ニュース
Deezer HiFi、ポニーキャニオンなど邦楽や対応機器拡大へ。スマホ高音質配信も検討
2018年3月13日 08:10
Deezer(ディーザー)は13日、44.1kHz/16bitロスレスの音楽ストリーミング配信サービス「Deezer HiFi」の国内ローンチイベントを東京・南青山のブルーノート東京で開催。Deezerが展開するライブ映像「Deezer Session」に、日本のロックユニット「GLIM SPANKY」がアジア人第1弾アーティストとして選ばれ、ライブの公開収録も行なわれた。
'07年にフランス・パリでスタートしたDeezerは、日本では'17年12月8日から開始。国内初となるCD音質の44.1kHz/16bit、ロスレスのFLACフォーマットで音楽をストリーミング配信している。オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン、ヤマハとのパートナーシップで開始し、3,600万曲以上を提供。利用料金は月額1,960円(税込)。
対応機器や日本アーティストの配信拡大へ。スマホのロスレスも検討中
Deezer Chief Commercial OfficerのGolan Shaked(ゴラン・シャケド)氏は、現在の音楽リスニングについて、「品質と利便性のどちらかを妥協しないといけなかった」とし、ストリーミング配信はMP3などの圧縮音源で音質がCDよりも低い点、ハイレゾ配信はダウンロードの手間やストレージを占有するといった点を指摘。
日本の市場については「高音質とは切っても切れない世界最高レベルの環境。CD音質の音楽が適切な料金で楽しめるDeezer HiFiはベストな方法」とした。日本と海外の違いとして、ストリーミング配信だけでなくCDも根強く購入されていることにも言及し、「MP3を飛ばしてHiFiを利用してもらえるようにしたい」とした。
日本では、ポータブルハイレゾプレーヤーのオンキヨー「rubato」やパイオニア「private」、ヤマハのネットワーク再生機能「MusicCast」対応スピーカー/コンポなどの機器が対応している点を紹介したほか、海外では通常1カ月の無料体験期間を、日本では3カ月まで拡大していることに触れ、「一度体験すると満足して、定額プランに申し込んでもらえる自信がある」と述べた。
'18年に注力するポイントとしては、「より多くのデバイスで楽しめるようにハードウェアの主要メーカーとパートナーを広げていく」とし、世界では85以上の機器で楽しめることを紹介。ハードウェアのメーカーだけでなく、サッカーチームのマンチェスター・ユナイテッドやFCバルセロナともパートナーシップを結んでいるという。
コンテンツについては、「他の音楽ストリーミングに比べてローカルのコンテンツを強化することで差別化を図る」とし、J-POPやJ-ROCKなどの国内カタログへ注力する方針を説明。今後ポニーキャニオンやスペースシャワー、ヒップランドなどと協力し、日本の楽曲のラインナップを強化していくほか、日本のインフルエンサーによるプレイリストなども提供予定。「日本が期待する高品質なサービスにより、HiFiを再定義する」と述べた。
Deezerが展開するオリジナルライブ映像「Deezer Session」はYouTubeで公開されており、加入しなくても視聴可能。加入者以外にもサービスをアピールすることなどを目的に行なっているが、こうした取り組みにより、アーティスト側からDeezerへのアプローチもあるという。
なお、現在PCや対応オーディオ機器で受信する場合はCD音質のFLACで聴けるが、スマートフォンではMP3(最大320kbps)となる。シャケド氏に、スマートフォンでのHiFi音源の対応予定はあるのか尋ねたところ、「検討はしている。実現には、HiFiのままスマートフォンから聴ける良い技術が必要」とした。
Deezer HiFiは日本の音楽シーンをどう変える?
オーディオ評論家の山之内正氏、オンキヨー&パイオニアイノベーションズ プロダクトプランニング部 土田秀章部長、ヤマハミュージックジャパン AV・流通営業部マーケティング課 野田聖之氏、Parade All代表取締役の鈴木貴歩氏によるトークセッションも行なわれた。
山之内氏は、ストリーミング配信の良さについて「ダウンロードは音は良いが、聴く前にライブラリ管理という1クッションが入る。いま聴きたいというときにクリックしてすぐ音が出るのが強み。CDのジャケ買いならぬ“ジャケ聴き”や、好きなアーティストの曲を全部聞ける“大人聴き”ができる」と説明。
オンキヨー&パイオニアの土田氏は、ハイレゾプレーヤーであるrubato/privateにおいてCD音質のストリーミングであるDeezerに対応した背景として、「世界的に音楽の聴き方が変わっている中で、やはりポータブルでもストリーミングで聴けるように対応した。音質が落ちては元も子もないが、Deezerはうってつけのサービス。これで気に入った曲をダウンロードしてもらえるようになれば」とした。
同社の現在のDeezer対応製品はポータブルオーディオのみだが、「家では休日などにリラックスして聴いてほしいのが希望。年内にはオンキヨーパイオニアも(ホームオーディオでも)対応しようと思う」との計画を明らかにした。
ヤマハの野田氏は、「ヤマハは楽器メーカーでもあり、アーティストのレーベルも持っているが、アーティストの思いや楽器の音がちゃんと届くようにオーディオ作りを行なっている。CDの音がストリーミングとオーディオシステムで聴ける環境は素晴らしい」と評価。
今後Deezerに期待するコンテンツの拡充については、土田氏は「アニメが海外でも注目されているので、今は日本中心だが、全世界で広がっていけば」と述べ、野田氏は「J-POPが好きで、中森明菜や山口百恵、中島みゆきなども好きなので、メジャーなJ-POPが増えていくことで、当時の世代や若いユーザーも増えていくのでは」とした。山之内氏は、「圧縮で一番厳しいのはクラシック。アコースティック楽器や人の声は、大変な情報量を持っているので、ありのままを聴きたい。(ストリーミングのDeezerは)それをいくら聴いても良いわけだから、聴かず嫌いの人もチャレンジして欲しい」とした。
GLIM SPANKYライブはYouTubeで4月公開予定
前述したDeezerによるオフィシャルライブ映像「Deezer Session」に、日本のロックユニット「GLIM SPANKY」がアジア人第1弾アーティストとして採用されたことも発表。ライブの公開収録が行なわれた。
2007年より活動を開始し、2014年メジャーデビューしたGLIM SPANKYは、ロックとブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)の男女2人組ロックユニット。2016年公開の映画「ONE PIECE FILM GOLD」の主題歌「怒りをくれよ」や、映画「少女」主題歌「闇に目を凝らせば」なども手掛ける。5月には初の日本武道館でのワンマンライブも決定している。
今回の公開収録では、「THE WALL」や「BIZARRE CARNIVAL」などのほか、「I feel the earth move」のカバーを含む8曲を披露。YouTubeのチャンネル「Deezer Sessions」で4月24日に公開される予定。