ニュース

J:COM、4K/8K実用放送対応STBを開発中。HDRや音声検索対応で'18年12月投入

 ジュピターテレコム(J:COM)は7日、2017年度の事業説明会を開催。4K/8K実用放送に対応し、HDRや音声検索などもサポートする新しいセットトップボックス(STB)を2018年12月の投入に向けて開発していると発表した。また、3月に開始した4K/8K試験放送については約5,000世帯が視聴していることを明らかにした。

J:COMが4K/8K実用放送やHDR対応の新セットトップボックス開発を表明

4K/8K実用放送に対応するSTB開発を本格化

 4K/8K試験放送は、2016年8月からNHKが、'16年12月からA-PABがBS 17chを利用して実施中。J:COMでは3月21日から、ケーブルネットワークを通じたBS 17chの4K再放送を開始し、従来はNHKの各放送局など限られた場所でしか視聴できなかった試験放送をJ:COMの「4K Smart J:COM Box<録画機能付き>」利用者にむけて提供している。井村社長は「現在5,000世帯ほどが加入している。コンテンツの数は少ないが、ユーザーの評価は高い」と話した。なお、録画は行なえず、8KやHDRなどの番組もすべて4K画質にダウンコンバートしている。

4K/8Kに関するJ:COMのロードマップ

 今後、4K/8K実用放送に対応するSTB開発を本格化。2018年12月の4K実用放送開始に向け、現行STBの後継機種として第3世代STBを開発、2018年12月の投入を予定している。

 現行の第2.5世代STBでは、4K放送(TS)や4K VOD、ハイブリッドキャストに対応しているが、第3世代STBではさらにHDR(ハイダイナミックレンジ)にも対応。HDRコンテンツのリアルな映像表現ができるとする。また、OTTやIP放送、アプリなど外部サービスと連携。基本操作性も高め、放送とVOD、録画番組の横断検索機能や、ユーザーごとの視聴履歴に基づいたレコメンデーション機能、音声認識機能も備える予定。

 メディア事業では、石原プロとチャンネル銀河、ファミリー劇場が協力し、4K特番の企画・制作を行なうなど、オリジナルコンテンツのラインナップを拡大。TBSとのアライアンスによる配信事業の強化や、J SPORTSオンデマンドなどOTTサービスとの連携を行ない、視聴者の裾野の拡大を図る。

石原プロとチャンネル銀河、ファミリー劇場が協力し、4K特番の企画・制作を行なう

'16年は増収増益。割安なiPhoneなど揃え、MVNOユーザーも拡大

 J:COMはケーブルテレビの「J:COM TV」をはじめ、インターネットサービス「J:COM NET」、固定電話サービス「J:COM PHONE」に加えて、MVNOサービス「J:COM MOBILE」や電力小売サービス「J:COM電力」を展開している。

 7日に発表した'17年3月期の業績は、営業収益が前年同期比33%増の6,893億円、営業利益が同22.5%増の1,156億円。当期純利益は同21.6%増の699億円で、既存事業が好調であることや、ショップチャンネル・大分ケーブルテレコムの連結子会社化により、増収増益となった。

'17年3月期の業績ハイライト。前年同期比で増収増益

 2017年3月末の総加入世帯は前年同期から24万増の529万世帯で、ホームパス(設置工事済み世帯)は同155万世帯増の2,123万世帯。ケーブルテレビは373万世帯(同18万世帯増)、インターネットは343万世帯(同25万世帯増)、固定電話は381万世帯(同8万世帯増)。

17年3月末のホームパスは2,123万世帯、総加入世帯は529万世帯に増加。MVNO加入は14万世帯

 J:COM MOBILEは月額980円からのMVNOサービスで、定額でVODが見放題となる「J:COMオンデマンド メガパック」の映像視聴時にデータ通信量をカウントフリーとする施策や、電話の「5分かけ放題」などを提供。端末のラインナップも拡充し、iPhone 6sの割安なCPO品(Apple認定整備済製品)などを揃える。このため、'17年3月末の加入世帯数は’16年3月末の4万件から10万件増の14万件に拡大した。

MVNOサービスの「J:COM MOBILE」。割安なiPhone 6s CPO品やVODカウントフリー施策を行ない、ユーザーが拡大

 井村社長は「(16年度は)プランや端末拡充など、多面的にサービスを強化し、認知拡大と加入獲得につながる成果を出せた」と強調。牧会長も、MVNO事業に対する質疑応答の中で「モバイルは顧客との関係を維持していく上で重要と考えている。他社に離れていかないよう端末のラインナップが必要。そのひとつとして、iPhone 6sのCPO品を用意しており、複数サービスを使っていただいているユーザーに対して、アフターサービスもつけてリーズナブルに提供している」と話した。

 2017年度の取り組みとしては、グループの総合力を活かした成長基盤の確立に向け、テレビ、インターネット、固定電話、MVNO、電力の5サービスによる推進体制を作る。また、全国182の自治体との防災協定に基づく24時間体制の防災への取り組みや、地域スポーツツーリズムを活用したイベントによる地域活性化などで、地域連携のさらなる強化も行なっていく。

中長期の人材育成を目的とし、企業内大学校「J:COM UNIVERSITY」を7月開校予定
ジュピターテレコムの牧俊夫会長(左)と井村公彦社長(右)