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NHKのネット同時配信実施へ、受信料など見直し議論。総務省で検討会

 総務省は、NHKによる放送と同時のインターネット配信などが議論された7月13日の「放送を巡る諸課題に関する検討会」第19回会合の内容を公開した。

 検討会は、技術発展やブロードバンドの普及など視聴者を取り巻く環境変化等を踏まえ、放送に関する諸課題について話し合われている。多賀谷一照 千葉大学名誉教授を座長とし、大学教授やシンクタンク、弁護士、インターネット関連企業などなどで構成。オブザーバとしてテレビ局や日本民間放送連盟(民放連)などが参加。野田聖子総務大臣らも出席した。

 第19回の会合では、NHKによるインターネット同時配信や受信料に関する内容のほか、放送用周波数の有効活用などが議論された。

 現在の法律では、NHKが、テレビ放送の全てをインターネットで同時に配信することは認められていない。そのため、NHKのインターネット活用業務実施基準では、受信料収入の2.5%を上限と定め、一部の番組を放送と同時にネット配信している。これの見直しなどを含めた「第二次取りまとめ(案)」が各構成員から説明。同案では、受信料の見直しや、民放のサービスなど市場の競争を阻害しないことが必要といった内容もまとめられている。

第二次取りまとめ案で示された、国別の公共放送のインターネット配信の状況

 ワールドカップなどのスポーツイベント観戦や、西日本豪雨など災害情報の共有がテレビ放送以外でも多くの人が行なえるように、スマホやタブレットなど様々な端末で放送と同時に配信される意義については、各構成員が賛成する意向を示した。

 一方で、同時配信の実現にはNHKの受信料や情報開示などを含めた改革が合わせて必要との指摘も多く、「適切な業務・受信料のあり方等・ガバナンス改革についての検討は今後のNHKのあり方として不可分」、「ネットで番組が見られることは基本的に賛成だが、将来的に、ネット受信料のような負荷が発生することは避けるべき」といった意見が上がった。

 第二次取りまとめ案や、構成員らの意見に対してNHKの坂本忠宣専務理事は「NHKが要望してきた常時同時配信の実施について、一定の合理性・妥当性があるとされたことを重く受け止め、引き続き、国民・視聴者の理解を得ながら準備を進める。取りまとめ案におけるNHKに対するご意見、ご指摘、また、これまでの会合の議論についても、真摯に受け止めたい」と述べた。

 民放連の永原伸 専務理事は、「常時同時配信に一定の合理性があるとしつつ、ただしという形で様々な条件をつけて、民放連がまさに要望してきたことの具体化・実行が、同時配信の前提であるという考え方を打ち出したことについて、率直に評価したい」とし、「常時同時配信の実施時期について、2019年度と明示されていないのも、ここで示された諸条件をクリアすることが大前提であるという考え方だろうと解釈している」と述べた。

 野田総務大臣は「NHKのあり方については、取りまとめ案を受け、総務省としては制度整備などの具体的な検討をしっかりと行なってまいりたい。NHKにおいては常時同時配信の実施にあたって、国民・視聴者や関係事業者の意見をしっかりと聞いていただきながら、各種課題に早急に取り組んでいただくようお願いしたい」とした。