ニュース

話題のライブ配信をクオリティUP! LUMIX BASE TOKYOで体験

LUMIX BASE TOKYO

パナソニックが今年の5月末に、東京・青山にオープンしたデジタルカメラ「LUMIX」の新発信拠点「LUMIX BASE TOKYO」。カメラに触れられるだけでなく、他社のジンバルや外部レコーダーなど、豊富な周辺機器と組み合わせた体験が可能な“クリエイターが集まる場”として活用されているが、その一環として専門知識やトレンドを学べるワークショップも開催中。10月9日には、注目が高まるインターネットでのライブ配信を、より高品質で行なうため、小型スイッチャーBlackmagic Design「ATEM Mini」と、マウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」を組み合わせたワークショップが開催された。

ワークショップの模様
小型スイッチャーBlackmagic Design「ATEM Mini」
マウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」のノートPC「DAIV 5N」

講師は、レコーディングスタジオstudio forestaを拠点にレコーディングからライブ配信、ライブ中継、ミュージックビデオの制作などを行なっているほか、メジャーアーティストのスタジオライブ中継は国内最多実績を誇る、ニルヴァーナ代表取締役・森田良紀氏。無料のワークショップとなっており、LUMIX BASE TOKYOには配信に興味がある、既にATEM Miniを使って配信をしているが、さらにステップアップしたいというユーザーが集まった。

森田良紀氏

森田氏は、ライブ配信の基本から解説すると共に、ライブ配信番組は「スイッチング」、「音声」、「配信管理」、「カメラマン」の4つで構成され、それらにスタッフ1人1人を役割分担させる事がクオリティをアップさせる基本である事や、人員を減らすために兼任させ、役割分担を増やすと事故が多くなるといった注意点も説明。

また、配信ではつい“映像を綺麗に見せる事”ばかりに注意が行ってしまうが、実は“音声”が一番大事であり、その次が“映像”であると指摘。「映像は、例えば解像度が低くても、音が綺麗に聞こえていれば視聴者に見続けてもらえます。しかし、音が悪いと、たとえ映像が綺麗でも、途中で見るのをやめて離脱されてしまう」といった、プロならではの重要ポイントも伝授した。

他にも、LUMIXのデジタルカメラを配信で使用する際の、コントラストやシャープネスなどのオススメ画質設定、システム周波数の設定、現在どのような映像が配信されているかを常にチェックできるように「常時プレビュー」をONにしておく事、配信中に色味が変化する事を防ぐためにホワイトバランスはマニュアルで設定しておく事など、細かな部分も解説。

音声のクオリティを上げるために、マイクを接続したミキサーのレベル・ゲインの調整方法や、耳障りな音をカットするためのATEM Mini側のイコライザー設定方法、音の遅延を無くすためのリップシンク設定方法、さらに、そうした設定を、出演者にマイクを装着してから行なうと、演者に負担をかけるため、配信前のテストをする以前の段階で、自分で音の設定・チェックをしておくなど、実際の現場での経験を踏まえたアドバイスを行なった。

耳障りな音をカットするためのATEM Mini側のイコライザー設定方法

受講者は、用意されたLUMIXのカメラと、ATEM Mini、15.6型でCore i7-10780HやGeForce RTX 3060 laptop GPUを搭載したノートPC「DAIV 5N」を用いて、森田氏のアドバイスを踏まえた設定を実践。

さらに森田氏は、ATEM Miniの操作方法も解説。基本だけでなく、配信時に映像と映像を繋ぐトランジションの長さは1秒が基本だが、「番組の冒頭と終わりは2秒に設定するとゆっくりとしたスタートや、余韻のあるエンディングになる」といったテクニックも披露。意図しない映像が配信される事故を防ぐための、ダウンストリームキー(DSK)の活用など、実践的なテクニックの数々を、受講者達は熱心に聞き、メモをとっていた。

後半には、こうした設定・テクニックを活用し、実際の配信にもチャレンジした。

LUMIX BASE TOKYOには「DAIV 5N」だけでなく、デスクトップPCの「DAIV Z9」(Core i7-11700/GeForce RTX 3070/メモリ32GB/M.2 SSD 512GB + HDD 2TB)のよりパワフルなマシンも常設。EIZOのディスプレイ「CS2740」と組み合わせ、カメラで撮影した映像の編集も体験できるようになっている

LUMIX BASE TOKYOオープンから約5カ月

LUMIX BASE TOKYOの坂本維賢マネージャー

LUMIX BASE TOKYOの坂本維賢マネージャー(前LUMIX GINZA TOKYO・館長)は、銀座から青山に移転し、約5カ月が過ぎたLUMIX BASE TOKYOについて、「以前からの静止画のお客様にも引き続きご愛顧いただいておりますが、この青山の近隣には映像クリエイターの方が沢山いらっしゃる事もあり、動画について興味を持たれている方が非常に増えました」と語る。

客層も様々で、ハイアマからプロの動画クリエイターだけでなく、コロナ禍により、「“勤めている会社の方針で、動画の配信をやらないといけない事になった”、“営業先に直接製品を持って紹介に行けないのでオンラインで紹介したい”といった相談も増えています。そうしたニーズに合わせて、カメラだけでなく、様々な機材を含めた提案をさせていただいています」という。

発表されたばかりの、ボックス型フルサイズミラーレス「BS1H」も展示されている

カメラと、その周辺機器を実際に体験できるのが単なるショールームではない、LUMIX BASE TOKYOの特徴。「従来であれば、カメラとレンズの説明はできましたが、実際のライティングやパソコンを含めた説明はできませんでした。ここでは、実際にそれを体験していただけるので、例えばライトを選ぶ場合でも、明るさの単位を聞いてもわからないという方でも、実際に見ていただいて“ここまでの明るさは不要”とか、“もう1つ下の製品でOK”といった事が判断していただけます」と、体験の場ならではの強みもある。

また、今回のワークショップも含め、カメラ周辺機器の展示や活用イベントは、それらを手掛ける周辺機器メーカーから、LUMIX BASE TOKYOに声をかけて、コラボレーションが実現するパターンも多い。コロナ禍で製品紹介イベントの中止が多かったため、ダイレクトに消費者に体験してもらう場を、周辺機器メーカーは欲しており、そのニーズにLUMIX BASE TOKYOが応える役割も果たしているわけだ。

坂本マネージャーは今後も、LUMIX BASE TOKYOで様々な企業とのコラボやワークショップを実施予定。また、ワークショップやセミナーといった時間をキッチリ決めたカタチのイベントだけでなく、特定の日に、何時間かおきに説明を行ない、興味のある人が時間にとらわれず、自由に参加できるような形式のイベントの構想もねっているという。

東京2020オリンピックで活躍したLUMIXも展示されていた