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キヤノン、フルサイズ5.9KセンサーのシネマEOS「C500 Mark II」。176万円

キヤノンは、CINEMA EOS SYSTEMの新モデルとして、5.9KフルサイズCMOSセンサーと新エンジンDIGIC DV 7を搭載した「EOS C500 Mark II」を12月下旬より発売する。価格はオープンプライスで、想定売価は176万円前後。

EOS C500 Mark II(本体)

'12年10月発売のシネマカメラ「EOS C500」の後継機。同社フラッグシップ・EOS C700 FFと同じ大判センサーを搭載しつつ、新エンジンの搭載や内部RAW/XF-AVC記録、電子ISなどの高いスペック性能と、フレキシブルなマウント設計やEVF/拡張ユニットが取り付けられるカスタマイズ性を実現している。

「C700 FF同等の高画質性能を搭載しながら、モジュール機構による優れた拡張性と機動力を兼ね備えた。コンパクトなTV制作からドキュメンタリーといったENG/EFPはもちろん、映画製作やテレビCM、ドラマ、PV/MVまで様々な用途と撮影シーンをカバーする。多様なユーザーニーズにフル対応できる、高画質な“お買得モデル”」という。

C500 Mark IIを使用した様々なシステム例

C700 FFと同じフルサイズ5.9Kセンサーを搭載。ユーザーでマウント交換

シネマEOS最上位モデルの「EOS C700 FF」と同じ、5.9K解像度の大判CMOSセンサーを搭載。サイズは38.1×20.1mmで、フルフレームでの読み出しに加え、Super35mm、Super16mmモードにも対応する。

低ノイズで、最大15+ストップの広い階調性とBT.2020を上回る広色域を実現。グレーディングでの自由度が高く、映像表現の幅だけでなく、HDR映像制作でも効果を発揮する。

5.9KのフルサイズCMOSセンサー

Sumire Primeなどの高品位なフルサイズ用レンズを組み合わせることで、浅い被写界深度と大きなボケを活かした映像制作ができる。従来のSuper35mm用レンズも使用可能。

M3六角ボルトの取り外しで容易に交換できる、フレシキブルなマウントシステムを採用。別売のEFシネマロックマウント「CM-V1」(285,000円)、PLマウント「PM-V1」(200,000円)を購入することで、ユーザー自身でマウント変更できる。またオプションのアダプターを装着すれば、B4マウントレンズの取り付けもできる。

M3ボルト4本で交換できるマウントシステムを採用。マウントキットは別売。左がEFシネマロックマウントで、右がPLマウント

5.9K解像度のベイヤー配列センサーを活かした、オーバーサンプリング技術を搭載。画素補間で5.9KのRGBデータを生成した後、独自のディベイヤーアルゴリズムを通して4K/2Kデータを得ることで、従来よりもモアレ・ジャギーが少ない高解像度な映像が取り出せる。ノイズの粒状性が向上するという。

映像エンジンは、新開発の「DIGIC DV 7」。様々な映像処理を1チップに統合しながら、大容量のデータを高速に処理できる高い性能を備えている。

新開発のDIGIC DV 7

標準ISO感度は160~25600で、拡張時は最大102400の超高感度撮影に対応。映像システムを一新したことで、高感度時の低ノイズ化も実現する(XF-AVC記録時)。なお、Canon Log2/Log3時の基準ISO感度は800。

新たに作成したガマットマッピング技術を用いて、画像処理アルゴリズムを改善することで、従来よりも青色LEDや赤い被写体の色再現性が向上。高輝度部や高彩度部の色抑圧アルゴリズムを見直し、より自然な彩度変化を実現したという。

従来のCanon Log2/Canon Log3撮影に加え、XF-AVC記録時にはHLGとPQ方式でのダイレクト撮影に新対応。「グレーディングを必要としない“インスタントHDR”」としており、放送などスピードが求められる用途でも、明暗表現が豊かなHDR映像が記録できるようになった。

