ニュース

メガネスーパーのノウハウ集結、有機ELスマートグラス「b.g.」量産機を体験

メガネスーパーなどを展開するビジョナリーホールディングス子会社のエンハンラボは、メガネ型ウェアラブル端末「b.g.(ビージー)」の量産仕様モデルを、1月16日~18日に東京ビッグサイトで開催している「第5回ウェアラブルEXPO」に出展。ブースには実機が多数用意され、体験の順番を待つ列ができていた。製品は4月から納品予定。

b.g.の量産仕様モデル。装着しているのは、エンハンラボの座安剛史社長

“視覚拡張”をキーコンセプトとした、ノンシースルータイプのメガネ型ウェアラブル端末で、メガネの上から装着できる。医療や物流、工場などの作業現場のほか、教育やエンターテイメント分野などでの活用を見込む。価格は198,000円からで、装着用アタッチメントの有無など構成によって変わる。

b.g.の量産仕様モデル

中央のパーツに1/2インチ有機ELパネル(1,280×720ドット)×2枚を搭載し、装着者の視界を確保しつつ、わずかな視線の移動でディスプレイの情報も目に入る設計とした。信号伝送用のケーブルが直付けになっており、HDMI入力と給電用のUSB端子を備える。映像入力は720/60pに対応。HDCPには対応しない。

中央パーツの左右に1/2インチ有機ELパネルを搭載

ブースでは変換アダプタを介してiPhoneに接続し、b.g.に表示される折り紙の折り方の映像を見ながら、その通り真似をすれば誰でも折り紙が完成できる、というデモンストレーションを行なっていた。

b.g.を変換アダプタを介してiPhoneに接続
ノンシースルーディスプレイに映像を表示したところ

実際にb.g.を装着すると、顔から約1mほど離れたところにiPhoneより二回り大きな画面が浮かんで見え、鮮明で綺麗な印象だった。人が作業時に前方を集中して見るときの視野角は約30度ほどだが、b.g.はその視野角に収まるイメージで、周辺の視野を邪魔しないため周囲の確認も容易だ。

折り紙のデモのイメージ

人によって異なる瞳の間隔(位置)を考慮し、ディスプレイを内蔵した左右の透明パーツを横方向にスライドして微調整できる機構を備える。また、顔の前面にあるパーツごと上下に動かすことも可能。装着者毎に最適な見え方を提供する。

ディスプレイを内蔵した左右の透明パーツは横方向に可動する

装着感にもこだわっており、メガネスーパーが40年以上にわたって培ってきたメガネのノウハウを集結。見え方とかけ心地を追求した。

フレーム設計には、福井県鯖江のメガネづくりの技術を応用しており、ベータチタン素材を使い、ベンディング技術を採用。頭部を包み込むようなフォルムを実現し、中央の鼻当てに重量が集中しないよう負荷を分散させている。ただし、エンハンラボの座安剛史社長は「一般的な眼鏡の重量はレンズ込みで30g程度であるのに対し、b.g.は50g近くあり、軽量化が今後の課題」と話した。

装着した状態を正面から見たところ
装着した状態を横から見たところ

b.g.に接続するデバイスはスマートフォンなどのモバイル端末を想定しており、接続機器の無線LANやBluetooth、カメラ、マイク、アプリケーションが使える。例えば、装着者がハンズフリーで作業できるよう、音声認識でb.g.に表示する画面を切り替えられるようにする、といった活用方法などを見込んでいるという。

4月から企業向けに納品開始を予定しており、製造ロット増に向けて生産体制を強化。来期以降の事業拡大に向けた基盤を整備していく。

工場などで使うヘルメットに取り付けるためのアタッチメントなども用意
b.g.の外装デザインの変遷