデオコメントで挨拶した。「地上波がデジタル化されると画像が鮮明になり、データ放送などさまざまな情報の提供が可能になる。しかし、地デジは知っていても、移行日まで知っているという国民は65%にすぎないデータもある。こうしたことに対処して、確実にその日を万全の体制で迎えられるように努力していきたい」と述べた。

 さらに、日本放送協会の福地茂雄会長、日本放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長、電子情報技術産業協会(JEITA)の庄山悦彦会長の3人も挨拶した。

日本放送協会会長の福地茂雄氏。「茶の間のテレビからアナログ放送の映像が消えるまで、あとたったの3年になった。NHKでは、それまでにあまねく、全世帯に電波を届ける」として具体策を挙げた。
「具体的な対策が2つ。1つは、NHKでは今朝から、アナログ放送に画面の右上にアナログという文字を入れている。せっかく、デジタルテレビをお買いになった方でも1割近い方が、アナログ放送しかごらんになっていない。そういった意味でも認識を高める効果がある。もう1つは、全国各地で、相談にのること。残された3年間、完全デジタル化、アナログ放送の終了に全力で邁進していく」とした
日本民間放送連盟会長の広瀬道貞氏。「2009年にアメリカがアナログを停波、2010年にドイツ、2011年に日本、フランス、カナダ、2012年にイギリス、イタリアと、サミット参加国が相次いでアナログを停波する。ただ、日本のデジタル化に限って、高精細で、音が非常に優れ、ワンセグ、データ放送といった新しい機能も加わるという特徴がある。ほかの国は、デジタル化を多チャンネルに使っているために、サービス面では新しい機能は難しい」と世界のデジタル化の現況を説明。
 さらに「さきほど紹介したうちの6カ国は、当初の計画からアナログ停波を2~3年を伸ばしている。日本の場合は、目標通り、アナログ停波ができる見込み。NHKとともに、デジタル化が怖いものではない、難しいことはないと、各ご家庭の細かい相談にのるという体制で進んでいきたい」と意気込みを語った
JEITAの庄山悦彦会長。「デジタル放送への完全移行は、電波の有効活用や、より便利で安心安全な社会の実現に絶対必要だと思っている。メーカーとしても、積極的に対応していく。そのためには、より使いやすい、多様なニーズに答えらるように、努力していく。一時的にアナログテレビの廃棄が増えることに対しても、責任を持って対処していく所存。アンテナなどの受信システムの整備とか、受信機の調整なども必要になる、受信機の機器メーカーとしては、努力してまいります」と語った。
 また、「政府におかれましては、国民的運動として周知徹底、リハーサルの実施であるとか、経済的に困窮度の高い世帯には、それなりの対応するとか、ぜひ必要になってくると思っている」と、国の協力が不可欠であることを強調した

■「草なぎブルー」を実験

NHK総合の生放送特別番組「備えあれば映りよし ~完全デジタル化まであと3年~」

 その後、11時5分から30分までNHK総合の生放送特別番組「備えあれば映りよし ~完全デジタル化まであと3年~」と連携し、「実際にアナログ放送が終了するとどうなるのか」の実験を行なった。「アナログ放送だけ1分程度停止。3年後の状態を再現する」という実験で、NHKとしても初めての実験という。

 会場のステージには、「街を歩いていると、あっ地デジ君だっていわれます」という、地デジ推進キャラクターの草なぎ剛さんが登場。中継で生放送に出演。会場にはアナログテレビと、デジタルテレビが並べられており、NHK総合の生放送を表示。

草なぎ剛さんを中心に、地デジ推進大使と実験のカウントダウンを行なった
 草なぎさんのカウントダウンを行ない、0になったところで、デジタルテレビは番組がそのまま表示されているのに対し、アナログテレビでは青地に白文字の「お知らせ画面」が表示された。この画面は「草なぎブルー」と命名された。

 実際に3年後の7月24日にアナログ放送には「草なぎブルー」が表示され、25日以降は何も映らなくなることになる。今回は実験ということで1分程度で、アナログ放送も通常の状態に戻ったが、番組の最後には、「ショッキングな映像で何件か問い合わせがありました。お詫びします」と謝罪していたので、3年後の本番で、どうなるのかが不安なところだ。

