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ソニー、ホームスタジオ向けコンデンサーマイク「C-80」。約6万円

C-80

ソニーは、コンデンサーマイクの新製品として「C-80」を12月9日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は6万円前後。

ホームスタジオ向けのボーカル、ボイスコンテンツ制作用コンデンサーマイク。上位モデルの「C-800G」「C-100」が持つサウンドシグネチャーを踏襲し、クリアで豊かな中域、芯のある音、ボーカル/声の存在感が出せることが特徴。

エアコンやPCのファンなど低域の雑音を抑えるローカットフィルターも備え、本体のスイッチでフラット/70Hzを切り替えられる。PADスイッチ(0dB/-10dB)も備えている。

ローカットフィルターのスイッチ
PADスイッチ

新型コロナウイルスの影響で、プロやセミプロに当たるクリエイターがホームスタジオで制作する環境が定着したことから、ホームスタジオ用途として単一指向性のみながら、プロのクオリティで録音できる、自主制作系の音楽制作者向けのマイクとして開発。また、趣味で動画やポッドキャストを配信している人もターゲットにしているという。

高音質で定評のあるC-100の20Hz~25kHz用の25mm径マイクカプセルを踏襲し、C-80用の25mm径マイクカプセルを開発。拡がりのある高域と豊かな中低域を両立し、芯の通った、存在感のある集音を実現したとする。

C-100(左)とC-80(右)

単一指向性ながら、全指向性/両指向性のマイクと同じように、マイクカプセルの背面側にも振動膜を配置したデュアルダイアフラム構造を採用。一般的な単一指向性マイクに近づいて使用した際に低域が上昇してしまう“近接効果”を抑制する。

C-80のマイクカプセル
C-80のマイクカプセルの構造

また、C-100の背面側マイクカプセルと同等の音響構造となるように、音響移相回路を採用。背面側振動膜にはC-800Gと同じ素材を採用している。

C-800G、C-100から継承した「防鳴筐体構造」を採用。マイクケースとスリーブには防振性と制振制を確保するために比重の高い亜鉛ダイキャストを採用し、メッシュは高域の伸びと音のこもりに影響するため、C-100と銅素材を使用。不要反射波による音質への影響を最小限にするため、固有音とクセの少ない材料をリフレクタに採用している。これらにより、ボディの鳴きを低減することで、濁り音を排除し、クリアな音で録音できるという。

また、C-800Gの防音構造を踏襲した金属支柱間にゴムを挟んだショックダンパーを採用することで、防振性を確保しながら芯のある音質を実現した。

出力端子はXLR-3-12Cタイプ。周波数特性は20Hz~20kHz。出力インピーダンスは90Ω±15%。正面感度は-30dB。最大入力音圧レベルは138dB SPL以上。固定雑音は12.5dB SPL以下。ダイナミックレンジは125.5dB以上。

外形寸法は約40×158mm(直径×高さ)。重量は約215g。クレードルサスペンション、キャリングケースなどが付属する。

録音した音を聴いてみた

ボーカルと楽器演奏をC-80で録音した音声と、同じく単一指向性のコンデンサーマイク オーディオテクニカ「AT4040」で録音した音声を聴いてみた。

AT4040で録音された音声は、楽器の演奏とボーカルが満遍なく調和して聴こえ、ボーカルも楽器の一部といったような印象を受けた。

一方で、C-80で録音された音声は、ボーカルがグッと前に出てきており、ボーカルが“メイン”であるという印象の聴こえ方に感じられる。楽器の演奏は空間の奥の方へ広がっていく様子が感じられるため、ボーカルだけがものすごく目立つ、というわけではなく、しっかりとそのメインを支えているように聴こえる。

どちらかが優れているかというよりも、キャラクターが全く違うといったイメージ。C-80は、自分の作りたい楽曲がボーカルメインであるという場合や、人の声に芯が通ってハッキリと聴こえるので、ローカットフィルターも合わせて配信にも向いているマイクといった印象だった。