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スカパー、8K衛星中継の伝送実験に成功。「2SI分割」で現行4K機材を活用

 スカパーJSATは、アストロデザインや富士通と共同で、通信衛星を使用した8K映像伝送実験を8日に行なった。アストロデザインの8K変換技術を活用し、現行の4Kエンコーダ/デコーダでの8K映像送受信が可能であることを実証したという。スポーツの8K中継や、8Kパブリックビューイングなどでの活用を見込んでいる。

実験のシステム概要

 現在、8K映像を伝送する際は専用のエンコーダ/デコーダが必要とされているが、希少で高額なため、現行の4K技術や製品を用いることで、利便性向上や利用シーンの拡大を図る。

 これまで、スカパーJSATは放送事業者や通信事業者で導入が進められている4KのH.265/HEVCエンコーダ/デコーダを、送信と受信で各4台を用いて、画像を4画面に分割して伝送する検証を進めてきた。しかし、分割した4画面それぞれの画像の複雑度の違いにより画面間に境界線が表れる現象が発生。これを避けるには多くの伝送帯域を必要とし、実用的ではないとしている。

 今回の共同実験では、アストロデザインの8K変換技術により「2SI信号」へ変換。データ量が膨大な8K信号を伝送するために、データを4分割して伝送路の負荷を軽減するもので、画像を上下左右の4つに分割して伝送する方法(SQD:Square Division)と、2画素単位で細かく区切ってまとめる方法(2SI分割:2 Sample Interleave)の2つの方法がある。

 今回は、2SI分割した8K映像を現行4Kエンコーダ/デコーダによって圧縮/伸長、境界線を出さずに合計120Mbpsの8K映像を伝送し映し出すことに成功した。

 スカパーJSATは「今までよりも容易な8K伝送が可能になることが明らかになった」としており、同社の通信衛星を利用することにより、スポーツイベントなどでの8K中継や多拠点への8Kパブリックビューイング、4面までの4Kマルチスクリーン、ドームシアターへの中継など、幅広い用途を想定している。

 映像出力には、アストロデザインの8K対応2SIコンバータのほか、8K SSDレコーダ「HR-7518」や、単板式カメラヘッド「AH-4801-B」を使用。4Kエンコード/デコードには、富士通のFUJITSU Networkリアルタイム映像伝送装置「IP-HE950」を使用した。