CFexpressにRAW/XF-AVC記録。シネマEOS初の電子ISや動画回析補正

高速読み出し・書き込み可能な次世代メモリーカード規格CFexpressのカードスロットを2基搭載し、5.9K RAW 12/10bitデータの「Cinema RAW Light」と、4K/60p YCC422 10bitデータの「XF-AVC」(ALL-I記録)が内部記録できる。C700 FFと異なり、Cinema RAWの外部記録や内部ProRes記録には対応しない。

ダブルスロットを活かし、2枚のCFexpressカードに、RAWもしくはXF-AVCの同時記録が可能。SDカードスロットでは、Cinema RAW Light撮影時にプロキシーデータを記録できる。なおフレームレートは1fpsから120fps(2Kクロップ)まで細かく設定可能。5.9K RAW/4Kは最大60fpsまで。

側面
CFexpressのダブルスロットを備える

手ブレ補正機構を搭載しないレンズを装着した場合でも、ボディ内で5軸手ブレ補正を行なう、シネマEOS初の電子IS機能を搭載。レンズ通信できない場合でも、焦点距離を手動で設定(1~1,000mm)すれば電子ISを使った撮影が可能で、アナモフィックレンズにも対応する。電動式のNDフィルター(2/4/6/8/10)も内蔵。

従来から搭載する色収差補正と周辺光量補正に加え、XF-AVC撮影時に限り、動画回析補正を新たにサポート。DIGIC DV 7の高速画像処理により、パンフォーカス撮影で発生しやすいレンズの回析によるボケを補正、従来以上に小絞りでの撮影が行なえる。

回析補正は輪郭強調ではなく、光学的な回析による画質低下を補うもので解像感の向上が可能。光学ローパスフィルターなどの影響による解像感の低下も補正されるようになっており、開放絞り付近でも回析補正の効果が得られるという。

1画素を2つのフォトダイオードで構成したデュアルピクセルCMOSを搭載。2つの画像信号から位相差AFを行なうことで、AF搭載の全EFレンズで、コントラストAFより高速なピント合わせが可能。画面内縦横約80%の範囲内で高速なワンショットAF、コンティニュアスAF、顔検出AFなどが行なえる。

新しいオートフォーカス制御を導入。スタートは加速しながらも、合焦直前にゆるやかに減速するプロカメラマンのフォーカス合わせを再現したもので、一定速度でフォーカスを合わせる従来の“機械的”動作よりも、自然で滑らかな動作を実現している。

撮影時だけでなく、再生時にもビューイングLUTの適用が可能になった。側面には独立したLUTボタンを搭載しており、各出力ごとに任意のLUTを当てられる。現場でのプレイバックによるクライアント確認の際に便利という。

このほか、ユーザーの好みや撮影内容に応じて使い分けられるよう3種のマーカーや、OSD外周にある各種情報の表示/非表示がカスタマイズできるようになった。

インターフェイスは、4K/60p信号をケーブル1本で伝送できる12G-SDI出力×1、モニター出力×1、HDMI出力×1、音声XLR入力×2などを備える。

背面右側に12G-SDI出力やHDMI出力を搭載

本体後部にはオプションパーツが取り付け可能。オプションには、0.46型/約177万ドットの有機EL電子ビューファインダー「EVF-V50」(86,000円)や、GENLOCK/SYNC OUT・REMOTE・LAN端子を備える拡張ユニット「EU-V1」(62,000円)、アナログ入力・24VのDC AUT・Vマウントバッテリー装着部を持つ拡張ユニット「EU-V2」(200,000円)を用意する。排他接続のため、EVF+拡張ユニットなどの組み合わせはできない。

写真左からEVF「EVF-V50」、拡張ユニット「EU-V1」、「EU-V2」。全てオプション

本体の外形寸法は約153×168×148mmで、重量は約1,750g。4.3型/約276万ドットのタッチパネルモニターやアタッチメント、ハンドルユニット、カメラグリップなどのほか、バッテリーパックやチャージャー、ACアダプターを付属する。

左前面
左背面
右背面
セット構成