スクリーン下の左がアナログテレビ、右がデジタルテレビ。実験開始前は左右とも同じ番組が表示されている(デジタル放送に遅延があるため、同じ画面ではない) 実験が開始されると、左のアナログテレビは「草なぎブルー」となったが、右のデジタルテレビは通常の放送が表示されている 「草なぎブルー」の表示内容

■「地上デジタル放送推進総合対策」を策定

佐藤勉 総務副大臣

 今回、総務省がまとめた「地上デジタル放送推進総合対策」を、佐藤勉 総務副大臣が報告。「できることではなく、尽くすべきことを覚悟を決めて断行するするため、今後実施すべき施策を整理した」という。施策に必要な経費は、2009年度以降の予算で措置できるように予算要求を行なう予定としている。

 この中には、「国民に地上デジタル放送についてご理解いただくための取り組み」などが盛り込まれている。具体的には、相談体制として「テレビ受信者支援センター(仮称)」を今秋に全国で約10カ所、2009年度初頭には、都道府県に少なくとも1カ所設立。独居老人宅などへの個別訪問も行なう。また、5,000円以下の簡易なチューナなどを来夏までに市場に出回るように取り組むことや、2009年度から2010年度にかけて、生活保護世帯に対し、受信機器購入などの係わる支援を行うことなども、書かれている。

 難視聴対策としては、デジタル難視聴者世帯(最大35万世帯)のうち、物理的、費用的に対策が困難な世帯に対し、暫定的(5年間)に放送衛星によるシステムを構築し、209年度内に運用を開始。また、IP再送信が2010年末までにできるだけ広いエリアで提供されるとともに、実施時期のロードマップが公表されるよう、電気通信役務利用放送事業社に働きかける。

 アナログ放送終了にあたっては、視聴者の混乱防止の観点から、「地域間で終了時期に差を設けない」、「放送終了に向けた取り組みを段階的に強化する」という。地域を限定してアナログ放送先行して止める、アナログ放送終了のリハーサルを2009年度中に実施するとしている。

 この対策を受け、「皆様のご理解をいただくべく、関係者が連携・協力して、地上デジタル放送の推進を国民運動として展開していく決意を表明します」と、「地上デジタル放送に関する国民運動推進宣言」を行なった。

地上デジタル放送推進総合対策 地上デジタル放送に関する国民運動推進宣言

■ 草なぎ剛の新CMなど、Dpaの活動を報告

Dpaの間部耕苹理事

 Dpaの間部耕苹理事は、「6月末の統計では、デジタル受信機器が3,742万台が出荷され、世帯では5,000万世帯のうちの2,400万世帯がデジタル受像機を設置している。北京オリンピックに向けて、デジタルがアナログの受像機の逆転することを目標としているが、それを達成できるのではないかと、思っている」と見通しを説明。

 「今までにデジタル化していただいたのは、デジタル化に前向きな人たち。残りの人たちにも、速やかにデジタル化していただくよう努力する。そのためには、今のアナログ受像機でも見られるような、低廉な簡易型受像機の提供も暫定的には必要であろうと思う。国や自治体、放送や通信事業者、メーカー、量販店や、販売店が一体となって、きめ細かく、丁寧に対応していくことが、最終局面を迎える最終的なイメージだろう」とした。

 また、Dpaからの活動報告としては、「地デジ準備」全国キャラバンに、小型の1BOXカーが追加され小回りがよくなったことや、Dpaのホームページで一番アクセスが多いのが、「放送エリアの目安」であることなどが紹介された。

 さらに、番組を通じた地デジPRの強化月間担当社が紹介された。会場のスクリーンには、今までにPRが実施された、フジテレビのネプリーグや、TBSの東京フレンドパークIIなどの映像が流された。このほかにも、6月14日放送のドラマ「ルーキーズ」では、セリフの中でアナログ停波の告知(1分程度)を行なうなど、各局が積極的に行なっている。

