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NHK、同時配信のネットのみ利用者の受信料徴収に「一定の合理性がある」

 NHK受信料制度等検討委員会は25日、テレビ番組を放送と同時にインターネット配信する「常時同時配信」における受信料負担などを検討した「同時常時配信の負担のあり方について」についての答申をNHK会長宛に提出した。現在の受信料制度対象となるテレビを持たず、ネットのみで番組を視聴する世帯からの受信料徴収について、「一定の合理性がある」とまとめている。

 NHKは、2019年をめどにインターネットと放送の常時同時配信の本格開始を目標としているが、現在の受信料制度は「放送」を前提とし、「ネットのみ」で視聴する人は想定されていない。そのため受信料の公平負担や財源確保や独立性、現状制度との接合性などの観点から見直しを図り、受信料制度等検討委員会の第1号諮問「同時常時配信の負担のあり方について答申(案)」を6月に公表して、意見募集を行なった。今回の答申は、その意見募集の結果を反映している。

 答申では、受信契約者の追加負担を求めないことを提言。スマートフォンやパソコンからの番組視聴を、「放送受信契約を結んでいる同一世帯内の2台め、3台めのテレビ」として取り扱い、「常時同時配信を追加負担なしで利用できることが適当」としている。

 一方、テレビを持たない世帯(総世帯の5%)が、PCやスマートフォンなどでネット配信を利用する場合には、費用負担を求めていく考え。NHKの維持運営のための負担金と位置付ける「受信料型」、有料サービス対価とする「有料対価型」を候補としているが、「NHKが放送の世界で果たしている公共性を、インターネットを通じても発揮するためのサービスと考えられ、インフラの整備や国民の合意形成の環境が整うことを前提に、受信料型を目指すことに一定の合理性があると考えられる」と記している。ただし、受信料型は論点整理や国民の理解を得るまで時間がかかるという課題もあるため、「当面の暫定措置についても検討が必要」とする。

 費用負担単位については、受信料型、有料対価型のいずれでも「世帯単位」が適当としている。また、利用者を把握するために「何らかの認証を用いる必要がある」が、大規模災害時などにはこの認証を解いて、特例的な運用を可能にすることを想定している。

 また2月にNHK会長より諮問を受けた、諮問第2号「公平負担徹底のあり方について」と、諮問第3号「受信料体系のあり方について」の意見募集も8月15日まで実施。諮問第3号「受信料体系のあり方について」では、メディア環境の変化に合わせた受信料の契約や受信料免除などについて言及されている。