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マランツ、8K/60p、4K/120p対応の13.2ch AVアンプ「AV8805A」

「AV8805A」

マランツは、13.2chフラッグシップAVプリアンプ「AV8805」をベースに、HDMI2.1をサポートし、8K/60Hz、4K/120Hzの入出力に対応した「AV8805A」を6月上旬に発売する。価格は572,000円。また、「AV8805」を対象に「有償 HDMI 8K アップグレードサービス」も6月15日より開始する。料金は77,000円。

Dolby Atmos(7.1.6ch/9.1.4ch)、Auro-3D、DTS:Xに対応。ハイスルーレートとチャンネルセパレーションの高さを実現する、独自の電流帰還回路「HDAM-SA」を13.2ch分、合計15枚の独立基板で採用している。バランス回路向けの反転アンプの部分にもHDAM-SAを採用し、高品位なXLR出力を可能にしている。

バランス(XLR)、アンバランス(RCA)のどちらも、15.2chのプリアウト端子を装備。フロントワイドやサラウンドバックを含む最大9chのフロアスピーカーと、センターハイトやトップサラウンドを含む最大8chのハイトスピーカーの中から最大15chをアサインできる。

最大13.2chの同時出力が可能で、Dolby AtmosやAuro-3Dなど、再生するサウンドモードに合わせて出力する端子を自動で切り替えられる。入出力端子には金メッキ処理を施した。

DAC回路は、映像回路やネットワーク回路から独立した専用基板にマウント。AVアンプではマルチチャンネル用DACを採用する製品が多いが、あえてHi-Fi向けの2ch DACを、8個搭載。全15ch同一クオリティのアナログポストフィルター回路も搭載している。

Dolby Atmosなどのサラウンド音声信号のレンダリングやデコード、13.2ch分の音場補正などを処理するために、アナログデバイセス製の32bitフローティングポイントDSP「SHARC」の最新型デュアルコアプロセッサを2基搭載している。

HDMI端子は入力8系統(フロント1系統を含む)、出力3系統を装備。テレビとプロジェクタの同時接続や、マルチゾーン出力に対応する。HDMIの全入出力でHDCP 2.3に対応。eARCにも対応する。HDRのパススルーにも対応し、HDR10、Dolby Vision、HLGに加え、新たにHDR10+、Dynamic HDRもサポートする。

本体背面

HDMI入力×1系統(HDMI 7)、出力×2系統(モニター1/2)がHDMI 2.1に対応。8K/60Hzおよび4K/120Hz映像信号のパススルーが可能。HDMI 2.1の機能ではALLM、VRR、QFT、QMSをサポートする。

入力されたアナログやHDMIの映像信号を4K/8KまでアップスケーリングしてHDMI出力する機能も搭載する。

ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」の技術を投入したネットワークオーディオ機能も搭載。セットアップ、操作は無料でダウンロードできるスマホ/タブレット向けの「HEOSアプリ」で行なう。

ストリーミングサービスやインターネットラジオの受信、LAN内のNASなどに保存した音楽ファイル、USBメモリからの再生、Bluetooth機器との連携なども操作が可能。また、同一のネットワークに接続した他のHEOSデバイスに、AV8805Aで再生中の音楽を配信することもできる。

ネットワークプレーヤー機能としては、PCMは192kHz/24bitまで、DSDは5.6MHzまでの再生に対応。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応。AirPlayやBluetoothにも対応しており、iOSデバイスやスマートフォンからも再生できる。

無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n接続に対応。2.4GHz帯と5GHz帯の両方が利用できる。ルーターへの接続は、ボタンひとつでつながる「WPS」やiOS 7以降のデバイスによる設定にも対応する。

スマホ/タブレット向けの、本体操作・設定用リモコンアプリ「Marantz 2016 AVR Remote」を用意。付属の専用マイクを使ったオートセットアップ機能「Audyssey MultEQ XT32」も搭載し、最大8ポイントでの測定結果をもとに、スピーカーの距離、レベル、サブウーファのクロスオーバー周波数を最適な状態に自動設定する。

接続したスピーカーとリスニングルームの音響特性を測定し、時間軸と周波数特性の両方を補正することで、ルームアコースティックを最適化する事も可能。2台のサブウーファを個別に測定、および補正する「Sub EQ HT」も搭載する。

ドルビーイネーブルドスピーカーについては、Audyssey MultEQによる自動補正に加え、天井までの高さを設定することでさらに補正の精度を高めることができる。

「Audyssey MultEQ Editor」アプリ(2,400円)も用意。AVアンプ単体では設定できない詳細な調整項目が用意され、部屋に起因する音響的な問題に対してさらに精密なカスタマイズが可能。

電源部には、OFC巻線やアルミケースを採用し、マランツのプレミアムHi-Fiコンポーネントと同等グレードのトロイダルトランスを採用。二次巻線はDAC、アナログオーディオ回路、HDAM-SAプリアンプ回路など、回路ごとに分け、相互干渉を排除。シールドにより外来ノイズを遮断し、トランスから周辺回路への輻射も抑制した。

5mm厚のアルミプレートと1mm厚のスチールプレートを組み合わせたハイブリッド・トランスベースを採用。シャーシからのアイソレーションを強化し、振動および磁気による音質への影響を抑えている。

DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給には専用のローノイズSMPSを使用し、アナログ回路との相互干渉を排除。デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化してスイッチングノイズを再生音に影響の及ばない可聴帯域外へシフトしている。

シャーシには銅メッキを施し、基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの種類を使用する箇所に応じて変更している。筐体の剛性を高め、共振を抑制するために、3ピーストップカバーを採用。メインシャーシにボトムプレートを加えたダブルレイヤードシャーシにより、不要振動による音質、画質への影響も防止した。

HDMI以外の端子は、映像入力がコンポーネント×3、コンポジット×5。音声入力が、バランス(XLR)×1、アンバランス(RCA)×8、Phono(MM)×1、7.1ch入力×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2。

映像出力端子は、コンポーネント×1、コンポジット×2(Zone2×1を含む)。音声出力端子は15.2chバランスプリアウト×1、15.2chアンバランスプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン×1。LAN端子や、USB、RS-232C、DCトリガー出力、フラッシャー入力、マランツリモートバスなども備えている。

消費電力は90W。待機電力は0.2W(通常スタンバイ)、0.5W(CECスタンバイ)。外形寸法は440×410×185mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は13.8kg。

AV8805の有償HDMI 8Kアップグレードを実施

6月15日より、AV8805を対象に、HDMI基板の交換により、8K/60Hz、4K/120Hzのパススルー対応など、AV8805Aと同様の機能が利用できるようになる有償アップグレードサービスを実施する。料金は77,000円。預かり期間はセンター到着から約2週間。受付期間は2023年6月15日まで。

アップグレードの作業では、HDMI基板の交換、アップグレード済みであることを示す「A」シールの貼り付け、HDMI入出力端子へのシールの貼り付け(8K、HDCP 2.3表示)に加え、最新ファームウェアへアップデートを行なう。

アップグレード後は、8K/60Hz、4K/120Hzのパススルー(入力×1系統/出力×2系統)に対応するほか、VRR、QMS、QFTをサポート。HDRではHDR10+、Dynamic HDRに対応。HDCP 2.3にも対応。8Kアップスケーリングも利用できるようになり、電源オン時の本体ディスプレイに表示されるモデル名が「AV8805A」となる。