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エソテリック新世代Grandioso、VRDS-ATLAS搭載「P1X」、ディスクリートDAC「D1X」

エソテリックは、フラッグシップモデル「Grandioso」の新世代モデルとして、「VRDS ATLAS」を搭載したSACDトランスポート「Grandioso P1X」と、初の完全自社設計64bit DAC「Master Sound Discrete DAC」を搭載したモノラルDAC「Grandioso D1X」を3月1日に発売する。価格は各350万円で、モノラルDACのD1Xはペアで350万円となる。

左から「Grandioso D1X」、「Grandioso P1X」

SACDトランスポート「Grandioso P1X」

エソテリックのCD/SACDトランスポート・メカニズムの基幹技術である「VRDS(Vibration-Free Rigid Disc-Clamping System)」は、ディスクを同径のターンテーブルにクランプして回転させる事で、ディスク自身の回転振動やメカニズムの不要振動を徹底して排除するもの。ターンテーブルでディスクの反りも矯正し、光学ピックアップとディスクピット面の相対光軸精度も大幅に向上させ、サーボ電流を極小化。ディスク読み取りエラーの大幅な減少と優れた音質を実現するという。

「Grandioso P1X」

その最新機構である「VRDS-ATLAS」を搭載。「VRDS史上最も静かで、エレガント」とされる機構で、2003年にSACD対応のトランスポート・メカニズムとして登場した「VRDS-NEO」から16年を経て完成。「根幹から設計を見直し、類まれなる機構の完成度と高音質を誇る完全新規設計プラットフォームがついに完成した」という。

剛性と力強い音色を両立するSS400スチール製フレームを採用。ブリッジは大型化し、従来比127%(メカ単体6.6kg、ベース部含め13.5kg)の重量級コンストラクションを実現。音質に悪影響を及ぼすあらゆる振動を極限まで減衰させるとする。

ターンテーブルは音質に定評のあるジュラルミン素材を採用。スムーズな回転を実現するため、スピンドル軸受けには、新設計のスチールボールによる点接触のスラスト軸受けを採用。摩擦や回転ノイズを抑えている。

メカニズムを、幅が広く、背を低くする「ワイド&ロープロファイル設計」とすることで、コンストラクション全体を低重心化。同時にターンテーブルの駆動方式も見直し、モーターを従来のブリッジ最上部からターンテーブル下側に移動。振動が地面にアースされるまでの経路を大幅に短縮化。機械的ノイズを低減した。

トレーの開閉機構も、フラッグシップモデルに相応しい質感を追及。共振が少ない形状にデザインし、スムーズな開閉、驚くほど遊びの少ない精密なロックを実現したという。特殊な振動吸収素材も使っている。

HDMIケーブルを使って広帯域デジタル伝送を行なう、独自のデジタルインターフェース「ES-LINK」のバージョン5を採用。P1X/D1Xの両方で対応しており、最大DSD 22.5MHz、PCM768kHz/48bitの伝送が可能。HDMIの複線構造を生かし、オーディオデータとLRクロック、ビットクロックのそれぞれの信号をフルバランス方式で伝送。通常のデジタル伝送と異なり、送り手側での信号変調と受け手側での復調のプロセスを必要とせず、DAC側のデジタル処理負荷を大幅に軽減している。

電源は別筐体。電源部には、合計で4つの独立したトロイダル電源トランスを搭載。各回路(サーボ回路、ドライブメカ駆動回路、デジタル出力回路、クロック回路)へクリーンでパワフルな電源を供給できる。

電源レギュレーターは、集積回路を使わないディスクリート構成で設計。安定化のためのフィードバック量を最小限とする「ローフィードバックDCレギュレーター」を採用した。随所にスーパーキャパシター「EDLC」を新たに搭載。合計38本(合計容量1,400,000μF=1.4F)となり、電源の容量を最大化することで、「低域の解像度などに目覚ましい音質向上を遂げた」という。EDLC(Electric Double-Layer Capacitor)は、主に電気自動車産業向けに次世代のパワーデバイスとして開発されたコンデンサーで、大容量が注目されている。

