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ヤマハ、楽器からヒントを得た最上位セパレートアンプ「C-5000/M-5000」

ヤマハは、フラッグシップHiFiセパレートアンプとして、プリアンプ「C-5000」とパワーアンプ「M-5000」を12月上旬に発売する。価格は各90万円。カラーはどちらのモデルも、シルバー/ピアノブラック、ブラック/ピアノブラックの2色を用意する。同日にはアナログプレーヤー「GT-5000」も発表しているが、GT-5000は別記事で紹介している。

左からパワーアンプ「M-5000」、プリアンプ「C-5000」

開発コンセプトとして「圧倒的な音場感」と「音楽的な低域」を追求。低インピーダンス設計や、左右対称設計、メカニカルアース、高剛性・高精度にもこだわっている。

プリアンプ「C-5000」

ハイエンドのプリアンプでは、左右チャンネルそれぞれに基板や電源を用意しているものが少なくないが、C-5000はその構造に特徴がある。入出力端子を含むすべてのオーディオ回路とそのグランドライン、 各ステージへの給電を行うローカル定電流型電源レギュレーター回路をワンボード上に展開。

プリアンプ「C-5000」のシルバー/ピアノブラックモデル
1枚のボードに左チャンネル、もう1枚のボードに右チャンネル、それぞれの回路をすべて搭載。合計2枚のボードとなる

左右チャンネルで2枚のボードとなるが、そのボードを、背中合わせに重ねて配置(上段が左、下段が右チャンネルの基板)。左右対称形のオーディオ基板を、プリントパターン面が向き合うよう二つ折りにしており、まるで本を閉じるような構造である事から「ブックマッチ・コンストラクション」と名付けられている。バイオリンやギターなど、楽器の構造からもヒントを得て、生み出した機構だという。

「ブックマッチ・コンストラクション」
左右チャンネルで2枚のボードとなるが、そのボードを、背中合わせに重ねて配置している

これにより、信号の流れを同一方向に揃えながら、信号および電源経路の究極的な純化と最短化を実現。電源整流回路も左右独立の基板を上下二層に配置して給電効率を最大限に高めている。

プリアンプ「C-5000」の背面。基板をひっくり返しているため、XLRの端子向きが逆になっているのがわかる

基板自体が別れているため、チャンネル間の音質差や相互干渉も低減。「録音現場の空気までも感じられるほどの生々しい音場感と開放感、 そして正確無比な音像定位を再現する」という。

左右の電源トランスの間に上下二層(上段が左チャンネル、下段が右チャンネル)の電源整流回路を配置。各チャンネルのオーディオ基板上のローカル電源レギュレーターへ最短距離で給電している。メインレギュレーターからローカルレギュレーター(オーディオ基板)間の各給電ラインには、12AWG相当の太径ワイヤーと真鍮製ネジを使ったねじ止め配線とし、筐体の大部分を占めるインナーシャーシに銅メッキを施すなど、電源系のローインピーダンス化も徹底した。

ブラック/ピアノブラックモデル

MCヘッドアンプやフォノイコライザーを含むオーディオ回路全段はバランス増幅化。5000シリーズと組み合わせる事で、フォノ入力からスピーカー出力までの完全バランス伝送を可能にした。フォノイコライザー、 入力アンプ、 出力バッファーアンプにはプリアンプ回路として初のフローティング&バランス方式を採用。グランドを巡るノイズの影響を受けない高純度な増幅を実現した。

電源部には、磁束漏洩が少なくレギュレーションに優れた、銅メッキケース封入のトロイダル電源トランスを左右独立で搭載。容量は25VA×2で、ワイヤーはネジ止めで低インピーダンス化。各トランス底面とインナーシャーシの間には3mm厚の真鍮製ベースプレートを挟み込んでいる。

フロントパネルは9mm厚のアルミ無垢、トップパネルは6mm厚のアルミ無垢。両サイドにはピアノフィニッシュのサイドウッドを組み合わせている。

ポインター(指標)を一体化した形状のアルミ削り出しボリュームノブは、軸受部にボールベアリングを採用。レバースイッチにも新規構造を導入するなど、操作フィーリングにもこだわった。「入社2年目の若手技術者が考案した」ものだという。

ポインター(指標)を一体化した形状のアルミ削り出しボリュームノブ

入力端子は10系統で、バランスは3系統。その内1系統は、フォノ入力用のバランス端子となる。出力は4系統で、バランス出力も1系統備える。トリガー入出力や、リモート入出力も備えている。

消費電力は60W、待機電力は0.3W。外形寸法は435×451×142mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は19.1kg。

背面

パワーアンプ「M-5000」

定格出力100W×2ch(8Ω)、200W×2ch(4Ω)のパワーアンプ。ブリッジ接続にも対応する。

パワーアンプ「M-5000」

出力段の左右チャンネルそれぞれの+側と−側、 計4組の電力増幅回路をグランドに対して電気的にフローティングし、出力段におけるプッシュプル動作の完全対称化(プル−プル化)を実現。ヤマハ独自の「フローティング&バランス」仕様となっている。

独自の「フローティング&バランス」仕様

電源供給を含む全回路をグラウンドから完全に切り離し、微細な電圧変動やグランドを巡る外来ノイズの影響も排除。パラレルMOS-FET出力段を装備し、スピーカー駆動力を向上させた。

中央に電源部を左右にパワーアンプブロックを配置。音声信号経路と給電経路の両方を最短化した。電源トランスやブロックケミコンなど、振動を伴う大型重量パーツの質量を機構的に接地させる「メカニカルグラウンド・コンセプト」に基づいてシャーシ構造と各パーツの固定方法を追求。

「メカニカルグラウンド・コンセプト」

ピンポイント支持とプロテクトを両立したという、真鍮削り出しの新構造レッグも採用。「実在感あふれる空間描写力と豊かな低音の表現力を獲得した」とする。

ピンポイント支持とプロテクトを両立したという、真鍮削り出しの新構造レッグ

電源トランスには、磁束漏洩が少なく、コアの磁束密度が高く、電力変換効率と電源レギュレーションに優れたトロイダル型を採用。容量は1,200VAで、パワーアンプ電源用の内部巻き線をそのままダイレクトに引き出しているほか、ラグ端子で回路と直接接続することで低インピーダンス化も実現。トランス底面とインナーシャーシの間には3mm厚の真鍮製ベースプレートを挟み込んでいる。

電源部。左に見えるのがトランス底面とインナーシャーシの間に配置する真鍮製ベースプレート

VU/ピークの切り替え表示と、ディマーが可能な高精度レベルメーターを中央に配置。フロントパネルは9mm厚、トップパネルは6mm厚のアルミ無垢材を切削加工した。ピアノフィニッシュのサイドウッドも搭載している。

高精度レベルメーターを中央に配置

入力端子は、RCA×1、XLRバランス×1。トリガー入出力も備えている。消費電力は400W、待機電力はオフモードで0.1W、スタンバイモードで0.2W。外形寸法は435×464×180mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は26.9kg。