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株式会社スカパーJSATホールディングスは13日、2008年度第3四半期の決算と、今後の事業展開に関する記者説明会を開催した。 昨今の不況の中でも、景気の影響を受けにくいというビジネスモデルから、ほぼ業績予想通りという結果を維持。有料多チャンネル放送においても、年末年始に多くの無料体験申込者を獲得するなど、好調ぶりをアピールした。また、2008年10月に開始したHD放送「スカパー! HD」の今後の計画や、2009年の参入を見込むBSデジタル放送への取り組みなどについても触れた。 ■ 年末年始のe2拡大で契約増。HDの遅れも回復へ
有料多チャンネル放送サービスの新規個人契約件数は、第3四半期で12万3,000件となり、前年同期に比べ5,000件増加。「スカパー! 」(HD含む)は2万7,000件と減少(前年同期4万3,000件)したが、「スカパー! e2」は8万2,000件(同6万3,000件)と大きく伸びた。この結果について秋山政徳社長は「HDが実質的に遅れたが、e2の増加が寄与した」と説明した。 この“遅れ”とは、2008年12月末に判明した「スカパー! HD」用チューナ「SP-HR200H」のソフトウェア不具合を指している。これが原因で、一時は新規加入受付を中止していたが、アップデートにより不具合を解消し、2月3日より新規受け付けも再開している。 e2については、年末年始のテレビ売上が約120%という伸びを示したこともあり、無料体験申込みが大幅に増加。2008年12月の申込みは約9万件で、11月の約2倍になったという。無料体験契約は、翌月に本登録に移行するため、1月に多くの新規加入を見込む。1月の無料体件数も6万件を超えている。さらに、1月から始まった「ぺ・ヨンジュン祭り」の効果などで、カスタマーセンターへの問い合わせ電話が過去最高を記録したという。 一方、解約率については、月次の平均個人解約率が2007年第3四半期から上昇傾向にあり、2008年第3四半期は前年同期比0.27ポイント増の1.27%となっている。当期の上昇要因としては(1,000円未満の)小額支払いユーザーの解約が増えたこと、e2においてプロ野球、サッカーシーズン後の季節的解約を挙げた。 このうち、野球/サッカーについては「3、4月で戻ってくる」としたほか、少額契約者の解約については「月の支払いが3,500円以上の高額契約が全体の額に占める割合は75%以上で、高額契約者の解約は年率換算で9%以下。業績への影響という意味では限定的だといえる。高額契約者を長くしっかり受け止められるように営業努力したい」とした。
多チャンネル放送の今後のキーワードとして、スポーツにおける「ライブ性」、「多数の同時開始」を挙げ、これらのニーズに応えられることを同社の独自性として訴求。2010年のサッカーワールドカップ全64試合をハイビジョンで生中継するほか、チームが増えたJリーグの全765試合生中継などを行なう。プロ野球については2008年シーズンの契約者数が過去最高となり、現在は2009年シーズン向けのセットを準備中としている。 そのほか、これまでも特別協賛を続けてきた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」(2月26日~3月2日開催)についても、上映される34作品をサテライト上映として同時期にハイビジョンで放送する。 「スカパー! HD」の計画については、従来から変更はなく、2009年10月に70ch、2012年に100ch以上という体制に向けて準備を進めているという。現在を「第2のステップ」と位置づけており、「映像品質の向上だけでなく、チューナについてもさらに高機能な製品の投入を進めるとした。 また2011年放送開始を計画する新BS放送についても大きな進捗は無く、サービスのプラットフォームを現在のe2と共通化し、顧客管理やマーケティングなどにおいてe2とBSを付帯的に運用するという方針を示した。なお、2011年上期の打ち上げを予定するBS/CSハイブリッド衛星は、e2のバックアップと、新BSをカバーする予定となっている。
■ 不況に強いビジネスで堅調を維持
第1~3四半期(4~12月)累計のグループ連結損益は、売上が1,078億4,600万円で前年同期比119.3%の増加。営業利益は122億8,700万円(127.9%)。有価証券評価損などの影響で当期純利益は32億800万円(29.4%)の減益となったが、同社はほぼ業績予想通りとしている。また、通期の業績予想にも変更は無い。 秋山社長は、ネットショッピング利用の増加や、調理家電の販売好調といった現状から、「“安・近・短”や“巣ごもり”といった言葉が象徴するように、流れがこちらに向かっている。経済環境の厳しさは承知しているが、変化をチャンスととらえて飛躍できるよう、守りと攻めのバランスを取る」と積極的な姿勢をアピール。また、趣味趣向の多様化などを背景とし、同社のサービスが、従来型の総合編成のテレビに比べ「時代の流れと要請にかなったテレビになりつつある」と自信を見せた。
□スカパーJSATのホームページ ( 2009年2月13日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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