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TCL、国内テレビ市場に本格進出。量子ドット4K/ピーク輝度1,500nitsで約20万円

TCLジャパンエレクトロニクスは29日、テレビ事業を日本国内でも本格展開すると発表。第1段として量子ドットLED(QLED)技術を搭載した、Android TV搭載65型4K液晶テレビ「65X10」を10月中旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は20万円前後。

量子ドット技術を採用した液晶テレビ「65X10」

このほか、ソフトウェアによるエリア制御「マイクロディミング技術」を搭載したスタンダード4K液晶テレビ「C8シリーズ」と、ベーシック4K液晶テレビ「P8シリーズ」を9月20日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5~12万円前後。全シリーズでAndroid TV 9.0を採用、4K放送チューナーは搭載しない。


    【X10シリーズ】10月中旬発売
  • 65型4K液晶テレビ 65X10 店頭予想価格20万円前後

    【C8シリーズ】9月20日発売
  • 65型4K液晶テレビ 65C8 店頭予想価格12万円前後
  • 55型4K液晶テレビ 55C8 店頭予想価格9万円前後

    【P8シリーズ】9月20日発売
  • 65型4K液晶テレビ 65P8S 店頭予想価格10万円前後
  • 55型4K液晶テレビ 55P8S 店頭予想価格7万円前後
  • 50型4K液晶テレビ 50P8S 店頭予想価格6万円前後
  • 43型4K液晶テレビ 43P8B 店頭予想価格5万円前後
写真左が55C8、右が55P8S

量子ドットLED技術を採用したハイエンド「65X10」

4K/3,840×2,160ドットの液晶パネル(VA/倍速対応)を採用した4K対応テレビ。コントラスト比は4,000:1で、応答時間は6.0ms。

65X10

量子ドットLED「QLED」テクノロジーの採用が大きな特徴。量子ドットは光を別の波長(色)の光に変換する微細な半導体結晶で、それをシート状にしたものをパネルに組み込むことで、効率よく鮮明な色を生成できるとされる。X10では、同社の標準モデルに比べ、色域を約115%まで拡大することができ、豊富な色彩が描写可能という。

ディスプレイ直下に15,000個のミニLEDライトを配置し、最高ピーク輝度1,500nitsを実現。画面を768ゾーンに分割し、エリア毎にLEDを細かくコントロールするローカルディミングにより、風景の奥行き感や素材の質感を再現する。HDR規格は、HDR10、HLG、DolbyVisionに対応する。

スタンドと一体化したDolby Atmos対応サウンドバーを搭載。「部屋の隅々まで音が響き渡り、周囲や頭上を流れながら移動する、音に包まれるような視聴体験を実現する」としている。出力は25W×2ch。

サウンドバー外装には、ファブリック素材を採用

地上・BS・CS110度デジタルのチューナーを2基備え、外付けUSB HDD(別売)を用意すれば、裏番組録が可能。自動チャプター機能も備える。

Android TV 9.0を搭載し、インターネットや各種動画配信サービスが視聴可能。YouTubeやNetflix、Hulu、AbemaTVなどのネット動画サービスに対応しており、付属リモコンにはNetflixとHuluのダイレクトボタンを用意する。スマートフォンの画面を表示するクロームキャストや、USBメモリーやネットワーク経由で動画・写真・音楽を再生するメディアプレーヤー機能も備える。

Googleアシスタントに対応。リモコンのアシストボタンを押してから話しかけると、テレビの操作が可能。音声検索を使って、見たい映画や動画の検索も行なえる。

HDMIは3系統で、すべてHDCP 2.2と18Gbpsに対応する。HDMI 1はARC対応。光デジタル音声出力や、コンポジット映像/アナログ音声入力、ヘッドフォン出力、LAN端子、USB端子×2を備える。無線LANはIEEE 802.11b/g/n対応で、Bluetooth 5.0準拠。

消費電力は280Wで、年間消費電力は329kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、1,450×381×920mm(幅×奥行き×高さ)/37kg。

X10のみ、2種類のリモコンを付属する

Dolby Audioサウンドバー搭載のスタンダードモデル「C8」

4K/3,840×2,160ドットの液晶パネル(VA/倍速非対応)を採用した4K対応テレビ。コントラスト比は65型が5,000:1で、55型が4,000:1。応答時間はどちらも8.0ms。

55C8

LEDバックライトはエッジ型だが、画面内を1,296のゾーンに分割し、ソフトウェアでエリア制御を行なうマイクロディミング技術を採用。また広色域WCGパネルにより、鮮やかな色彩描写を可能とした。HDR規格は、HDR10、HLGに対応する

