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キヤノン、4K&Log撮影対応リモートカメラ。100台遠隔操作

リモートカメラシステム「CR-N500」(左)と「CR-N300」(右)

キヤノンは、IP(Internet Protocol)によるリモートプロダクションを実現する映像制作用リモートカメラシステムを新たに立ち上げた。その第1弾として4K撮影に対応したパン、チルト、ズーム(PTZ)対応の屋内用リモートカメラシステム「CR-N500」と「CR-N300」をそれぞれ5月下旬、6月中旬に発売する。本体カラーはブラックとホワイトの2色で、価格はオープンプライス。市場想定価格はCR-N500が60万円前後、CR-N300が35万円前後。

屋外向け4Kリモートカメラ「CR-X500」と、これらのカメラを制御できるコントローラー「PC-IP100」もあわせて発表。それぞれ7月下旬、5月下旬に発売する。こちらも価格はオープンプライスで、市場想定価格はCR-X500が約300万円前後、RC-IP100が約25万円前後。

CR-N500

「CR-N500」(ブラック)

光学15倍ズームレンズと1.0型CMOSセンサー、映像処理プラットフォーム「DIGIC DV6」を搭載するなど、同社の業務用ビデオカメラと同じキーデバイスを採用した。35mmフィルム換算で焦点距離約25.5mm~約382.5mm相当の全ズーム域で4K(3,840×2,160ドット)/30p(IPストリーミング、HDMI接続時)、フルHD(1,980×1,080ドット)/60pで撮影できる。

9枚羽根虹彩絞りで、3濃度(1/4、1/16、1/64)を選択可能なターレット式NDフィルターを内蔵。屋外や室内など、さまざまな照明環境の変化に素早く柔軟に対応する。

動画撮影に適したAF動作と高い追従性を発揮する「デュアルピクセル CMOS AF」を搭載し、素早く自然なピント合わせが可能。画面内縦横比約80%の広い測距エリアを備え、ウェブブラウザ上の設定ページからのタッチAFや顔検出AFを利用できる。

デュアルピクセル CMOS AFの位相差AF技術を応用し、ピント位置の前ピン/後ピンを伝える新たなUI「Dual Pixel Focus Guide」も搭載した。

黒つぶれや白飛びが少ない、ワイドダイナミックレンジを実現する「Canon Log 3」や、Wide DR ガンマ(800%)などにも対応する。

カメラ部の前後にタリーランプを備える

カメラ部にはタリーランプ(LEDランプ)を前後に装備。カメラの状態を確認できるほか、複数台のカメラを使用している場合は、どのカメラで撮影中かを周りのスタッフや出演者に知らせることができる。

0.1度/秒刻みの高精度なパン、チルト駆動機構とズームを連動させたスムーズなPTZ動作を実現。低速から高速まで滑らかな速度変化により、遠隔制御時もスムーズな操作性を実現している。

インターフェース部

映像出力は3G-SDI、HDMI、IP。IP接続時は最大4K/30p 4:2:0(8ビット)、HDMI接続時は4K/30p 4:2:2(10ビット)の映像出力が可能。SDI接続時はフルHD/60p 4:2:2(10ビット)。映像コーデックはH.264とH.265、JPEG。

そのほか3ピンジャック端子×2や、3.5mmステレオミニのマイク端子、RS-422端子を装備。

「NDI|HX」接続に標準対応し、スイッチャーやメディアサーバーなどネットワーク上のNDI対応機器と接続可能。IP経由による効率的なライブビデオ制作ができるという。

カメラのPTZ軌跡を記録するトレース機能も備え、ボタン操作ひとつで事前に記録しておいたカメラワークを再現することも可能。これによりワンマンオペレーションの実現に貢献するとのこと。

LANケーブルだけでなく、Wi-Fi経由でも接続可能でスマートフォンやタブレット端末からカメラの設定ページを操作できる。PTZやプリセット位置の呼び出し操作などができる赤外線リモコン「WL-N01」が付属する。

「CR-N500」(ホワイト)

外形寸法は約200×208×269mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約4.1kg。

CR-N300

「CR-N300」(ブラック)

光学20倍ズームレンズと1/2.3 型CMOSセンサー、「DIGIC DV6」を搭載。35mmフィルム換算で焦点距離約29.3mm~約601mm相当の全ズーム域で高画質な4K/30p(IPストリーミング、HDMI接続時)の映像が撮影できる。ハイブリッドAFに対応。

