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Playback Designs、最上位セパレートSACD。FPGA活用で計550万円

 ナスペックは、Playback Designsの新フラッグシップSACDプレーヤー「DREAM SERIES」を発売する。DACの「MPD-8」と、SACD/CDトランスポートの「MPT-8」で構成されており、8月1日に受注を開始。価格は「MPD-8」が250万円、「MPT-8」が300万円。受注後の納期は約2カ月。

DACの「MPD-8」

Andreas Koch氏の新作

 Playback Designsは、DSDマルチレコーディング機「Sonoma」の設計に携わり、DSD信号をPCからUSB伝送するDoP方式の生みの親としても知られるAndreas Koch(アンドレアス・コッチ)氏が2007年に立ち上げたハイエンドオーディオ・ブランド。

 同社は2009年に、SACDプレーヤー「MPS-5」(300万円)を開発。2015年には、各パーツを選別し、クロックのバージョンアップを行なった「MPS-5LTD」(320万円)も日本限定25台で発売した。しかし、SACDメカの供給問題などが原因で、MPS-5LTDを最後に生産は完了。

 だが、MPS-5の開発後も研究開発を続け、新たに誕生したのがセパレート構成のMPT-8、MPD-8となる。

 DAC「MPD-8」の特徴は、PDFAS(Playback Designs Frequency Arrival System)を使っている事。多くのDACは、入力されたデジタル信号をPLL回路によってクロックと同期を取り、デジタル信号を補正しているが、ジッタが発生するという問題がある。

 そこで、PLL回路は使用せず、PDFASを採用。Andreas Koch氏が開発したオリジナル・アルゴリズムで信号処理を行なうことで、「ジッタの無いデジタル信号を取り出すことに成功。PLL回路を使用しない為、高価な外部クロックは必要ない」という。

 DACチップも既存のものは使わず、FPGAを採用し、Andreas Koch氏自らが考案した独自のアルゴリズム・プログラムを採用。さらに、ディスクリート構成の回路により D/A変換を行なう。MPD-8ではFPGA回路を4基搭載している。

 クロックは、既存のVCXO(水晶発振器)クロックではなく、Playback DesignsカスタムメイドのMEMSクロックを採用。衝撃や振動等の外部要因に対する耐久性を持たせたほか、電気的ノイズの多い条件下でも高い精度を保つという。

トランスポートの「MPT-8」

 「MPT-8」と「MPD-8」の接続には、専用のP-LINK(光接続)を使用。共通アースを排除し、外部から混入するデジタルノイズを完全に遮断。出力側と入力側、双方に強力なノイズフィルタを装備する事で、二重のフィルタリングが可能となり、圧倒的な音質改善効果を生み出すという。

DAC「MPD-8」

 入力端子として、192kHzまでのPCMとDoPに対応するAES/EBU(XLR)×1、同軸デジタル×1を搭載。光デジタル×1は、96kHzまでのPCMに対応。P-LINKは×2系統で、PCM 384kHzまで、DSDは11.2MHzまで対応。USB×1も、PCM 384kHz、DSD 11.2MHzまでサポートする。なお、DSD 11.2MHzはASIO方式のみ対応で、DoPでは5.6MHzまでとなる。

 出力はデジタルP-LINK×1、アナログ出力としてXLRバランス×1、RCAアンバランス×1を搭載する。消費電力は最大100W。外形寸法は460×430×130mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は19kg。

DAC「MPD-8」の背面

トランスポート「MPT-8」

 ディスクドライブは、デノン製のメカニズムを採用。「リジッドで安定性が高く、サウンドのアップグレードに大きく貢献した」という。

 複数クロックを搭載することで起るディファレントビート現象を排除するため、高精度なMEMSクロック×1基で全ての表示や、コントロール・タイミングなども制御。

 FPGA回路を2基搭載。1基は拡張用で、将来のアップデートにも柔軟に対応できるという。また、高品位なリニア電源を搭載しているのも特徴。

 デジタル入力として、AES/EBU(XLR)×1(PCM 192kHz/DSD DoP)、同軸デジタル×1(PCM 192kHz/DSD DoP)、光デジタル×1(PCM 96kHz)、P-LINK×1(PCM 384kHz/DSD 11.2MHz)、USB×1(PCM 384kHz/DSD 11.2MHz)。出力は、P-LINK×1、AES/EBU(XLR)×1(PCM 192kHz/DSD DoP)。なお、DSD 11.2MHzはASIO方式のみ対応で、DoPでは5.6MHzまでとなる。

 消費電力は100W。外形寸法は446×430×130mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は17kg。

トランスポート「MPT-8」の背面

 近い将来発売予定のオプションとして、DSD 11.2MHzまで再生可能な、2TB SSD搭載のミュージックサーバー「Syrah Server」(予価60万円)を搭載可能。リッピングのためのCD-ROMも同梱される。

 PCM 384kHz、DSD 11.2MHzまでに対応する「Roon Core」(予価50万円)も発売予定。なお、MPT-8に搭載できるのはSyrah ServerとRoon Coreのどちらかのみになるという。

 「Stream-X」(予価30万円)は、前述のオプションと同時に搭載可能なもので、Deezer HiFiや、日本未サービスだがTidal、Qobuz、インターネットラジオのvTunerなどからのストリーミング再生が可能になるオプション。外部USB、またはNASからのファイル再生もサポートする。ネットワーク再生はDLNA/UPnPに対応する。