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TANNOY、'76年当時のデザインと最新同軸ユニットを組み合わせたLEGACYスピーカー

 エソテリックは、TANNOYブランドのスピーカーとして、「1976年の美しいデザインはそのままに、最新の音響テクノロジーを注いだ」というLEGACYシリーズの3機種を9月15日に発売する。1台の価格は、フロア型の「ARDEN」(アーデン)が60万円、「CHEVIOT」(チェビオット)が50万円、ブックシェルフの「EATON」(イートン)が40万円。

LEGACYシリーズ。左からフロア型の「ARDEN」、「CHEVIOT」、ブックシェルフの「EATON」

 1970年代に、TANNOYが画期的なモニターシリーズとして発売した「HPD」シリーズ。ナチュラルな性能を誇った同シリーズにオマージュを捧げつつ、「当時には無かった技術、性能が向上したドライバー・ユニットとパーツ類を新たに導入することによって、更にレベルアップさせた」という。

「ARDEN」

 かつて英国王立デザイナー協会ジャック・ハウ氏が手がけた、クラシカルなデザインを忠実に再現。スコットランドのコートブリッジ工房で、熟練の職人チームがハンドメイドで作っているという

 搭載している同軸2ウェイドライバは、トップクラスの位相特性とポイントソース(点音源)による優れた音像表現力を実現するという「TW(テクノウェーブ)ツイータ搭載デュアルコンセントリックドライバ」。

 ウーファには、空気乾熱によって最終処理するエア・ドライ・フェルティングを採用。分割振動を最小限に抑え、優れたトランジェント特性とパワーハンドリング特性を実現するという。

 ボイスコイル周辺には特殊な薬剤を含浸させ、低域の放射特性を改善。中域の拡散特性も向上させた。コーン形状は最適の硬度に設計され、独自のテクノウェーブガイドとスムーズに接続されている。

 エッジは機種によって異なり、ARDENはシングルロールラバーエッジ、CHEVIOTとEATONは、ツインロールハードエッジを採用。シングルロールラバーエッジは新たに開発されたもの、ツインロールハードエッジはコットンクロスに樹脂を含浸させたものとなる。

TW(テクノウェーブ)ツイータ搭載デュアルコンセントリックドライバの断面イメージ

 HFホーン(ウェーブガイド)をマグネットのポールピースとすることで、LF磁気回路を構成する必要がなく、HF(ツイータ)・LF(ウーファ)個々に最適な磁束を確保するというツインマグネットシステムを採用。異方性バリウムフェライトマグネットが強力で安定した磁界を作り出し、ユニットを正確に駆動する。小出力アンプでドライブしても、「充分に駆動可能な広い対応性を実現した」という。

 ボイスコイルのコイル捲き線には、低質量・低インダクタンスのアルミ線を採用。応答性に優れ、微少の音楽信号にも高いリニアリティを備える。アルミ線は断面が角形で隙間なく捲きつけられており、高密度で強力なコイルを形成。芯材には軽量・高剛性なグラスファイバーを、絶縁材にはポリアミドを採用。発熱による高温動作時も、安定した特性を発揮するという。

 テクノウェーブガイドは、ホーン内部の音の通り道(ウェーブガイド)をコンピュータ解析に基づいて精密成形。正確な球面波を放射する。振動板面からホーンエッジまでは、等距離になるように設計。高域の再生位相特性を向上させている。振動板は、ナチュラルな音質で応答性に優れた軽量アルミ・マグネシウム合金。

 クロスオーバーネットワークには、厳選パーツを投入。音質劣化の原因となるPCB(プリント回路基板)は使わず、手作業で各パーツを繋ぐハードワイヤリング仕様にすることで、高域での微細な表現力を高めている。

 経年変化や酸化などによる接触不良や接触抵抗ロスを防ぐため、金メッキを施したネジとプレートにより確実にロックアップするレベルコントロールシステムを採用。ツイータのレベルを±3dBで5段階に増減できるほか、ロールオフは5kHz以上の周波数を+2dB/oct~-6dB/octの5段階のスロープで増減できる。

「CHEVIOT」

 キャビネットは、1970年代には無かった新しい高密度素材によってアップグレード。堅牢な作りとなり、低域のコントロール特性に優れ、DMT(Differential Materials Technology)を採用した入念なブレーシング(添木)加工も施し、ユニットとキャビネットの固定をより最適なものにしている。

 スピーカーターミナルはバイワイヤリング接続対応で、ドイツWBT製。TANNOY独自のアース端子を加えドライバシャーシとアンプとのアース接続が可能。高周波ノイズの侵入を低減する。

「EATON」

各モデルの仕様と特徴

 ARDENは、英国第二の都市バーミンガム郊外に広がるアーデンの森の雄大なたたずまいに因んで名付けられた。伝統の15インチユニットの性能を十分に発揮するよう設計された大型のフロア・タイプで、3本のダクトによってなめらかでよく伸びた重低音の再生。「内部補強された堅牢なエンクロージャは、大編成オーケストラの迫力のあるフォルティシモも色づけなく再現する」という。

 ユニットサイズは、ウーファが380mm径のマルチファイバーペーパーコーン。ツイータは33mm(1 1/3インチ)のアルミマグネシウム合金ドーム。推奨アンプ出力は20~300W。能率(1W/1m)は93dB。インピーダンスは8Ω。周波数特性(±6dB)は35Hz~30kHz。外形寸法は602×362×910mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は41kg。

 CHEVIOTは、イングランドとスコットランドの境界を成す広大なチェビオットの丘から命名。シリーズのフロア・タイプでは最も小型。低域のチューニングは、2本のダクトで行なっている。

 ユニットサイズは、ウーファが300mm径のマルチファイバーペーパーコーン。ツイータは33mm(1 1/3インチ)のアルミマグネシウム合金ドーム。推奨アンプ出力は20~250W。能率(1W/1m)は91dB。インピーダンスは8Ω。周波数特性(±6dB)は38Hz~30kHz。外形寸法は448×260×860mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は29kg。

 EATONは、2千年前にローマ人が築いたという城壁に囲まれた古都チェスターの近郊、イートンの小さな町並みから命名。10インチユニットの性能を活かす、ブックシェルフタイプとなる。

 ユニットサイズは、ウーファが254mm径のマルチファイバーペーパーコーン。ツイータは35mm(1 1/3インチ)のアルミマグネシウム合金ドーム。推奨アンプ出力は20~200W。能率(1W/1m)は89dB。インピーダンスは8Ω。周波数特性(±6dB)は40Hz~30kHz。外形寸法は376×250×538mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は20kg。