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ソニー、「もうひとつのモンスター」6,100万画素ミラーレス「α7R IV」。約40万円
2019年7月17日 13:14
ソニーは、世界初の有効約6,100万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレスデジタル一眼カメラ「α7R IV」(ILCE-7RM4)を9月6日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は40万円前後。
有効約6,100万画素、裏面照射型CMOSセンサーを搭載。光学ローパスフィルターレス仕様で、「被写体の質感や光のニュアンス、豊かな色彩を臨場感高く描写」するという。
従来機「α7R III」から約1.5倍の高画素化となるが、イメージセンサーの裏面照射構造と効率的なノイズ処理を組み合わせ、低中感度域ではα7R IIIと同等の高い感度・低ノイズ性能を維持したとする。常用ISO感度は100~32000、拡張50~102400。低感度時約15ストップ(静止画撮影時)の広ダイナミックレンジも実現している。組み合わせる画像処理エンジンは、最新のBIONZ X。
14bitの圧縮/非圧縮RAWフォーマットに対応。イメージセンサー内でAD変換された14bit信号を、フロントエンドLSIとBIONZ Xのシステム内で一度16bit処理してから、RAW画像に14bit出力する事で、豊かな階調表現を実現。サイレント撮影時や連続撮影時も14bit RAW出力が可能。
手ブレ補正アルゴリズムを強化。5.5段の補正効果を実現する、光学式5軸ボディ内手ブレ補正機能を搭載。高解像度性能を最大化するために、シャッター振動が少なく、耐久性も高くなるよう、シャッターチャージユニット構造も見直している。無音無振動のサイレント撮影にも対応。
ピクセルシフトマルチ撮影機能が進化。ボディ内手ブレ補正機構を高精度に制御し、複数画像を撮影・PC上で合成する事で、高い解像感を持つ画像を生成する機能だが、従来の4枚に加え、α7R IVでは計16枚の画像が持つ約9億6,320万画素分の情報から、約2億4,080万画素の画像生成ができる。
16枚の連写の途中で、0.5画素分のセンサー移動を行ない、4枚合成時の4倍の高画素化を実現している。なお、撮影した画像は、ソフトの「Imaging Edge」と「Viewer」、「Edit」で合成・現像できる。
AF/AE追従連写は、最高約10コマ/秒、ライブビュー撮影時は8コマ/秒。サイレント撮影時は7コマ/秒。APS-Cクロップ撮影時でも、2,620万画素を確保できる。
567点の位相差検出AFセンサーと、425点のコントラストAFを搭載。人間や動物に対応した瞳AF機能も備え、被写体を自動追尾するリアルタイムトラッキングも利用可能。バッファメモリーは1.5倍に大容量化し、JPEG時・圧縮RAW時に約68枚の連写持続が可能。
ファインダーは有機ELのTru-Finderで、約576万画素に約1.6倍の高精細化を実現。背面モニターは3型144万画素で、チルト可動式。
無線LANが5GHzにも対応。ワイヤレスPCリモート接続をサポートし、USB接続時のデータ転送速度を高速化、カスタム機能の拡充など、細かな機能強化も行なわれている。
重量レンズ装着時や長時間の使用でも、撮影者の負担になりにくいというグリップ形状を追求。サイズとしては、α7R IIIと同等で、フィールドでの使用に向けさらに防塵防滴に配慮した設計になっているという。大容量データを高速記録するため、メモリーカードスロットはUHS-II対応×2基を備えている。外形寸法は128.9×77.5×96.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は本体のみで約580g。
4K HDR撮影にも対応
画素加算のない全画素読み出しにより、4K映像撮影に必要な画素数の約2.4倍の情報量を凝縮して4K映像を出力。モアレやジャギーが少なく、ディテール再現や解像感に優れた4K動画が撮影できるとする。
