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デノン、Phono入力も搭載した7.2ch AVアンプ「AVR-X2500H」、「AVR-X1500H」

 ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドの7.2ch AVアンプ新製品「AVR-X2500H」と「AVR-X1500H」を6月中旬に発売する。価格はX2500Hが90,000円、X1500Hが59,500円。どちらもDolby AtmosやDTS:Xに対応、4KのHDR映像はDolby VisionやHLG(ハイブリッドログガンマ)にも対応する。

「AVR-X2500H」

 X2400H、X1400Hの後継モデル。筐体デザインが新しくなった。従来は、中央部分が奥まった形状だったが、フラッグシップモデルX8500Hのデザインを踏襲したものになった。

「AVR-X1500H」

 新たにPhono入力も搭載。MMカートリッジのレコードプレーヤーと接続できるようになり、利用の幅が広がっている。

 HDMI入力はX2500Hが8系統、X1500Hが6系統搭載。どちらも各価格帯において、豊富な端子数のアンプになっている。HDMI出力はX2500Hが2系統、X1500Hが1系統。

 従来モデルと同様に、最新の映像規格にフル対応。HDCP 2.2/4K/60p/4:4:4/24bitや、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどのフォーマットをサポートし、広色域表現を可能にする「BT.2020」のパススルーも可能。4K Ultra HD Blu-rayのパススルーもできる。

 HDR映像は、UHD BDに採用されているHDR10に加え、Dolby Visionとハイブリッドログガンマにも対応。パッケージ、ストリーミング、放送など様々なソースでHDR映像が楽しめる。

「AVR-X2500H」
「AVR-X1500H」

 オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。既存のオーディオ信号についても、サウンドモードの「Dolby Surround」、「DTS Neural:X」を使い、スピーカーの構成に応じて最適なアップミックスが可能。

 5.1.2のスピーカー配置に対応。2つのハイトチャンネルスピーカーを接続でき、ハイトチャンネルスピーカーには、フロントハイト、トップフロント、トップミドル、フロントドルビーイネーブルド、サラウンドドルビーイネーブルドのいずれかを選択可能。サラウンドバックやハイトチャンネルスピーカーを使用しない場合には、フロントスピーカーの駆動に4チャンネルのアンプを使うバイアンプ駆動、2系統のフロントスピーカーを切り替えて使用する「A+B」のアサインも可能。

 さらに、DTS Virtual:Xもサポート。ハイトスピーカーやリアスピーカーを設置していないステレオ、5.1ch、7.1chなどの環境でも、高さ方向も含むあらゆる方向からのサウンドに包み込まれるような再生ができるという。この機能は、PCMやDTSの音声データで利用できる。

 Dolby Atmos、DTS:Xのパフォーマンスを活かすために、32bitクアッドコアのDSPを搭載。Dolby Atmos、DTS:Xに対応しながら、音場補正回路の「Audyssey MultEQ XT」も利用できる。Audyssey MultEQ XTでは、付属のマイクを使い、スピーカーの有無やサイズ、リスニングポイントまでの距離、音量を測定。最大で8カ所の測定データを解析することで、スピーカーごとの周波数特性の違いや部屋の反響音などの音響的な問題を取り除ける。マイクを設置する組み立て式のスタンドも付属する。

 天井に音を反射させる事で、トップスピーカーの代わりとなるDolbyイネーブルドスピーカーも、セットアップでサポート。天井までの距離を入力する事で、スピーカーから視聴ポイントまでの距離を計算し、反射を含め、より正確なディレイタイムを実現する。

 細かな設定を可能にする有料アプリ「Audyssey MultEQ Editor」も2,400円(税込)で用意。AVアンプ単体では設定できない調整項目にアクセスできる。インストーラーの利用も想定したアプリとなる。

 DACは、旭化成エレクトロニクスの32bitタイプ8ch DAC「AKM4458」を採用。DAC経路の低域用周波数特性を改善し、オブジェクトオーディオにも十分対応できるよう、フラットな低域特性を実現したという。

 プリ部は、Hi-Fi向けアンプの設計思想を投入。ヒートシンクや電源トランスからの振動を受けにくく、かつ信号経路のミニマイズを考慮したレイアウトになっているほか、ハイインピーダンスなアナログ入力端子を、トランスから極力離して配置する事でノイズの影響を低減。アナログ入力からプリアンプ、パワーアンプへと、最短経路になるような基板レイアウトも追求した。

 さらに、上位機種でも採用しているカスタムボリュームICも搭載。セレクターとボリュームをワンチップにまとめたものではなく、JRC(新日本無線)と共同で開発した、セレクターとボリュームそれぞれ個別のICを採用。これにより、信号経路を最短化している。

 パワーアンプ部は7chのディスクリート構成。厳選したパーツで構成する事で、「ICやパワーパックでは得られない充実したサウンドを実現した」という。X1500Hでは、カスタムコンデンサを出力段のパワートランジスタと同一基板上に配置、最短距離で電源供給を行なっている。

