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ソニー新モニターヘッドフォンの骨太な音。オンキヨーはガルパン、オーテクはアナログ

オーディオ・ホームシアター製品を体験できるイベント「OTOTEN 2019」が6月28日に東京国際フォーラムで開幕した。注目の新モニターヘッドフォン「MDR-M1ST」を披露したソニーや、オンキヨー、オーディオテクニカ、JVCケンウッドなどのブースをレポートする。開催期間は6月29日まで。

OTOTEN 2019が開幕

ソニー新モニターヘッドフォン「MDR-M1ST」は骨太サウンドに音場感。バランス接続も!

スタジオモニターヘッドフォンの新たなモデル「MDR-M1ST」をOTOTENで初披露。先行試聴と、開発担当者によるトークショーも実施。8月23日の発売前に試せるとあって、多くの来場者から注目されていた。

ソニーの新モニターヘッドフォン「MDR-M1ST」

「MDR-M1ST」(31,500円)は、独自開発の40mm径ドライバーユニットを採用。可聴帯域を超えるハイレゾの音域をダイレクトかつ正確に再現可能としている。約4年半をかけて音質を磨き上げ、中域の骨太感と、全体の音が俯瞰できる音像を両立させたという。プロユースに耐える機能性と耐久性も特徴。定番モニターヘッドフォン「MDR-CD900ST」などと同じく、熟練の作業者を擁する大分県のソニー・太陽で手作業により造られる。

ユニット部
ヒンジ部は回転して折り畳める

ケーブルは着脱可能で、付属ケーブルは入力側が標準プラグ、ヘッドフォン側が3.5mmプラグだが4極備えているため、バランス接続が可能なのか尋ねたところ、公式でバランス対応とは謳っていないが、同社の説明を聞く限りでは、3.5mm 4極バランスケーブルを用意すればバランス接続できるようだ。

付属ケーブルのプラグは4極

聴いてみると、定番のCD900STなどのイメージとは変わり、低域まで強力に鳴らせるのが最初に分かる。色付けされた音ではなく、あくまで全体の解像感は明確に描写しつつ、ハイレゾの広い帯域もカバー。ボーカルなど中域部分に芯の太さを感じる。また、音の定位に関しても、広い音場の音源をしっかり広いままで鳴らせるという印象を受けた。従来の“モニター”ならではの、音を分析的に聴くような使い方だけでなく、オーディオファンの新たなリファレンスとしても注目の1台となりそうだ。

PCMレコーダー接続のモニター風の試聴と、オーディオリスニング向けの試聴ができる

そのほかの展示として注目は、“テイラーメイド”イヤフォンJust Earが、アーティストのLiSAとコラボした「XJE-MH/L1SA」。LiSAの好きな音質に合わせて最適にチューニングしたモデルで、4月から受注を開始しており、早い人ではそろそろ製品が手元に届くころだという。受注期間は8月31日まで。会場でLiSA楽曲の試聴もできる。

Just EarのLiSAコラボイヤフォン
LiSAのメッセージ動画も

「ガルパン推し」のオンキヨー&パイオニア

オンキヨー&パイオニアブースは、製品中心ではなく“作品中心”の楽しみ方を紹介。注目コンテンツであるアニメ「ガールズ&パンツァー」のBDなどを様々な方法で視聴する展示となっている。また、ハイレゾプレーヤーやヘッドフォンなど、ガルパンコラボ製品も展示。

オンキヨーブース

また、椅子にスピーカーを内蔵して、パーソナル空間でサラウンドが楽しめる製品でもガルパンのコンテンツが楽しめる。この製品は秋葉原のONKYO BASEでも展示・販売中。

椅子型スピーカーはPowered by ONKYO

会場では、ガルパンの限定デザインe-onkyo musicカードのコンプリートセットや、オリジナルTシャツ、アウトレット製品の販売も行なっている。

限定e-onkyo musicカードのコンプリートセットなどを販売

JVCケンウッドは完全ワイヤレスや“頭外定位”ヘッドフォン新技術

4Fのブースでは、完全ワイヤレスイヤフォンやヘッドフォンなどを中心とした試聴体験コーナーを用意。小型の「N_W」、ランナー向け「AE」、重低音&タフ「XX」の各シリーズを用意している。木の振動板を採用したウッドシリーズなども展示。

JVCの完全ワイヤレスイヤフォンなど

また、ヘッドフォンでも“スピーカーのような広い音場”で聴ける頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」が最新版にアップデート。

個人の音響特性の測定を進化させ、これまでより簡単かつ短時間で測定可能になったほか、信号処理も従来のステレオからマルチチャンネル処理へ拡張。シンプルな測定でリアルなマルチチャンネル音場をヘッドフォンで再現できるという。体験は予約制で、ブース受付にて整理券を配布。

EXOFIELDの体験ブース
聴診器のような形をした器具を装着して測定

ストリーミング配信音楽を高音質で楽しむことを想定した、KENWOODブランドのデスクトップオーディオ「KA-NA9」も体験可能。ウッドコーンオーディオシステムのプレミアムモデル「EX-HR10000」試聴なども可能。開発者による説明も時間制で行なわれている。

デスクトップオーディオ「KA-NA9」

オーディオテクニカはアナログ製品に注目

アナログレコード用カートリッジ新製品などでデモを実施。ダイレクトパワーステレオMCカートリッジ「AT-ART1000」、MCトランス「AT-SUT1000」に加え、VMカートリッジや6月21日発売の新MCカートリッジ「AT-OC9Xシリーズ」の試聴が可能。

オーディオテクニカブース

MCトランス「AT-SUT1000」や、VMカートリッジ、6月21日発売の新MCカートリッジ「AT-OC9Xシリーズ」の試聴イベントを実施する。会場にはテクニクスのターンテーブルや、アキュフェーズのアンプなどを用意。オーディオ評論家を招いてのセミナーや試聴イベントも開催する。

カートリッジ新製品などがいち早く試聴できる
交換針の一覧

ELACのネットワーク対応プリメイン、finalのプロチューニングヘッドフォンなど

完実電気は、ELACや、DELA、PS Audio、Regaなどの製品を展示。アナログレコードからハイレゾ、大型スピーカーからレコードクリーナーなどのアクセサリーまで用意している。

ELACの新製品として、小型筐体でネットワークオーディオ対応のプリメインアンプ「DS-A101-G」を展示。Roon対応のネットワーク再生機能やDACを搭載した製品で、NASやパソコン、インターネットラジオ、ストリーミング音楽サービスなどを聴ける。操作はスマホやタブレットで行なえる。同社によれば、DLNAコントロールアプリなどでも利用可能だという。

ELACのネットワーク対応プリメイン「DS-A101-G」(中央)と、スピーカー「BS312 Jubilee」(両脇)
DS-A101-Gの背面

同じくELACからは、JETツイーター搭載スピーカー「CL310 JET」登場から25年を記念した限定モデル「BS312 Jubilee」が披露された。

Regaのターンテーブルなど

S'NEXTは、finalブランドのイヤフォンBシリーズを展示。よく聴く楽曲などの好みで選べる点などが特徴。6月28日に発売したこの新機種を試せる。

イヤフォンBシリーズ

また、ヘッドフォンの参考展示として「D8000」のチューニングモデル「D8000 Pro Edition」を用意。これは、コンシューマ用であるD8000を、プロのモニターヘッドフォンとしても利用できることを想定して開発中のモデル。プロ機のように大出力にも耐えるようにしているが、コンシューマー機器で利用しても音質の違いが分かるため、プロ以外の利用も視野に入れているという。

「D8000 Pro Edition」(左)。右はD8000のシルバー