自社オリジナルのクロックデバイス「Grandioso Custom VCXO II」を搭載。従来のデバイスから内部回路パターンや使用部品を変更し、更に音質を吟味して開発。従来通り、マスタークロックジェネレーター「Grandioso G1」と接続することで、さらなる高音質再生を追及できるという。

各コンポーネントを固定するボトムシャーシは、複数枚の鋼板を使ったマルチレイヤー構造。電源トランスとその他のコンポーネントをそれぞれ別のレイヤーに固定し、立体配置することで、各コンポーネントの相互干渉を防いでいる。

剛性の高い重量級肉厚アルミパネル・エンクロージャー、ESOTERIC独自のピンポイントフットにより、微小振動も極小化。新たにトップパネルをネジで締め付けないセミフローティング構造にすることで、伸びやかで開放感のあるサウンドを引き出すとする。

モノラルDAC「Grandioso D1X」

完全自社設計のディスクリートDAC「Master Sound Discrete DAC」を搭載しているのが特徴。64bitの高解像力を備え、デジタル領域での演算誤差を低減。DSD 22.5MHzやPCM 768kHzの再生などに対応。全ての処理を自社製FPGAアルゴリズムで行ない、汎用DAC ICを使わないディスクリート回路設計により、「細部に至るまでESOTERICの思想が貫徹されている。ESOTERICのトップ・エンジニア・チームが、プライドを賭して、回路パターンと構成する部品の全てを徹底的に吟味して完成させた、まさに渾身のサウンド」だという。

「Grandioso D1X」

半円形に配置された8つの回路エレメントが1つのDAC回路を構成。このDACをチャンネルあたり4回路で構成。合計で32個の回路エレメントとなり、抵抗、ロジックIC、パワーサプライなど、全ての構成コンポーネントを合計32回路分独立させる贅沢な構成となっている。

抵抗は、測定器などで使用される超高精度部品を選別して使用。32エレメントが全て独立した電源回路により、「音楽のエネルギーを余さずピュアに出力できる」とする。

好みに応じて、PCM信号を2/4/8/16倍(最大768kHz)にアップコンバートする事も可能。PCMからDSDへの変換機能も備え、DSDデジタルフィルターのON/OFFも可能。MQAコーデックもサポートし、ESOTERICトランスポートと組み合わせてMQA-CDも再生できる。ただし、2月時点では対応しておらず、MQA認証後、本体のソフトウェアアップデートで対応予定。

P1Xと同様に、デジタルインターフェースにはES-LINKバージョン5を採用した。独自の電流伝送強化型出力バッファー回路「ESOTERIC-HCLD」には、従来の倍となる物量を投入。スルーレート2,000V/μsを実現する素子を採用。RCA出力の場合は、4回路のパラレル構成、XLRバランス出力の場合はホット/コールドごとに2回路ずつ使用する。さらに、独自の伝送方式「ES- LINK Analog」を新たに採用。ハイスピードで強力な電流供給能力を誇り、信号をピュアに力強く伝送できるとする。

USB DACとしても使用でき、DSD 22.5MHz、PCM 768kHz/32bitまでをサポートする、アシンクロナス伝送対応のUSBオーディオインターフェースを備えている。

デジタル回路とアナログ回路を分離させるため、電源部も別筐体になっており、チャンネル当たり2つの強力な大型トロイダル電源トランスを採用。P1Xと同様に、ローフィードバックDCレギュレーターも採用。スーパーキャパシターの「EDLC」も合計50本使っている。

クロックには、従来のデバイスから内部回路パターンや使用部品を変更し、更に音質を吟味して開発した「Grandioso CustomVCXOII」を搭載。Grandioso G1と接続することで、さらなる高音質再生も追及できる。

筐体には、P1Xと同様にマルチレイヤー構造のシャーシを採用。セミフローティング構造のトップパネルも採用している。