画面下部にDolby Audioサウンドバーを搭載。映画やテレビ、音楽、ゲームなど、クリアで力強いサウンドに仕上げたという。音声出力は65型が15W×2ch、55型が12W×2ch。

画面下部のDolby Audioサウンドバー

チューナー部やAndroid TVによるネットワーク機能は、上位機X10と変わらない。

HDMIは3系統で、すべてHDCP 2.2と18Gbpsに対応する。HDMI 1はARC対応。光デジタル音声出力や、コンポジット映像/アナログ音声入力、ヘッドフォン出力、LAN端子、USB端子×2を備える。無線LANはIEEE 802.11b/g/n対応で、Bluetooth 5.0準拠。

消費電力は、65型が170Wで、55型が130W。年間消費電力は、65型が210kWh/年で、55型が165kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、65型が1,467×328×938mm(幅×奥行き×高さ)/26.1kg、55型が1,245×318×796mm(同)/19.2kg。

65C8

Android TV搭載のベーシックモデル「P8」

4K/3,840×2,160ドットの液晶パネル(VA/倍速非対応)を採用した4K対応テレビ。コントラスト比は65/50/43型が5,000:1で、55型が4,000:1。応答時間は65/55型が8.0ms、50型が9.5ms、43型が6.5ms。全機種LEDバックライトは直下型。マイクロディミングや広色域WCGパネル、対応するHDRは上位C8と共通。

43P8B

画面背面にユニットを備えたアンダースピーカータイプで、音声出力はすべて8W×2ch。チューナー部やAndroid TVによるネットワーク機能は、上位機X10/C8シリーズと共通。

HDMI入力は43型が2系統で、ほかは3系統。すべてHDCP 2.2と18Gbpsに対応する。光デジタル音声出力や、コンポジット映像/アナログ音声入力、ヘッドフォン出力、LAN端子、USB端子などを備える。無線LANはIEEE 802.11b/g/n対応で、Bluetooth 5.0準拠。

消費電力は、65型が180W、55型が140W、50型が125W、43型が100W。年間消費電力は、65型が209kWh/年、55型が160kWh/年、50型が142kWh/年、43型が101kWh/年。

スタンドを含む外形寸法/重量は、65型が1,445×275×893mm(幅×奥行き×高さ)/20kg、55型が1,229×279×776mm(同)/14.4kg、50型が1,113×266×701mm(同)/12.2kg、43型が959×229×616mm(同)/8.1kg。

65/55/50型のスタンド

'20年には8K・4Kチューナー搭載のQLEDテレビ発売を予定

都内で開かれた発表会では、TCLのグローバル、および日本市場における事業戦略とともに、日本向けに投入する4Kテレビについて説明が行なわれた。

TCL海外事業部で最高マーケティング責任者を務めるアイリーン・ソン氏は「魅力的なテレビと共に、日本での本格展開を発表できることを嬉しく思う。TCLは音声テープを生産する小さな合弁企業として1981年に創業。1999年の世界展開を足がかりに、現在では世界第2位のテレビ出荷数を達成、テレビ以外にもスマートフォンや各種白物家電、ネットアプリサービスなどを手掛けるイノベーティブな企業へと成長した。TCLテレビの強みは、垂直統合型チェーンの構築。パネル製造から最終製品までを一貫して内部で手掛けることができ、ユーザーのニーズをキャッチアップし、製品に反映できる。日本では若年層をターゲットに、ブランディングとマーケティングを実施し、白物家電などのジャンルも徐々に展開していく予定」と語った。

TCL 海外事業部 最高マーケティング責任者のアイリーン・ソン氏

TCLジャパンエレクトロニクス代表取締役の李炬氏は、日本市場への本格進出の背景を説明。「日本は非常にプレミアムかつ困難な市場だが、技術に磨きをかけ、またより世界で認められるテレビメーカーとなるには避けては通れない。日本のテレビと比べた場合、かなりの差があるとも認識している。今回は“平均以上の性能・機能”、“求めやすい価格”という点で製品を用意した。'20年には8K・4Kチューナー搭載のQLEDテレビの発売を予定しており、20年には市場シェア2%、3年~5年をかけてシェア5%の達成を目指す。石の上にも三年という言葉があるように、着実に、きびしい目を持つ日本のユーザーから求められる企業へと成長したい」と抱負を話した。

TCLジャパンエレクトロニクス 代表取締役 李炬(リ キョ)氏
(写真左から)TCL工業デザインセンター イノベーションラボ責任者 ティアゴ・アブレイユ氏、李炬氏、アイリーン・ソン氏、TCL 海外事業部 研究開発センター 海外製品副部長 陳強氏