動画は最大で、XAVC S 4Kの3,840×2,160/30p/約100Mbpsで撮影が可能。4K/60p撮影には対応しない。ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ デジタルイメージング本部 第1ビジネスユニットの大島正昭担当部長は、「総合的に考え、このカメラには4K/30pが最適な仕様と考えている」と説明した。
S-Log2、およびシャドウからミッドトーン(18%グレー)にかけての階調特性を重視したS-Log3に対応。設定時は14ストップの広ダイナミックレンジ撮影ができる。HDRはHLGに対応する。
ソニーのデジタルカメラとして初めて、動画撮影中も人物の瞳AFが可能。ファストハイブリッドAFの像面位相差システムをより効果的に使う事で、動画撮影時のAFの速度と精度も向上。タッチトラッキングによるリアルタイムトラッキングも、動画撮影で利用できる。
フルHD、120コマ/秒のハイスピード撮影に対応。外部録画再生機をHDMI接続している際、XAVC S 4K記録で、記録モードが24p時の場合、カメラ本体のモニターに映像を同時出力する事も可能になった。この設定では、顔認識とリアルタイムAFも使用できる。
動画撮影にマッチしたアクセサリも強化。「ECM-B1M」は、カメラ用ショットガンマイクで、アクセサリーシューに取り付けられる。8個のマイクユニットとDSPを内蔵しており、指向性の異なるマイクを付け替えずに、1台のマイクで幅広い収音範囲に対応できる。鋭指向性、単一指向性、全指向性は、ユーザーが切り替えられる。新開発のビームフォーミング信号処理と組み合わせる事で、鋭指向性がありながら、コンパクトサイズを実現したとする。
また、収音したサウンドをアナログではなく、デジタル信号でカメラに伝送するのも特徴。ノイズを徹底的に抑制した高音質な伝送が可能という。9月6日発売で、価格は35,000円。
「XLR-K3M」は、XLR接続のマイクも利用できるアダプター。低域の振動ノイズを効果的に抑制する防振構造や、風のノイズを抑制するウインドスクリーンも付属。入力端子は、XLR/TRSコンボ×2、ステレオミニマイク×1。
「もうひとつのモンスターとなる商品」
大島担当部長は、デジタルイメージング業界において、フルサイズのミラーレスが急激な成長を遂げ、現在が“一眼レフからミラーレスへ”の急激な歴史転換の真っ只中にあると説明。また、フルサイズデジタルカメラにおいて、ミラーレスが占める割合も急速に拡大しているという。
その中でソニーは、2010年から2019年上半期にかけて、全世界で金額・台数共にナンバーワンを獲得。フルサイズについても、2018年に通年ベースで初めて全世界ナンバーワンを獲得、今年も年始以来ナンバーワンを維持しているという。
そんなソニーのフルサイズ事業は「イノベーションに支えられている」とし、大島氏は、AI技術を活用した高いAF性能で被写体を追従するリアルタイムトラッキング、瞳AFなどを実現している事を紹介。こうしたAI技術や、カメラとしての基本性能のイノベーションを通じて、「プロを含む顧客基盤を大きく拡大できた」と振り返る。
さらに、「我々にとってイノベーションの象徴は“α9”。比類なきスピード、革新的AF性能を持ったフラッグシップであり、報道写真、スポーツ写真の撮影体験を劇的に変えた商品。そして本日、私達にとって“もうひとつのモンスター”となる商品をご紹介する」と語り、「α7R IV」を披露。中判カメラに迫る高画質とスピード性能を両立させ、小型軽量ボディに凝縮させた」と、特徴を紹介した。
今回はα7Sシリーズの新モデルだが、α7Sシリーズの新モデル計画について質問されると、大島氏は「(α7Sシリーズの新モデルを求める)お客様の声も十分お受けしている。具体的な内容はお伝えできないが、きちんと開発はしている。“お客様の期待を超えることができる”となったら、自信を持って発表させていただきたい」と返答した。