 どちらのモデルも、高速整流ダイオードと大容量ブロックコンデンサを使った電源部により、4Ωのスピーカーもしっかりドライブできる、余裕のあるドライブ能力を実現。パワートランスの重さは、X1500Hが3.4kg、X2500Hが4kg。ブロックキャパシタは、X1500Hが10,000μF/69V。X2500Hは12,000μF/71Vと、X4000番台と同じものを採用。よりパワー感のある再生が可能という。

 デジタル系デバイス用の電源に、2倍速ドライブスイッチング電源(SMPS)を投入。スイッチング電源から発生するノイズは音質に悪影響を与えるが、そのノイズを可聴帯域外に押しやっている。配置もプリアンプから最も遠くにするなど、考慮した。

「AVR-X2500H」の内部
「AVR-X1500H」の内部

ネットワークプレーヤー機能も充実

 ネットワーク/ワイヤレススピーカー「HEOS」シリーズのテクノロジーも搭載。HEOSスピーカーとAVアンプの連携が可能で、AVアンプから信号をワイヤレス伝送し、HEOSスピーカーから音を出す事も可能。

 ネットワークプレーヤー機能も搭載。NASなどに保存したPCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzまでのファイルを再生できる。ネットワーク再生の制御には、無料のスマートフォン/タブレット向け「HEOS」アプリを利用。Bluetooth伝送も制御できる。AirPlayもサポートしており、iOS機器とも連携が可能。

 AVアンプの機能制御用には、既存のアプリ「Denon 2016 AVR Remote」を利用。ネットワーク再生には前述の「HEOS」と、2つのアプリを切り替えて利用するスタイルとなる。

 セットアップのわかりやすさにもこだわり、背面のスピーカーターミナルはケーブルを接続しやすいように、横一列に配置し、差込口を真上に調整。各ターミナルをカラーリングし、チャンネルの識別を容易にしている。ケーブルにもカラーラベルを付属。

 OSDで接続から初期設定までを、テキストとグラフィックを使ってガイダンスする「セットアップアシスタント」を用意。ガイダンスに従って進める事で、セットアップが完了する。

 フロントパネルとリモコンには、クイックセレクトボタンを用意。入力ソース、音量レベル、サウンドモードの設定などをまとめてボタンに登録できるもので、AVアンプの操作がわからないという人も、ボタンを押すだけで、様々な設定を一度に切り替えられる。

 有線LANに加え、無線LANも装備。2.4GHzと5GHz帯のデュアルバンド対応で、安定した通信を実現する。FM/AMチューナを搭載し、ワイドFMにも対応。

 HDMI以外の端子として、どちらのモデルもコンポジット入力×2、コンポジットモニター出力×1、光デジタル入力×2、サブウーファプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1などを装備。

 Phono入力以外のアナログ音声入力は、X1500Hは2系統、X2500Hは4系統搭載。X2500Hは、ZONEプリアウトも備えている。また、X2500Hのみ、コンポーネント入力を2系統搭載する。

 アンプの定格出力も異なり、X1500Hは80W×7ch(8Ω)、X2500Hは95W×7ch(8Ω)

 アンテナを寝かせた状態の外形寸法と重量は、X2500Hが434×341×167mm(幅×奥行き×高さ)で、9.4kg。消費電力は500W。X1400Hは、434×339×151mm(同)で、8.6kg。消費電力は430W。

「AVR-X2500H」の背面
「AVR-X1500H」の背面

音を聴いてみる

 デノンのAVアンプは、昨年の「AVR-X2400H」と「AVR-X1400H」において、DACチップをそれまでのTI・バーブラウン24bitタイプから、旭化成エレクトロニクスの32bit 8ch DAC「AKM4458」に変更するなど、大幅な進化があった。

 サウンドマネージャーの山内慎一氏は、「去年のモデルにおいて、(音質面でも)大幅な進化があった。その際、“ここから先、さらに進化するのは難しい領域に入っていくな”と感じていたが今年のモデルでは、そこをうまくクリアできたと考えている。よりエネルギッシュで、低い音もより出せるようになっており、X8500HやX6400Hに通じるようなサウンドになった。オーディオ的に、より踏み込んだ表現が可能になっている」と語る。

 実際に2chのソースでX2500H、X1500Hを聴いてみると、大幅な進化があったX2400H/X1400Hからさらに前進し、広大な空間表現や、低域の沈み込みの深さ、中低域のパワフルな密度感、全体の分解能という多くの面で、クオリティが上がっているのがわかる。

 さらに、X2500Hでは強力な電源部を活かし、安定感のある低域と、X1500Hと比べてもさらに広い空間表現を実現。2chでもマルチチャンネルでもその効果はよくわかり、「スターウォーズ 最後のジェダイ」冒頭のドレッドノート攻略シーンでも、広大な宇宙空間の中で、無数の戦闘機が乱れ飛ぶ音像の動きの立体感や、個々の音の分離感、爆発音の迫力と、締りのいいトランジェントの良さといった面で、上位モデルらしい風格を感じさせてくれた。