ニュース

デノン、AWAやSpotifyを単体で受信・再生できるワイヤレスオーディオ「HEOS」4製品

 デノンは、ワイヤレスオーディオシステムの新ブランド「HEOS(ヒオス) by Denon」の4製品を3月15日に発売する。ネットワークスピーカー「HEOS 3」と、ポータブルタイプの「HEOS 1」、「HEOS 1」専用バッテリーパック「HEOS 1 GO PACK」、ワイヤレスプリアンプ「HEOS LINK」で、価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は、「HEOS 3」が33,000円前後、「HEOS 1」が25,000円前後、「HEOS 1 GO PACK」が1万円前後、「HEOS LINK」が37,000円前後。

「HEOS by Denon」の4製品

 無線LAN、有線LANのどちらにも対応し、AWA(5月24日のファームアップで対応)やSpotifyなどのストリーミング音楽配信サービス、インターネットラジオをスピーカー単体で受信・再生できる。さらに、USBのメモリやLAN内のNASなどに保存したハイレゾ音楽ファイルの再生も可能。Bluetooth受信やアナログ入力も備えている。

据え置き型のネットワークスピーカー「HEOS 3」。縦置きもできる

 セットアップと操作はiOS/Android/Kindle Fire対応の「HEOSアプリ」で行なう。ストリーミングサービスやNASなどとの通信はスマホを経由せず、HEOSが直接行なうため、スマホのバッテリを余分に消費する事はなく、またスマホに電話がかかってきた時なども音楽を中断せずに楽しめるのがBluetoothと比較した際の利点となる。

 同一ネットワーク上の複数のスマホやタブレットで同時操作もでき、プレイリストを家族や友人みんなで編集し、お気に入りの音楽をシェアする事も可能。プレイリストにはストリーミングサービスの曲も、ローカルの音楽ファイルも混在できる。

ポータブルタイプのネットワークスピーカー「HEOS 1」
底部に別売のバッテリを取り付けて、完全ワイヤレススピーカーとして使える

 HEOS対応機器を複数台、連携して利用する事も可能で、各部屋にHEOS製品を設置。同じ楽曲を再生したり、グループ分けで違う曲を再生させたり、全スピーカー個別の楽曲を再生させる事も可能。グループ分けはアプリのドラッグアンドドロップで直感的に操作できる。個々のスピーカーの音量も、アプリから制御可能。最大36台までのHEOS対応製品が同時に連携できるという。

 対応音楽配信/インターネットラジオサービスは、AWA、Spotify、SoundCloud、TuneIn。

アプリで複数台の音量を調整しているところ
ドラッグアンドドロップでグループ分けして制御できる

 いずれのモデルも、HEOS機能を実現するためのモジュールを搭載しており、そのモジュールは共通。対応オーディオファイル形式も同じで、AAC/MP3が320kbpsまで、WMAは192kbpsまで、FLAC/WAV/Apple Losslessは192kHz/24bitまでサポート。DSDも5.6MHzまで対応する。アクセスできるネットワークサーバーは、DLNA対応のNASや、PC、Mac。

ネットワークスピーカー「HEOS 3」

 「HEOS 3」はリビングなどの広めの空間に設置する事を想定。横置き、縦置きのどちらにも対応するワイヤレススピーカー。

ネットワークスピーカー「HEOS 3」

 フルレンジユニットを2基搭載しており、エンクロージャはバスレフ。個々のユニットを個別のクラスDデジタルアンプでドライブする、デュアルアンプ仕様となっている。

 スピーカーは1台のみだが、2台の「HEOS 3」を連携させ、ステレオ再生も可能。音質を調整するトーンコントロール機能も備えている。

 無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応。有線LAN端子も備えている。Bluetooth受信もサポートし、Bluetoothスピーカーとしての利用も可能。ステレオミニのアナログ入力も備えている。消費電力は22W。外形寸法は横置き時で275×156×128mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1.9kg。ACアダプタを使用する。

背面

ポータブルにもなるネットワークスピーカー「HEOS 1」

 「HEOS 1」はコンパクトなのが特徴で、置き場所を選ばない。USB端子も備え、USBメモリなどに保存したファイルの再生も可能。ACアダプタ接続で動作するが、別売の「HEOS 1」専用バッテリーパック「HEOS 1 GO PACK」を底部に取り付ければ、電源ケーブルも接続する必要がない完全なワイヤレススピーカーとして利用可能。約6時間の音楽再生ができる。スプラッシュガードを取り付けると、IPX4の防滴仕様にもなる。

