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ソニー、ハイレゾ楽曲制作向けに四半世紀ぶりとなる新リファレンスマイク
2018年1月23日 13:10
ソニーは、高帯域や高域を考慮し、50kHzまでフラットに伸びる自社製コンデンサマイクを開発した。発売日は3月17日で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は、ボーカル録音に適したサイドアドレスの「C-100」が157,000円前後、楽器用のエンドアドレスで単一指向性の「ECM-100U」が10万円前後、同じく楽器用で全指向性の「ECM-100N」が112,000円前後。
ソニーはCD制作のために、1992年に「C-800G」というマイクを開発。様々なスタジオに導入されているが、それから四半世紀ぶりとなる新製品であり、新たなリファレンスマイク。2013年にソニーとしてハイレゾを提唱し、再生機器などで対応を進めているが、音の入口、集音において、高帯域や高域を考慮して開発されたのが今回の3製品となる。製造事業所はG-800Gを現在も製造している「ソニー・太陽」(大分県)。
従来のマイクは、高域成分を録音はできるが、その多くが20~30kHzからだんだんと周波数特性が下がっていくという問題があった。そこで、「音楽的な音色をマイクとしてしっかり作った上で、減衰せず50kHzまで伸びるマイク」をテーマに開発。「高域の抜けがよく感じたり、音がつぶれないため、レコーディングスタジオやコンサートホールで録音されたクオリティを、今まで以上に忠実に再現できる」とする。
プライベートスタジオを構えて音楽制作を行なうDTMユーザー、楽器プレーヤー、シンガー、ハイレゾにこだわり、本格的な楽曲制作を行なうプロなどを対象としている。音質はソニー・ミュージックスタジオの協力を得て、調整している。
製品にはサイドアドレス型の「C-100」とエンドアドレス型「ECM-100N/100U」の2種類がある。
サイドアドレス型「C-100」はボーカルに特化した特性で、内蔵マイクカプセルが2ウェイ構成(高域用17mmと中低域用25mm)になっており、高域の広がりと豊かな中低域を両立。「芯があり存在感のあるボーカルを実現する」という。20~50kHzの収録が可能。指向特性は単一指向、全指向、両指向を切り替えられる。
また、C-800Gで採用した「防鳴筐体構造」を継承。外装部分を上下に分割し、マイクケースとシャーシには比重の高い亜鉛ダイキャストを使用。マイクスリーブには切削加工のアルミニウム、スリーブボトムには切削加工の真鍮を採用し、異なる種類の金属を組み合わせることで、不要な共振によって引き起こされるノイズを低減。クリアに収音できるという。
エンドアドレス型の「ECM-100N/100U」はフラットな特性で、楽器の特性を活かした収録ができるという。この製品には、楽器の弦や共鳴胴の振動をリアルに再現できるという単一指向タイプと、スタジオの空気感をリアルにとらえる全指向タイプの2種類をラインナップ。どちらも50kHzまでの収録が可能。
全モデル、マイクに加えて、ホルダーやウインドスクリーン、スタンドアダプタ、キャリングケースが付属する。
周波数特性は全モデル20~50kHz。正面感度(0dB=1V/Pa)は、ボーカル用「C-100」が単一指向-31dB、全指向-37dB、両指向-35dB。楽器用の単一指向性「ECM-100U」が-41dB、楽器用で全指向性の「ECM-100N」が-36dB。ダイナミックレンジは、C-100が単一指向-113dB、全指向-114dB、両指向-114dB。ECM-100Uは121dB以上、ECM-100Nは124dB以上。出力コネクタは全モデルXLR-3-12Cタイプ。
外形寸法と重量は、C-100が40×175mm(最大径×全長)で約290g。ECM-100UとECM-100Nが19×130mm(同)で約130g。