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ローランド、ヘッドフォンのV-MODAを子会社化。“新iPhone”用Lightningケーブルも予定

 ローランドは9日、ヘッドフォンやイヤフォンで知られる米V-MODAの株式を取得して子会社化したことを発表した。'16年秋よりV-MODAヘッドフォンなどの国内取り扱いを開始し、フラッグシップ機「Crossfade M-100」やBluetooth搭載「Crossfade WIRELESS」などを販売する。

V-MODAのCrossfade WIRELES

 V-MODAはDJのVal Kolton氏により2005年に設立。フラッグシップヘッドフォンの「Crossfade M-100」をはじめとするヘッドフォン/イヤフォンを展開。ヘッドフォンのハウジングに六角形の外装パーツを採用しているのも特徴で、製品デザインは、イタリア・ミラノの子会社が行なっている。

ハウジングのパーツをカスタマイズ可能

Crossfade M-100

 '16年秋より発売するフラッグシップの「Crossfade M-100」は、50mm径デュアルダイヤフラムドライバを搭載。中/高域と低域を分離し、鮮明で高精細、豊かな低域を再現可能としている。音漏れを最小限にするという独自技術「V-PORT V3 Airflow System」構造も採用。米国防総省のミルスペック(MIL-STD-810G)に準拠する高い耐久性を備える。本体カラーはMATTE BLACK、WHITE SILVER、SHADOWの3色。

Crossfade M-100

 ケーブルは着脱式で、入力は左右のハウジングに各1つの2系統を装備。2つの音源をミックスして聴くこともできる。ヘッドフォン本体の色やパーツなどのカスタマイズにも対応できる。再生周波数帯域は5Hz~30kHz、感度は103dB/mW、インピーダンスは32Ω。ケーブルを除く重量は283g。2mのステレオミニケーブルや標準プラグアダプタ、キャリングケースなどが付属する。

Crossfade WIRELESS

 Bluetoothモデルの「Crossfade WIRELESS」は、M100の音質や堅牢性、デザイン性などをワイヤレスで実現したというモデル。50mm径のデュアルダイヤフラムドライバを備え、本体カラーはROUGE、GUNMETAL、PHANTOMCHROME、WHITE SILVERの4色。

 30分の急速充電で12時間の連続使用が可能。2系統のステレオミニ入力を備え、有線でも利用できる。音漏れを防ぐ「V-PORT V3 Airflow System」も搭載。再生周波数帯域は5Hz~30kHz、感度は107dB/mW、インピーダンスは30Ω。ケーブルを除く重量は292g。ステレオミニケーブルや充電用のUSBケーブル、キャリングケースなどが付属する。

Crossfade WIRELESS
ヘッドフォンのラインナップ
V-MODAの概要

オンイヤー型「XS」やイヤフォン「ZN」

 小型ハウジングのオンイヤーヘッドフォン「XS」は、装着時のフィット感とシルエットの美しさを重視。装着時に頭部とヘッドバンドに隙間がない設計「Mind The GAP」により、女性が装着した時の美しさを大切にデザインしたという。

オンイヤーヘッドフォン「XS」
ハウジングの内側

 2系統のステレオミニ入力を装備。再生周波数帯域は5Hz~30kHz、感度は105dB/mW、インピーダンスは28.5Ω。ケーブルを除く重量は195g。ステレオミニケーブルやキャリングケースなどが付属する。

 イヤフォン「ZN」は、高音質や高級素材、イタリアデザインをイヤフォンに採用したというモデル。ユニットは8mm径で、ハウジングは、耐久性の高い亜鉛合金を特許製法で鋳造し、低域再生の向上を図っている。

イヤフォン「ZN」

 ケーブルにはケブラー素材を組み込むことで強度の向上や絡まりにくさを追求。着脱可能なイヤーフックにより、フィット感を高めることも可能。再生周波数帯域は2Hz~25kHz、感度は105dB/mW、インピーダンスは16Ω。ケーブルを除く重量は20.8g。XS/S/M/Lサイズのイヤーピースや、キャリングポーチなどが付属する。

「ゲームチェンジャー商品」に注力。“新iPhone”向けLightningのヘッドフォンケーブルも

 同社は、今回のV-MODA製品を含む海外ブランド製品の販売事業を開始することを9日付で発表。オリジナルブランドの電子楽器に加える形で、製品ラインナップの強化を図る。

 V-MODA製品以外にも、オーストラリアのAUDIOFLY製イヤフォンや、英Munro Sonic製のタマゴ型モニタースピーカーなど、海外ブランドのヘッドフォン、イヤフォン、スピーカー、マイクの取り扱いを行なう。これらの製品については別記事で掲載する。

AUDIOFLY製イヤフォン「AF180」
Munro Sonic製のタマゴ型スピーカー「EGG100」と「EGG150」

 ローランドの三木純一社長は、'14年にMBO(Management Buyout/経営陣による自社の買収)を通じて株式を非公開化して注目されたことを振り返り、「短期間での構造改革の徹底と、成長のための種まきにより、永続的に成長できる新しいローランドに生まれ変わると約束した。2年経って約束を果たし、良い方に動き出していると確信している」と述べた。ローランドらしさを持つ製品を「ゲームチェンジャー商品」と呼び、超小型ビデオスイッチャー「V-1HD」や、電子カホン「EC-10 EL Cajon」を新しい取り組みの代表例として挙げた。

三木純一社長

 三木社長は今回の発表について「ほんの一部」としており、年末にも強力な製品の発売が控えていると予告。同社製品名にかけて「“909”(9月9日)に世界同時で新製品を発表するので、期待して注目いただければ」と述べた。

 ローランド傘下に入ったV-MODAのVal Kolton CEOも来場。Kolton氏は'05年の設立以来、300万台以上のヘッドフォンを販売し、その中で、iPhone対応モデル('07年)や、ハウジングをカスタマイズできるモデル('11年)、クラウドソーシングで意見を集めて製品化したもの('14年)、3Dプリンタでデザインをカスタマイズしたモデル('15年)などの新しい取り組みにいち早く着手してきたことをアピールした。

V-MODAのVal Kolton CEO

 今回紹介したモデルに加え、今後の周辺機器の一つとしてLightning-ステレオミニプラグのヘッドフォン用ケーブル発売も予告。これは、「(次期モデルとされる)iPhone 7にステレオミニ端子が無い場合のため」のもので、ケーブルに備えたDACでアナログ変換してヘッドフォンで聴けるようにするという。まだ米国でも製品化されていないが、ローランドによれば、製品化されれば日本でも発売予定としている。

V-MODAのアクセサリ。Lightningケーブル(左下)も予定