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耳から外すと音楽停止、ノイズも防ぐLightningイヤフォン。アプリ連携のパイオニア「RAYZ」

 オンキヨー&パイオニアイノベーションズは、iPhoneなどのLightning端子と接続し、ノイズキャンセリング機能も備えたパイオニアブランドのイヤフォン「RAYZ」2モデルを3月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、外部からの給電用Lightningジャックも備えた「RAYZ Plus」が16,000円前後、給電用のLightning端子を搭載しない「RAYZ」が12,000円前後。iPhone 5以降、iPad mini 2以降、第6世代以降のiPod touchとの接続に対応する。

RAYZ

 RAYZは、オンキヨー&パイオニアと、SoC(System on a Chip)メーカーのAVNERAが共同で開発。アプリ(Apps)とアクセサリー(Accesory)の連携による様々な機能を備え、従来のイヤフォンと異なる新カテゴリ“App-cesory(アプセサリー)イヤフォン”として提案する。iPhone 7/7 Plusからステレオミニのヘッドフォン出力が廃止されたことから、最新のLightningイヤフォン用チップをいち早く搭載した先進性も特徴。発売後のアップデートによる機能強化も予定している。

RAYZ
RAYZ Plus

スマートボタンでNCなど機能選択、アップデートで強化も

 LightningコネクタでiPhone/iPad/iPod touchと接続して音楽などを聴けるイヤフォン。上位機種のRAYZ Plusには、給電用のLightning端子も備え、イヤフォンを接続したままで、パソコンやUSB-ACアダプタなどからiPhoneへの充電もできる。カラーは、RAYZ Plusがグラファイトとブロンズ、RAYZがオニキスとアイスの各2色を用意する。

左がRAYZ、右がRAYZ Plus

 イヤフォン部は2機種とも共通で、ドライバユニットは9.2mm径のダイナミック型。周囲の騒音に対し、逆位相の信号を発生させることで抑制するアクティブノイズキャンセリング(NC)機能を搭載。iPhoneなどからの給電で動作し、電池は不要。NC用に、左右ハウジングに各2個のマイクを内蔵。リモコンにも、通話などに使えるマイクを装備。合計6個のマイクにより、Siriなどの音声認識能力も向上したという。

ハウジング内部
RAYZ Plus
入力用のLightning端子(上)のほか、給電用のLightning(下)も装備する

 NC機能の利用時に、ユーザーの耳に合わせてノイズ低減量などを調整するキャリブレーション機能を搭載。イヤフォン装着時にテスト音声を出して、耳の内部で反射する音を計測。それを元に、ユーザーに合った調整を行なうという。また、NC ONの状態で、ボタンを押すと周りの音も聞こえるようにする「HearThru」モードも用意。

一般的なNCヘッドフォンとのノイズ残存量の低減の比較。従来のヘッドフォンは、飛行機などで多い低域ノイズの削減に優れる一方、RAYZは高域部分のノイズにも効果が高いという

 HearThruモードは、周りの音をマイクで拾うため、NCをOFFにした状態よりも周りの音が聞こえやすくなるのが特徴。人の声などの中域部分を特に聞こえやすくなるように設定されている。

装着したままテスト音声を出し、反射する音を測定してNCのキャリブレーションを行なう

 また、イヤフォンを耳から外すと自動で再生を一時停止するオートポーズ機能も装備。イヤフォンから出た音が、耳の中で反射している間は再生を続け、イヤフォンを外す(音の反射がなくなる)と、自動で一時停止となる。再び装着すると自動で再生する。

音楽再生時に、耳の中で反射する音を検知
イヤフォンを外すと自動で一時停止

 ケーブル部のリモコンは4ボタン構成で、曲のスキップ/スキップバックも行なえる再生/一時停止ボタンと、ボリュームの+/-ボタンに加え、NCなどの機能を割り当てるスマートボタンを装備。スマートボタンは、NCのON/OFFや、NCのキャリブレーション、HearThru、マイクミュートなどの機能を割り当てられるもので、1クリック、2クリック、長押しの3種類に任意の機能を、専用のiOSアプリ「Rayz app」で設定できる。同アプリでは、イコライザの調整なども行なえる。設定した内容はイヤフォン側で保持されるため、他のiPhoneに接続しても、同じ設定のまま利用できる。

リモコン部。横に三本線が入っているのがスマートボタン
Rayz appの画面

 リモコン部の設計は、4つのボタンの間隔を指での押しやすさなどを考慮した配置とし、可能な限り最小な筐体サイズに決定。その中に収まるように内部の基板を設計したという。48kHz/24bit対応のDACを内蔵し、iPhoneなどの音源をデジタルのままで出力してDA変換し、高音質再生を可能としている。

 リモコン内部の基盤は2層構造で、アップルによるLightning Audio Moduleの第2世代チップを採用。同チップを最初に搭載するLightningイヤフォンとしている。第2世代のチップは高い処理能力を特徴とし、NCの能力向上などに寄与。また、ノイズを抑制しながら、周りの音をマイクで取り込んで聴こえるようにする機能など、複雑な動作も第2世代チップによって可能になったという。

