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“世界最高品質のワイヤレススピーカー”「PHANTOM」フランスから上陸
2018年9月7日 07:30
フランスのDevialet(デビアレ)は、日本での本格展開・商品販売を開始。同社を代表する製品であり、「世界最高品質のワイヤレススピーカー」を謳う「PHANTOM」シリーズ3モデルを9月に発売する。価格は「THE NEW PHANTOM」が249,000円(税込)、「SILVER PHANTOM」が319,000円(税込)、「GOLD PHANTOM」が399,000円(税込)。9月6日に二子玉川の蔦屋家電で、9月19日から新宿伊勢丹本店5階に常設コーナーをオープンする。
SFチックな、豆のような形状のワイヤレススピーカー。「GOLD PHANTOM」の場合、最大で4,500W、108dBという超強力な出力が可能で、「ライブ会場のようなサウンドが1台で再生できる」という。さらに、独自のアンプ技術を活用し、歪み(0.0005%)やサチュレーション、バックグラウンドノイズをゼロに抑えているという。
外形寸法は253×343×255mm(幅×奥行き×高さ)で、エンクロージャの容積は6リットル。先端部分にミッドレンジとツイータを、筐体の両サイドに大口径ウーファを各1基、合計4基のユニットを搭載。アンプも4基搭載する。コンパクトながら、14Hzからの低域を再生でき、360度に音を放出。
Bluetooth、Wi-Fi、AirPlay、Spotify Connectに対応。スマホからのサウンドを手軽に再生できるという。光デジタル入力も備えている。
OSを搭載。音声処理ソフトウェアのアップデートにより進化できるスピーカーになっている。1台で利用できるが、複数の部屋に設置してのマルチルーム再生や、2台を左右に置いたステレオ設定も可能。特注で3台、4台と、より多くのPHANTOMを連携させることも可能。
デジタルとアナログのハイブリッドアンプを搭載
最大の特徴は「ADH」(Analog Digital Hybrid)と呼ばれる技術を使ったアンプにある。一般的にアナログアンプは、音のクオリティが高い反面、効率が悪い。逆にデジタルアンプは、音のクオリティはアナログに劣るが、効率はアナログアンプより良いとされている。
Devialetは、アナログのクオリティと、デジタルの効率という、両方のメリットを組み合わせたアンプを開発するメーカーとして登場。その技術を活用し、プロトタイプの段階でアナログアンプの10倍~1,000倍までの効率を誇り、ノイズや歪みも抑えたアンプ開発に成功。2012年にはその技術を活用し、ピュアオーディオ市場に高級アンプ「Expert Pro」を投入。様々な展示会で話題となり、「3カ月で世界一のアンプとして認められた」という。
そのサウンドを、高級アンプではなく、より多くの人が楽しめる手軽さと、購入しやすい価格で実現する製品として、ワイヤレススピーカーのPHANTOMを2015年に発表。最も強力なモデルで4,500Wというハイパワーを実現、それでいて従来のアンプを超えるクオリティを実現したとする。なお、PHANTOMにはExpert Proのアンプ回路を、コンパクトにしたボードが内蔵されている。
ワイヤレススピーカーとしてとらえると、約25万円、30万円、40万円といった価格は高価に感じるが、Devialetでは、「今までの技術を使ったスピーカーで、PHANTOMのパワーやクオリティを実現するためには、サイズも価格も、PHANTOMの20倍、30倍するシステムになるだろう」とし、超高級アンプ&スピーカー並のパワフルさと音質を実現しながら、リーズナブルに購入できるスピーカーとしてアピールしている。
「ADH」以外にも、独自の技術を投入。「SAM」は、スピーカーのポテンシャルを100%まで発揮するためのもので、スピーカーの特徴をラボでレーザーを用いて測定。音声が増幅される前に、そのスピーカーにマッチするような音へと、ソフトウェアで音声信号に処理を加えている。これにより、正確なリズムやテンポを再生でき、アーティストが意図した通りのサウンドが楽しめるとする。
「HBI」は、限られたスペースでも、最大限のパワーが得られるという技術で、2基のウーファを側面に取り付けたもの。特に低音に効果があり、14Hzの再生を実現。超高密度なサウンドを再生する。
「ACE」は、球形スピーカーを実現するための技術。ハリーF.オルソンの、振動する球体の音響原理が使われており、音波が形成され、移動する方法を根本的に最適化。ラウンドフォルムで回折現象も抑え、あらゆる方向に。バランスのとれた音を放出できるとする。
各モデルの違い
形状や基本的な技術は3機種共通だが、ユニットの素材や出力に違いがある。
