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JVC、バランス対応でDSD 11.2MHz、K2も搭載した約11万円のポータブルアンプ「SU-AX01」

 JVCケンウッドは、JVCブランドのDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「SU-AX01」を11月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は11万円前後。ステレオミニ×2端子のバランス出力も備えている。

JVCブランドのDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「SU-AX01」

 フルバランス構成のポータブルヘッドフォンアンプ。DACにはESSの「ES9018K2M」を採用。デジタル入力はUSB、光デジタル、同軸デジタルを各1系統備え、USB DAC動作時は、PCM 384kHz/32bitまで、DSDは11.2MHzまでサポートする。光、同軸デジタル入力は192kHz/24bitまで。アナログ入力も、ライン入力を1系統備えている。

 高音質化技術のK2テクノロジーも採用。ON/OFFボタンを備え、圧縮音楽ファイルを再生する場合も、K2テクノロジーを適用し、高音質化して再生できる。

前面。K2のON/OFFスイッチや、バランス出力、ボリュームノブ、主要なデジタル入力などを備えている
背面にはライン入力、光デジタル、同軸デジタル入力を装備。外側のシャーシが出っ張っていて、端子を保護するデザインになっている

 DAC以降のアナログ部分はフルバランス構成。アナログ入力も備えているが、入力直後からすぐにバランス化し、デジタル入力のDACから後と同じ経路を通って出力される。バランス構成にする事で、解像度や空間表現を徹底的に追求したという。

内部のブロック図

 アンプでは回転抵抗を重ねた4連ボリュームがよく使われるが、「ギャングエラーが発生して定位が不安定になる」とし、電子ボリュームを採用。このボリュームを、L/Rで独立して搭載。さらに、電源もL/R独立で搭載。その流れで、最終的な出力端子も3.5mmミニ×2端子の、L/Rで端子が完全に独立したものを採用したという。なお、左チャンネルはステレオミニのアンバランス接続端子も兼用している。

 バランス出力に関しての新しい話題として、JEITAが今年の3月に規格化した4.4mm 5端子が存在。ソニーのハイエンドウォークマン「NW-WM1A」、「NW-WM1Z」などで採用されている。この端子を採用しなかった理由は、「我々もJEITAのメンバーなので規格の策定に参加している。しかし、今回はフルバランス構成のアンプで、出力端子まで分けるという部分にこだわった。また、大きなアンプ回路を搭載しており、スペース的な面からも、この製品では3.5mmミニ×2がベストだと判断した」(メディア事業部 技術統括部 技術2部 1グループの美和康弘チーフ)という。

3.5mmミニ×2のバランス接続に対応した
メディア事業部 技術統括部 技術2部 1グループの美和康弘チーフ

 アンプ部はディスクリート構成。強力な最終段で、大型ヘッドフォンもしっかりドライブできるという。

黒いチップが横に並んでいるのがディスクリートアンプ部

外部電源の利用で音質アップ! モバイルバッテリも利用可能?

 電源は内蔵バッテリを使用するが、外部電源の利用も可能。外部電源接続時に、電源設定を切り替え、より繊細・鮮明な表現を可能にするという「ハイインテンシティモード」も搭載する。

 給電はUSB端子から行なうが、十分な給電が必要。条件としては、Apple(iOS)機器専用の出力があり、なおかつiPad対応の2.1A(2.4A)でiPadの急速充電が可能なアダプタ。ただし、iPad対応でも接続された機器を自動判別する機能がついたものは利用できない。この条件に合った市販のUSBアダプタが利用できるという。なお、条件に合っていればモバイルバッテリを接続してもハイインテンシティモードに入るが、「JVCとして現時点で保証している製品はない」という。

iPad対応の2.1A(2.4A)のUSBアダプタで給電すると、「ハイインテンシティモード」が利用できる
通常のバッテリ利用時はインジケーターが緑
「ハイインテンシティモード」になると青になる

 デジタル基板とアナログ基板はセパレートされており、それぞれ理想的な回路ブロックを構成しつつ、互いの干渉を低減。信号の流れもシンプルになるよう工夫されている。

デジタル基板とアナログ基板はセパレートされている
左がデジタル、右がアナログ基板

 外装ケースから回路基板が載ったシャーシがフローティングしている構造は、従来モデルを踏襲。新モデルではさらに接触部分を削減。フローティング効果をアップさせた。これにより、外部振動の悪影響を低減。「いつでもどこでも安定した高音質が楽しめる」という。

 シャーシには、従来からの「fホール」に加え、バナナのような形のホールも新たに追加。従来比1.5倍厚の高剛性ステンレスシャーシに、しなやかさを加えることで、「芯のある音と、艶のある伸びやかな音を両立した」という。

「fホール」に加え、バナナのような形のホールも新たに追加

 端子類のレイアウトにもこだわっており、前面に主要な入力端子と出力端子をまとめている。背面にも入力端子があるが、筐体の外装が端子面よりも出っ張っており、カバンの中に立てていれた場合でも、端子を保護する形状になっている。

 最大出力はアンバランス時が100mW×2ch(16Ω)、160mW×2ch(32Ω)。バランス時が100mW×2ch(16Ω)、220mW×2ch(32Ω)。対応インピーダンスは8~600Ω。バッテリの持続時間は、アナログ接続時で約5.5時間、デジタルで約5時間。外形寸法は153.5×80.4×28.5mm(縦×横×厚さ)。重量は400g。

奥行きは153.5mm
中央がAX01。左がAK380、右がXperia Z5

バランス接続用ケーブルも発売

 SU-AX01の3.5mmミニ×2のバランス出力に対応する、交換用ケーブルもアンプと同時の11月上旬に発売される。価格はオープンプライス。

 入力端子は3.5mmミニ×2で、イヤフォン側がMMCXの「CN-HM01MB」(HA-FW01/02、FX1100/850向け/実売22,000円前後)、3.5mmミニ×2の「CN-HY01MB」(HA-SW01/02向け/実売11,000円前後)、3.5mm 4極「CN-HS01MB」(HA-SS01/02向け/実売9,000円前後)の3モデルをラインナップ。長さはMMCXモデルが1.2m。その他のモデルが1.8m。

 いずれも布巻きシースを採用。MMCXタイプは6N OFCを採用、3芯(HOT/COLD/GND)で、ケーブルの振動を低減する独自のユニカル・レングス・インシュレーターも備えるなど、よりこだわりのモデルとなっている。

イヤフォン側がMMCXの「CN-HM01MB」
3.5mm 4極の「CN-HS01MB」
3.5mmミニ×2の「CN-HY01MB」