ニュース
Technics、DJターンテーブル11年振りの新機種。「SL-1200MK7」約9万円
2019年3月14日 13:15
パナソニックは、テクニクス(Technics)ブランドのDJ向けダイレクトドライブ式ターンテーブル新モデル「SL-1200MK7」を5月24日に発売する。価格は9万円。カラーはブラック。月産台数は300台。
1972年の発売以来、ダイレクトドライブ方式の高音質と信頼性で、クラブやスタジオ、放送局などで高く評価されてきたSL-1200シリーズの新機種。1979年発売のSL-1200MK2以降は、ピッチコントローラーを上下にスライドさせるフェーダー型に変更するなど、楽器を演奏するような操作性を実現。ディスコやクラブの定番機となった。2008年に発売したSL-1200MK6(2010年生産終了)までのシリーズ累計販売台数は350万台を超え、世界中で使用されている。
新モデルのSL-1200MK7は、2016年からの“新生テクニクス”の技術を用いて音質を向上。ボタンレイアウトやプラッターの慣性質量などDJパフォーマンスに影響する仕様は従来シリーズを踏襲し、過去のモデルを使い慣れた人も従来と同様の操作感で使用できるという。さらに、トルクやブレーキスピードの調整、逆回転再生などの新機能も搭載した。1月の「CES 2019」で発表され、グローバルで2019年夏発売予定としていた。
2016年に発売した「SL-1200G」など、新生テクニクスのHi-Fiオーディオ開発での技術を応用。モーターは、ダイレクトドライブターンテーブルの課題とされるコギング(回転ムラ)の発生を解決するため、コイルからコア(鉄心)を排除したコアレスステーターを採用したコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを搭載。ローター磁石の磁力を極限まで向上させ、SL-1200MK6を超えるトルク性能を実現した。起動トルクは1.8kg･cm(0.18N・m)。
プラッターには、モーターを構成するローターヨークとローター磁石を固定、モーターとプラッターが強固に結合した構造を採用して安定した回転を可能にした。さらに、電気回路もモーターとプラッターの性能を最大限発揮できるようにチューニング。これらの改善によってSL-1200MK6を超える回転精度となり、立ち上がり時間は同等の0.7秒(33 1/3回転時)を実現した。ワウ・フラッターは0.025%。
モーターの回転制御には、Blu-ray Disc機器で培った最新の制御技術を応用。マイコンによる高度なモーター制御技術により、回転を安定させている。トルクやブレーキスピードは、いずれも4段階で好みのレベルに調整できるほか、レコードの逆回転再生機能も備え、DJパフォーマンスの幅を広げられるという。
ケーブルのメンテナンス性を高めるため、着脱可能なAC入力とPHONO端子を採用。PHONO端子部には音質劣化の少ない金メッキ加工を施し、純度の高い信号伝送を可能にした。
本体サイズやボタン位置、プラッターを回転させるために必要な力の感覚などはパフォーマンスに影響を及ぼすため、SL-1200MKシリーズではこれまでも形状や特性を変えることなく改良を重ねてきた。新モデルのMK7でも、デジタル技術を駆使して性能向上を図りながら外形寸法やボタンレイアウト、プラッターの慣性質量などは踏襲。従来同様の操作感を実現しており、過去のモデルを使い慣れていても違和感なく使用できるとしている。
外部からの振動を軽減するシャーシは、ABSにガラス繊維を配した特殊素材とアルミダイキャストシャーシを強固に一体化した2層構造を採用。剛性を高めた特殊素材と金属シャーシを組み合わせ、高剛性と制振性を高いレベルで両立。筐体を支えるインシュレーターは、スプリングとラバーによる構成で、最適な周波数特性を確保。高音質と高いハウリング耐性を実現し、大音量環境下においても効率的に外部振動を遮断できるという。
トーンアームはテクニクス伝統のスタティックバランス型のS字形ユニバーサルトーンアームを継承。トーンアームパイプの素材には軽量で高い剛性のアルミニウムを採用。ジンバルサスペンション構造のトーンアーム軸受け部には切削加工のハウジングを使った高精度ベアリングを採用した。これらによってSL-1200MK6よりも高い初動感度を実現、レコード盤の高精度な読み取りが行なえ、スクラッチなどのハードなプレイにも針飛びしにくい高い追従性を実現した。
回転数の切り換えは33 1/3回転、45回転に加えて、78回転にも対応。±8%/±16%の範囲で回転速度を調整できるピッチコントロール機能を備え、ピッチスライダーの位置検出とマイコンをデジタル制御とすることで追従性や精度が向上。正確で安定したピッチ調整を可能とした。
直感的な操作が可能なプッシュ方式の新構造のスタイラスイルミネーターに高輝度、長寿命の白色LEDを採用。照射範囲、輝度を見直し、暗い環境でも確実に針先を照らすようにしている。
従来シリーズのボタンレイアウトを継承しつつ、ボタンやトーンアームのパーツの色にブラックを採用。マットな質感のブラックボディと合わせ、オールブラックのデザインとなった。赤色/青色の2色から切り換え可能なLEDライトとともに、DJプレイを演出する。
適用カートリッジ質量は5.6～12gで、ヘッドシェル含めて14.3～20.7g。外形寸法は453×353×169mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約9.6kg。スリップマット、スリップシート、ダストカバー、EPレコード用アダプター、バランスウェイト、シェル、PHONOケーブル、PHONOアース線、電源ケーブルが付属する。