タリーランプはカメラ部の前面に1基備える。

「Canon Log 3」撮影などは非対応だが、ポートレート、スポーツ、ローライト、スポットライトと4種類のシーンモードを搭載しており、被写体に適した撮影モードを選択できる。EFレンズの技術を応用した円形絞りを採用し、自然で美しいボケ形状を表現できるとする。

インターフェース部

0.2度/秒刻みのスムーズなPTZ動作に対応。映像出力は3G-SDI、IP、HDMIに加え、USB出力も装備。UVCに対応しており、パソコンなどと接続すればドライバー不要でWebカメラとして利用することもできる。USB接続時の映像出力はフルHD/12p。

そのほか3.5mmステレオミニのマイク端子、RS-422端子を装備。

上位モデルとなるCR-N500と同様にネットワークを使ったシステムに接続でき、「NDI|HX」接続に標準対応。PTZの軌跡を記録するトレース機能も備えた。

「CR-N300」(ホワイト)

外形寸法は約154×164×178mm(幅×奥行き×高さ)。重さは約2.2kg。

CR-X500

光学15倍ズームレンズと1.0型CMOS、DIGIC DV6を搭載した屋外用のリモートカメラ。焦点距離約25.5mm~約382.5mm相当の全ズーム域で高画質な4K(3,840×2,160ドット)/60pの映像が撮影できる。「Canon Log 3」にも対応。AFはデュアルピクセルCMOS AF。

IP55の防塵・防滴仕様。高い耐候性を備えているため屋外での設置にも対応しながらも、外形寸法337×386×390mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約17kgと小型軽量に抑えられており、持ち運びできるとする。強風時にもブレを抑えた撮影ができる防振機能を搭載。

4Kの映像制作に提起した12G-SDI端子を備え、別売りの対応ケーブル1本で4K/60P映像の出力ができる。シリアル接続したリモートコントローラー「RC-IP100」を使えば、離れた場所からでもカメラを制御可能。

最大100台まで操作可能なコントローラーも順次発売

CR-N500/N300の制御は、ブラウザから行なうこともできるほか、無償提供されるPC用ソフトウェア「リモートカメラコントロールアプリ」、もしくは5月下旬発売のコントローラー「RC-IP100」も使用できる。

「リモートカメラコントロールアプリ」の操作画面イメージ

専用ソフトウェア使用時は、1台のPCで最大9台のカメラの操作と映像表示を同時に行なうマルチカメラ操作が可能。PCだけでカメラを制御できるため、撮影シーンに応じて柔軟に対応できるという。ユーザーインターフェースはワンマンオペレーションに適したオペレーター視点の使いやすさが実現された。

専用コントローラー「RC-IP100」

専用コントローラーのRC-IP100は、IP接続とシリアル接続に対応。IP接続時はCR-N500/N300など「XCプロトコル」対応製品を最大100台まで、シリアル接続時は屋外用のCR-X500を1台制御できる。

コントロールレバーとシーソー型ズームレバーを備えており、各カメラのPTZ操作やフォーカス、アイリスの調整が可能。タッチパネルも備え、直感的な操作で撮影するカメラを切り替えられる。

近年、映像制作の市場では映像コンテンツの増加にともない、IPによるリモートプロダクションのニーズが高まっているという。それを受け、同社が長年培ってきたイメージング技術とネットワーク技術を融合させ、高画質の追求と撮影ワークフローの効率化を両立する映像制作用リモートカメラシステムを新たに立ち上げる。

このリモートカメラシステムは、キヤノンの映像制作機器を制御する新開発のIP「XCプロトコル」に対応(CR-X500は非対応)した製品群で構成され、ネットワーク上で対応製品を連携させることで、幅広いシーンで効率的な撮影を実現するとのこと。

同社はCINEMA EOS SYSTEMカメラ向けにも、XCプロトコル対応ファームウェアを開発中。同プロトコルに対応することで、レンズ交換式デジタルシネマカメラをリモート制御できるようになり、豊富なラインナップのキヤノン製レンズ群を使用して幅広い撮影シーンに対応できるとしている。

従来モデルと同等の小型軽量設計ながら4K撮影に対応した「BU-43U」

そのほか、カメラ一体型のロボットカメラヘッド「BU-43U」も発表。七月下旬に発売する。市場想定価格は約300万円前後。従来機種「BU-42H」と同等の小型軽量設計ながら4K/60p映像の出力に対応したモデルで、街や景勝地の様子を伝える情報カメラや、お天気カメラなど、屋外のさまざまな場所や幅広い用途で使用できるとのこと。