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頂点を極めたイヤースピーカー、“真空管”搭載したAK「SP2000T」

「A&ultima SP2000T」

フジヤエービックは19日、「秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE」を配信。スタックスが、新開発の固定電極を搭載したハイエンド静電型ヘッドフォン「SR-X9000」を紹介。オペアンプと真空管アンプの“いいとこどり”ができる、Astell&Kernの新ハイレゾプレーヤー「SP2000T」も登場した。

秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE

イヤースピーカーの頂点を極めた「SR-X9000」

「SR-X9000」

スタックスが10月8日に発売する「SR-X9000」は、69.3万円という超弩級モデルで、“イヤースピーカーの頂点を極めた”というフラッグシップ。最大の特徴は、大型金属メッシュを組み合わせた4層構造の固定電極「MLER-3」を搭載している事。

静電型ヘッドフォンは、振動膜を固定電極で挟み、静電気の力で駆動するが、その電極として理想的な素材は“金属メッシュ”だという。広報の立原氏によれば、「空気の影響を受けにくく、音の反射の影響も受けにくいので、イヤースピーカーの電極にするには理想的。もともと、1970年のSR-Xというモデルで金属メッシュ採用し、その後のSR-OMEGAでメッシュを大型化して、よりハイエンドな音にした。しかし、メッシュを大きくすると強度が不足してしまう。そこで、メッシュの表面に補強を施す作業が必要になるが、熟練の技術者でも、10台取り掛かって、2、3台作れるかという歩留まりの悪さだった。そこで、金属メッシュの採用を一度あきらめていた」という。

広報の立原氏

しかし、時を経て、SR-009、SR-009Sといったモデルの製造時に熱拡散結合という新しい技術を獲得。「薄い板に真空の中で高温をかけて圧着することで、接着剤を使わずに分子レベルで金属をくっつける事ができる。これにより、共振に強い素材にできる。この技術を使えば、手作業の補強をせずに、金属メッシュの電極を作れるのではないかという発想からMLER-3が誕生した」という。

右上の金属メッシュを加工し、最終的に固定電極が完成する

振動膜には、極薄のスーパーエンプラフィルムによるダイヤフラムを採用。限りなくゼロに近い軽質量化により、優れた過渡特性を実現、低域から広域にわたって音の追従性を向上させた。振動膜面積はSR-009S比で20%の大口径化に成功している。

また、ダイレクトな反射を多く発生させてしまうガードメッシュも改良。X9000では、発音体とガードメッシュとの隙間の高さを変えるために、前後で高さの違う支柱構造を採用。ガードメッシュが発音体に対して平行にせず、音の反射角をコントロールしているという。

ガードメッシュを発音体に対して、あえて平行にしていない

オペアンプと真空管アンプのいいとこどりができる、SP2000T

SP2000Tの背面。LEDを搭載し、AMPモードや音源情報が一目でわかるようになっている

Astell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤー新製品「A&ultima SP2000T」は、10月15日発売で329,980円。

最大の特徴は、通常のOP-AMP(オペアンプ)モードと、TUBE-AMP(真空管アンプ)モード、さらに、真空管アンプの温かみのあるアナログ性能とオペアンプの高解像度の透明感を組み合わせたHYBRID-AMP(ハイブリッドアンプ)モードと、異なる3つのサウンドを1台で味わえる「トリプルアンプシステム」を搭載している事。

真空管には、ポータブルに適したデュアルトライオード真空管「KORG Nutube」を採用している。アユートの齊藤氏によれば、オペアンプと真空管サウンドの“混ぜ合わせ”度合いは5段階から選べるという。齊藤氏はサウンドについて、「オペアンプはクールでシャキッとした音、真空管では温かみのある、少し響きが加わるような感覚。これらを混ぜ合わせると、シャッキリとした響きの、“いい具合”のバランスも調整できる。個人的には混ぜ合わせたハイブリッドで使って、最適なサウンドを探るというのが大きな特徴だと思う」と、魅力を説明した。

オペアンプと真空管サウンドの“混ぜ合わせ”度合いは5段階から選べる

SP2000Tはさらに、DAC部にESS Technologyのオーディオ用最新DAC「ES9068AS」を4基搭載。これにより1チャンネルあたり2基のDACで専用のデコードを行なえ、よりきめ細やかでバランスのとれた、奥行きと空間のリアリティに優れたサウンドを実現している。

iFi audioの新たなフラッグシップモデル

「Pro iDSD Signature」と「Pro iCAN Signature」

トップウイングサイバーサウンドグループは、iFi audioの新たなフラッグシップモデルとして「Pro iDSD Signature」(約462,000円)と「Pro iCAN Signature」(約308,000円)を公開。10月下旬頃の発売を予定しているという。

機能的な進化点としては、Pro iCAN Signatureに4.4mmのヘッドフォン出力を装備。それ以外の機能は踏襲しているが、音質的には内部を全面的にブラッシュアップ。コンデンサの性能向上などもあり、電源周りからも音質向上を狙ったモデルになっているという。なお、どちらのモデルにも電源として「iPower Elite」が付属する。

iPower Elite

さらに、LDACやaptX Adaptiveなど高音質コーデックに対応したBluetoothレシーバー「GO blu」も紹介。10月下旬に発売予定で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は30,000円前後。外形寸法55×34×13mmと、マッチ箱やジッポーライターに近い手のひらサイズながら、aptX、aptX HD、aptX Adaptive、aptX LL、LDAC、HWA/LHDC、AAC、SBCと主要なBluetoothコーデックに対応している。

出力端子は4.4mmバランスとiFi独自のS-balanced 3.5mmステレオミニの2系統。USBオーディオ入力としても使えるUSB Type-Cポートを備え、USB DACとしても使用できる。

Bluetoothレシーバー「GO blu」