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ソニー、AIでカメラ自動追尾・切り出し・ズームする映像制作支援ユニット

ソニーは、独自のAIを活用した映像解析技術によって、リアルタイムにクリエイティブな映像コンテンツ制作を実現する、映像制作支援ユニット・Edge Analytics Appliance「REA-C1000」を6月10日より発売する。価格はオープンプライスで、想定価格は40万円前後。別途、ユニットにインストールするアプリのライセンスが必要となる。

Edge Analytics Appliance「REA-C1000」

動体や顔の検知、色や形状の認識など、複数の技術を機械学習させたAIエンジンを搭載した、小さなボックス型の映像制作支援マシン。既報の通り'19年4月に米ラスベガスで開催されたNAB2019などにも展示され、注目を集めていた。

ユニットとHDMI接続したカメラの映像を自動的に解析し、GPU上で処理を行なうことで、映像内の特定の被写体の抜き出しや、それを他の映像と組み合わせてリアルタイムに表示することが可能。専門知識や特別な機材を必要としないため、教育の現場や企業、放送局などで、クリエイティブで魅力的な映像コンテンツが効率的に制作できるという。カメラに加え、設定用のPCやモニターの接続が必要。

内部のAIエンジンには、同社が長年にわたるカメラ開発で培かった画質パラメーターやPTZ(パン・チルト・ズーム)駆動に関するノウハウが生かされており、旋回型リモートカメラシステムやXDCAMカムコーダーと組み合わせることで、より高度な機器連携を実現する。HDに加えて4K(最大4K/30p)の入出力に対応しており、将来の4K制作への移行にも対応。また'19年秋のアップデートにより、IPを活用したストリーミング運用も可能となる。

HDMIは入力・出力共に2系統を用意。1000BASE-T対応のLAN端子も備える。設定用PCの対応OSは、Windows 10 Pro(64/32bit版)。外形寸法は約141×91×97mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約860g。

ユニットに加え、各種アプリケーションのライセンス(別売)をインストールすることで、板書抽出や自動追尾、クロマキーレスCGオーバーレイなどの機能が使用できる。複数ライセンスのインストールは可能だが、各機能を組み合わせての使用はできない。ライセンスは順次追加を予定している。

板書抽出オーバーレイ「REA-L0100」

独自の動体・非動体検知技術を用いて、ホワイトボードや黒板に書かれた文字や図形をリアルタイムに判別・抽出し、登壇者の前面に浮き上がらせることができるアプリケーション。人物透過率はリアルタイムに調整することができ、板書のみの映像を生成することも可能。本ライセンスは、ユニットと同じ6月10日発売。価格はオープンプライスで、想定価格80万円前後。

リモートカメラ自動追尾「REA-L0200」

ユニットに接続されたソニー製リモートカメラが登壇者を自動的に追尾・撮影。被写体の動きに合わせ、リモートカメラを自動で旋回させるため、カメラを操作するオペレーターがいなくても、最適な構図で撮影し続けることが可能。左右に動く人物を追尾する他に、板書やスクリーンを画角内に収めることを優先する撮影モードも選択できるという。6月10日発売で、価格は20万円前後。

起立者ズームアップ「REA-L0300」

ジェスチャー認識技術により、ユニットに接続されたカメラが、発言のために起立した人物の動きを検知。電子的に自動ズームして撮影を行なう。人物のクローズアップ映像と周辺の俯瞰映像を1台で同時に出力することが可能。6月10日発売で、価格は80万円前後。

クロマキーレスCGオーバーレイ「REA-L0400」

独自の動体検知技術により、プレゼンターのみを自動的に抽出。HDMI端子より入力した任意の背景画像・動画にリアルタイムに重ね合わせることが可能。専用のスクリーンやスタジオ、専任のスタッフがいなくても、簡単かつリアルタイムに、シーンに適した動画やコンテンツに登壇者をCG合成できる。'19年秋頃の発売予定し、価格は112万円前後。

注目エリアクロッピング「REA-L0500」

1台のカメラで、全体俯瞰とフォーカスしたい領域の2つの異なる映像を同時に出力するアプリ。4Kで広角の映像を表示しながら、登壇者の表情にフォーカスしたHD映像を同時に映し出せる。フォーカス領域は固定のほか、人物の動きに合わせてリアルタイムに自動追従も可能。19年秋頃の発売を予定し、価格は50万円前後。