従来のキャラバントラックに、小型の1BOXカーが仲間に加わった

番組を通じた地デジPRの例

 また、引き続きイメージキャラクターを務める草なぎ剛さんが出演する新しいCMも披露された。「アナログ放送終了 イメージ」篇(30秒、15秒)、「アナログロゴ表示」篇(30秒、15秒)、「地デジ、よし!」篇(30秒、15秒)の3種類で、「アナログロゴ表示」篇は2009年1月以降に、それ以外は2008年7月24日以降にNHKと民放127局で、それぞれ放送局ごとに年間1,000本程度放送する。

新CM

 地デジ推進大使の6名が待つステージに、再び登場した草なぎさんは「ご苦労様です」と、地上デジタル推進大使の活動の労をねぎらった。今回の新CMについては、「国民の皆さんに、少しでも地デジのことを理解いただきたいと思いまして、すごい気持ちをこめて撮りました。とてもいいコマーシャルだなと自分でも思いました。少しギャグも入っていて、幸せを感じています」と手ごたえを感じている様子だった。

NHK
島津有理子アナウンサー
日本テレビ
馬場典子アナウンサー
テレビ朝日
上宮菜々子アナウンサー
TBS
竹内香苗アナウンサー
テレビ東京
森本智子アナウンサー
フジテレビ
大島由香里アナウンサー
(中村仁美アナウンサー代理)

 草なぎさんは、「テレビに育てていただいて、テレビを中心に仕事をさせていただいています。テレビが生活のすべてといっても過言ではありません。そのテレビが、今、生まれ変わろうとしています。その大事なときに、少しでも、お手伝いをしたいと思いまして、地デジ普及推進キャラクターを務めさせていただいております。もう3年目になるんですが、完全デジタル化が、とても大変なことであるということが、やっと、僕にもわかってきました」と語った。

 続けて、「完全デジタル化を実現するためには、推進大使や、国やテレビ局、受信機メーカーがもっと一致団結しなければならないと思います」とここまでスムーズだったが、言葉につまり、「すいません。覚えてきたんですけど、忘れました」と、カンペを見る一幕も。すかさず、地デジ推進大使に「急にデジタルからアナログに切り替わった感じでしたけど」と突っ込まれていた。

 「もっともっと、こと細かく、わかりやすく、国民の皆さんに地デジのことについて、説明して、国民の皆さんの声に耳を傾けていくことが必要だと思っています。あと3年しかありません、2011年7月24日までに、地デジ完全移行にむけて、協力してまいりましょう。今日、そのために、僕はきました」と決意表明を行なった。

 最後に草なぎさんと地上デジタル大使の全員で「地デジの準備、よろしくお願いします」と声を張り上げた。

会場には各社のデジタルテレビが並べられた

□総務省の地上デジタルテレビ案内ページ
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/index.html
□「地上デジタル放送国民運動推進本部の開催について」のニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080722_1.html
□全国地上デジタル放送推進協議会のアナログ放送終了計画案(PDF)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/joho_bukai/pdf/080526_1_sk3.pdf
□Dpaのホームページ
http://www.dpa.or.jp/
□ニュースリリース
http://www.dpa.or.jp/news/news080725.html
□NHKのホームページ
http://www.nhk.or.jp/
□「アナログ停波に向けて」のニュースリリース(PDF)
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20080724.pdf
□関連記事
【7月24日】NHK、地上アナログ放送で「アナログ」表示を開始
-民放もゴールデン帯の番組冒頭で表示。地アナ停波まで3年
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080724/analog.htm
【4月25日】アナログ放送に「2011年7月放送終了」のメッセージ表示
-停波半年前にはアナログ放送が常時レターボックスに
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080425/soumu.htm
【2007年12月1日】「デジタル放送の日」式典開催。地デジ大使と草なぎがPR
-BSデジタル新3局の本放送開始カウントダウンも実施
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071201/dpa.htm
【7月24日】NHK/民放アナの地デジ推進大使がDpaの新企画を紹介
-「全国キャラバンカー」で魅力アピール。新CMも開始
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070724/dpa.htm
【6月14日】地上/BSデジタル放送を推進する“戦うDpa”第一回総会
-「低所得者のSTB補助も」。テレ朝の大使は野村アナに
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070614/dpa.htm
【2003年12月1日】地上デジタルテレビ、12月1日11時より3大都市圏でスタート
-小泉首相が記念式典でカウントダウン
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031201/gdb.htm

(2008年7月24日)

[AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]


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