ポータブルタイプのネットワークスピーカー「HEOS 1」。左がホワイト、右がブラックモデル
「HEOS 1」専用バッテリーパック「HEOS 1 GO PACK」
バッテリーパックを底部に取り付けているところ

 ユニットはミッドウーファ、ドーム型ツイータの2ウェイで、2chのクラスDデジタルアンプを搭載。2台のHEOS 1を連携させ、ステレオ再生する事も可能。

 Bluetooth受信にも対応。トーンコントロールも備えている。USB端子も用意。無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応。有線LAN端子も装備。Bluetooth受信もサポート、Bluetoothスピーカーとしての利用も可能。

 有線LAN端子、無線LANも内蔵。消費電力は20W。外形寸法と重量は、本体のみで129×128×189mm(幅×奥行き×高さ)、GoPak取り付け時の外寸は129×134×214mm(同)で、1.7kg。

背面

ワイヤレスプリアンプ「HEOS LINK」

 ワイヤレスプリアンプ「HEOS LINK」は、既存のハイファイアンプやAVアンプ、ミニコンポ、アクティブスピーカーなどと接続し、HEOS機能をプラスできる製品。

オーディオアンプと連携した使用イメージ

 出力として、同軸デジタル×1、光デジタル×1、アナログプリアウト×1、トリガー端子×1、サブウーファプリアウト×1を備えるワイヤレスアンプ。入力はアナログライン×1、光デジタル×1、USB×1を装備。Ethernet端子も備え、無線LANにも対応する。

 外形寸法は155×150×74mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1.3kg。

ワイヤレスプリアンプ「HEOS LINK」
背面

今後も多くの製品がHEOS対応に

 日本国内と海外の複数拠点にまたがるHEOS専任のソフトウェア開発チームが、様々なストリーミングサービスへの対応や、インターフェイスの開発を担当。音響設計はデノンの開発チームが全面的にバックアップ。DSPテクノロジーや回路・機構設計技術を投入し、サイズや価格を越えたハイクオリティなサウンドを実現したという。

 なお、HEOSの対応製品は、アメリカやヨーロッパでは2014年夏から展開している。日本発売までに時間がかかった理由として、国内営業本部営業企画室の上田貴志室長は、「日本でのストリーミングサービスや、ライフスタイルの変化などを見ていた。満を持しての日本発売となる」と説明。

国内営業本部営業企画室の上田貴志室長

 日本市場でワイヤレススピーカーの市場が右肩上がりで成長している事を説明した上で、「この市場を牽引しているのはBluetoothスピーカー。しかし、HEOSの楽しみ方は、Bluetoothスピーカーより優れている点がある」とし、Bluetoothではスマホから音楽再生中に着信があると再生が途切れてしまう事や、複数台の連携が弱いといった、HEOSの特徴を説明。

 また、「働き方改革」や「プレミアムフライデー」などの浸透で、余暇を楽しむ人が増え、ホームパーティーを楽しむ人も増加している事などを紹介。そうした場所で、家族や友人達と音楽を楽しめるシステムとしてHEOSの魅力をアピールした。

 さらに今後の展開として、「HEOS対応製品に搭載しているモジュールは、今後もいろいろな製品に広げていきたい。昨年秋に発売したAVアンプには、既にHEOS機能が投入されており、連携がでkる。2017年度に投入する製品にはHEOS機能が投入されていく」と説明。

 製品の種類の拡張についても、「イヤフォンは難しいかもしれないが、ヘッドフォンに入れられる可能性もある。より小型化したスピーカーなども可能だろう。そうした新たなモデルは、市場の反応を見ながら検討していきたい」と語った。

 また、HEOS製品が今後のアップデートでAWAの受信・再生に対応できる事から、AWAの取締役/プロデューサーの小野哲太郎氏も登壇。小野氏はAWAの概要や、ユーザー層、豊富なプレイリストのレコメンド機能といった特徴を紹介した上で、それらがHEOS製品のユーザーとも親和性が高い事を説明。

 さらに、HEOS製品がハイレゾに対応している事から、AWAでのハイレゾ配信の可能性について聞かれると、「我々としても対応はしていきたい。難しいのは通信の問題、容量、通信量が多くなるとなかなか実現が難しい。そこで、いかにハイレゾ音源の通信量を小さくするか、キャリアやMVNOと連携し、いかに帯域を確保しながらサービスができるかが重要になってくる。スケジュール感としては、'18年、'19年にはそういったハイレゾ配信ができるように、技術的な挑戦を行なっている」と展望を語った。

左がディーアンドエムホールディングス ジャパン・セールス&オペレーション 中川圭史プレジデント、右がAWAの取締役/プロデューサーの小野哲太郎氏