 NCを搭載しながら省電力な点も特徴としており、アップル純正のLightning搭載EarPodsと比べた場合、フルボリュームで5時間音楽再生すると、iPhoneの消費電力を約半分まで低減。ステレオミニ接続のEarPodsとの比較でも2/3の省電力設計としている。

 なお、NC機能をONにした状態の消費電力は、OFF時に比べると大まかに2倍程度となる。そのため、NCなどのスマート機能をオフにすることで省電力化するエコモードも用意し、アプリで設定できる。

EarPodsなどとの消費電力比較

 再生周波数帯域は10Hz~22kHz、ケーブルを除く重量は5g。ケーブル長は1.2m。イヤーピースはS/M/Lサイズを同梱する。

 発売後の機能アップデートも予定しており、まずは「Smart Mute」という機能を搭載予定。マイクで通話中に、自分が話している時はマイクをONに、話していない時はOFFにする切り替えを自動で行なうもの。外出先で電話会議や通話を行なう際に、隣の人が話している時の声は通話相手に聞こえず、自分の声だけをマイクで伝えることができるという。

RAYZ(Bronze)
RAYZ(Graphite)
RAYZ Plus(Onyx)
RAYZ Plus(Ice)

RAYZ Plusを試聴。NCや自動停止機能が普段使いに便利

 手に取ると、ノイズキャンセリング用のマイク内蔵ながら、ハウジングは思ったよりコンパクト。装着感も軽く、角度の付いたノズル部分とイヤーピースが耳穴にフィットする。

聴いてみた

 ノイズキャンセリング機能は、ONにした状態でも圧迫感はほとんどなく、エアコンの音や周囲のザワザワとした会話などのノイズをカットした状態で音楽に集中できる。場内のアナウンスなど、周りの音を聞きたいときはスマートボタンを押すだけでHearThruモードになる。Lightning給電でバッテリを気にせず使えるため、無意識でもいつの間にかノイズ低減された状態で聴けるのが快適。イヤフォンを外すと再生が一時停止する機能は、実際は外してから1~2秒ほどのタイムラグはあったものの、買い物の支払いのときなど、様々な場面で役立ちそうだ。

 再生音質は、ダイナミック型イヤフォンならではの輪郭の太い低域が印象づけられる。ただ、低域に不要な膨らみやもたつきはなく、歯切れの良いスピード感と締まりがあり、デジタル入力らしい爽快感がある。ズッシリしたした低域によって、音楽を気持ちよく聴かせながらも、それに高域が隠れてしまうことはなく、ボーカルやストリングスの消え際などの繊細さも表現され、全体のバランスへの配慮を感じる。動画視聴時の音も迫力がアップされ、価格的にもiPhoneでの普段聴きに適したイヤフォンだと感じた。

iPhone好きのサバンナ高橋も満足。今後はUSB Type-CのAndroid向けも視野

 15日にRAYZの発表会が開催された。オンキヨー&パイオニアイノベーションズの宮城謙二社長は、iPhone 7/7 Plusでステレオミニのイヤフォン端子が廃止されたことについて、「ワイヤレスが快適だという人も多いが、あえて無線ではなくLightningコネクタから音楽を取り出すというアプローチを、この1年間開発してきた」と説明。Lighting接続とすることで様々なスマート機能を備えたことをアピールした。

宮城謙二社長

 RAYZの開発コンセプトについて、同社イノベーション事業本部 マーケティング部の甲斐拓氏は「デザイン、消費電力、コストに妥協しない」点を挙げ、スマートボタンを追加しながらリモコン部のサイズを抑えたことや、2つのマイクを搭載しながらコンパクトなハウジングのデザインなどを説明。さらに、「通話中の充電も可能な、唯一のLightningイヤフォン」とした。

甲斐拓氏

 RAYZのコントロールボックス内部に収めた第2世代のLightning Audio Moduleのチップは、アップルとAVNERAが開発したもので、オンキヨーは以前からAVNERAと共同出資した合弁会社を設立するなど関係が深く、「他社よりアドバンテージがある」との考えを示した。

 RAYZはLighting端子のため、iPhoneやiPad/iPod touch専用となるが、「今後Android用のUSB Type-Cタイプは製品化するか」という質問に宮城氏は「将来的にはレンジに入っており、時期は未定だがType-Cも対応していきたい」と述べた。

 iPhone 7を愛用しているという、お笑い芸人・サバンナの高橋茂雄さんがゲストとして登場。iPhoneの新機種が登場する度に購入しているという高橋さんは、Apple Payなどの最新機能も活用している一方、イヤフォン端子が無くなったことについては「今までのイヤフォンが使えなくなって、どうすんねんって思ってましたが、それを解決してくれました。iPhone 7の人は一番うれしいんじゃないですかね」とした。

サバンナの高橋茂雄さんがRAYZの音やスマート機能を体験

 実際に音楽を聴くと「めちゃくちゃいい音。僕が思っていた『Let It Go』と違う」と驚いた様子。周りの音が聞こえるHearThruモードも試し、「イヤフォンで、周りの音が聞こえなさ過ぎてあぶないときもあったけど、これで声がでかくなった」とコメント。「僕が、ここ改善て欲しいな、というのを全部やってる」と満足していた。