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NHKがBSチャンネル削減へ。ネット同時配信など支出見直し

NHKは、11月8日に総務省から要請を受けていた「インターネット活用業務実施基準の変更案の認可申請の取扱いに関する総務省の基本的考え方」に関する検討の結果を、12月8日に総務省へ提出。この中で、現在のBS放送4波を3波に削減することや、東京オリンピック/パラリンピックにおけるインターネット配信実施における変更の方針などを明らかにした。

受信料値下げに合わせ、BS放送の削減など効率化

既報の通り2020年10月からの地上契約と衛星契約の2.5%値下げを実施した上で、支出については、既存業務を見直し、常時同時配信・見逃し番組配信を含む新規業務やオリンピック/パラリンピック東京大会関連業務を効率的に実施することにより、現3カ年経営計画の収支計画で示している赤字幅を削減する方向で検討。

「4K・8K放送の普及段階を見据えた衛星放送の在り方」については、視聴者保護の観点を堅持した上で、現在の4波(BS1/BSプレミアム/BS4K/BS8K)を3波に整理・削減するという。現時点での具体的な考え方は12月中に示す予定。

東京オリンピック/パラリンピックを含むにおけるインターネット配信実施

放送と同時のネット配信などについて定める、2020年度のインターネット活用業務については、一時的に発生するオリンピック・パラリンピック東京大会の費用を除き、受信料収入の2.5%を費用の上限として実施するべく実施内容を再検討。必要に応じて実施基準(案)を修正する。

「既存業務をはじめ、想定される業務全てについて、聖域なく点検し費用を削減する」とする一方、「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」の中で、放送法上の努力義務に関する業務及び国際インターネット活用業務のうち、2020年度新規に行なうものについては、「円滑な実施を確保するため、予算執行上一定の配慮が可能となるような取扱いが必要」としている。地方向け放送番組の提供など、必要な業務であり、かつ直ちに実施することが費用の観点から難しい業務については、次期中期経営計画の中で具体化させるという。

また、これまで「常時同時配信等を臨時かつ一時的に広く一般に利用可能とする措置を実施する場合は、受信料制度を毀損しない範囲で抑制的に行なうもの」としていたが、これを実施しないことを決定。

'20年オリンピック・パラリンピックについては、オリンピックは民間放送事業者とのコンソーシアムで、パラリンピックはNHKが単独で、配信権を含む放送権を独占的に取得していることを踏まえ、大会期間中にNHKが地上波で放送するオリンピック・パラリンピック競技とその関連番組に限定して、メッセージを表示せずに同時配信を実施するという。

常時同時配信・見逃し番組配信については、2.5%の費用上限に収まるよう、常時同時配信のサービス提供時間を限定するなど、実施内容・規模を見直した上で、2020年4月から開始することを実施計画で明記する。なお、「認証の確実な実施のため、試行的に2019年度内に実施したい」としている。

視覚・聴覚障害者や高齢者、訪日・在留外国人などに向けた2020年度のユニバーサルサービスとしては、ロボット音声実況・字幕などの付与が主となるため、オリンピック・パラリンピック東京大会の取り組みに係る費用として支出する。

NHKオンデマンドは1サービスに統合

現在の有料配信サービスであるNHKオンデマンド(NOD)については、「見逃し見放題パック」と「特選見放題パック」を1つに統合。受信料財源で新たに見逃し番組配信を実施することにより契約者が減り、収入は減少すると見込む。一方で収入と連動する形で支払う変動的費用が減ることや、受信料による見逃し番組配信とNODの業務を共通化し効率化を図ることで、支出を抑制可能としている。

また、提供する過去番組の本数の大幅拡大などによる利用者増にも取り組み、中期の収支の改善を目指す。毎年度、収支などを検討し、サービスや運用体制の在り方などの見直しを行うことを実施基準(案)に明記する。