「THE NEW PHANTOM」は、アンプの出力は最大1,200W、101dB。再生周波数帯域は16Hz~25kHz。ツイータ、ミッドレンジ、ウーファのいずれも、アルミニウム振動板を使っている。
「SILVER PHANTOM」は、アンプ出力最大3,000W、105dB。再生周波数帯域は16Hz~25kHz。ツイータ、ミッドレンジ、ウーファのいずれも、アルミニウム振動板を使っている。
「GOLD PHANTOM」は、アンプ出力最大4,500W、108dB。再生周波数帯域は14Hz~27kHz。ミッドレンジ、ウーファはアルミニウム製だが、ツイータはチタン製。
サイズからは考えられない迫力
デモ再生で驚くのは、サイズを超えた低音と、音圧の高さだ。“強烈”と言っていいほど、パワフルに音が張り出し、凄いを通り越して、音が出た瞬間に体がビクッと動いてしまうほどパワフル。それでいてサウンドにはキレがあり、筐体の反響音でボワッと音が濁る事もない。
低音が多い曲では、左右のウーファが激しく振動しているのが見え、まるでエンジンのピストンが動いているようで面白い。
筐体がコンパクトであるため、音場も広大。1台でも部屋の中に、パワフルでキレのあるサウンドを充満できる。既存のアクティブスピーカー、Bluetoothスピーカーなどのイメージを大きく覆す、異質と言ってもいい再生音だ。
著名人も虜にするサウンド
発表会は、フランス大使公邸で開催。在日フランス大使のローラン・ピック氏も登壇し、「PHANTOMは音楽好きにとってはたまらない製品であり、Devialetは花形企業になっている。そのクオリティを維持するため、設計から生産まで全てフランスで行なっている。フランスには伝統職人の技術があり、それに支えられた高級ブランドを生み出している。その中に、今後Devialetも入ってくるのではないかと思う」と期待を込めた。
さらに、エイベックスのグループ執行役員である加藤信介氏が「PHANTOMファン」として登壇。「エイベックスとDevialetには資本関係も何もないのですが(笑)、今年の1月に会社の会議室で音を体験し、ビックリした。重低音が特に凄くて、いちはやく欲しいとDevialetさんにお願いして現在会社に10台あります(笑)。会長の松浦(松浦勝人氏)も気に入っていて、4台使っている。コワーキングスペースに3台、4台あったりと、エイベックスはPHANTOMのヘビーユーザーです(笑)。日本での流通が本格的にスタートすると聞き、非常に楽しみにしていた」と語る。
さらに音楽業界の一員として「PHANTOMには日本の音楽を聴く環境を変える可能性があると感じている。コンテンツを楽しむ環境がより豊かになる。サウンドもそうだし、デザインも、他のスピーカーには置き換えられない。エイベックスとしてもアーティストと共に、(PHANTOMの本格展開に)協力していきたい」とエールを贈った。
国内販売店の1つである、三越伊勢丹 伊勢丹新宿点 新宿リビング・ソリューション・IDS営業部の梅田大輔営業部長は、「去年の夏、部下のバイヤーがPHANTOMのデモを聴いてド肝を抜かれた。その部下はその後、今年の4月に香港に行ってPHANTOMを聴いて、またド肝を抜かれてきた。実はその部下は家電のバイヤーではなく、仏壇などの担当なんです。それから3カ月、事あるごとにPHANTOM、PHANTOMと言っていて、私もデモを体験した。我々の会社はどちらかと言うと保守的なのですが、ある日の大きな会議で、PHANTOMのデモをぶっ放しまして(笑)、皆のド肝を抜いて、今回のローンチへと至りました」と笑う。梅田氏はその魅力について、音だけでなく「(左右のウーファが)まるで心臓のように動く、その視覚的なものが、人間の本能に訴えかけるような力がある製品だと感じている」と語った。
海外でも著名人に愛用されており、ビヨンセとジェイ・Z、Androidの生みの親として知られるアンディ・ルービン、さらにフランスのマクロン大統領もPHANTOMの音を楽しんでいるという。
全国400拠点で取り扱っており、パリのオペラ座にもストアを展開。16台のPHANTOMを並べ、1台1台が、オーケストラの楽器を個別に再生する特別な展示を行なっているという。
さらに、オペラ座への展開を記念し、「GOLD PHANTOM OPÉRA DE PARIS | DEVIALET」という449,000円(税込)の特別モデルも用意。 Atelier Gohardという著名なパリの職人により、側面にオリジナル金箔カバーを施し、Opéra National de Parisのロゴも入っている。
Devialetのアジアパシフィック・ゼネラルマネージャーのジュリアン・ベルジェル氏は、日本展開について「日本は我々にとって魅力のある国。音楽を愛する人が多く、大きなパッションを持っている。そんな国に進出したいと考えていた。製品に対する要求度も高く、Devialetの価値観ともマッチする。好機を待っていた」とし、今後の日本展開へ意気込みを見せた。