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LUMIX、“攻めの動画”で約26万円のマイクロフォーサーズ最上位「GH6」

LUMIX GH6

パナソニックは、マイクロフォーサーズのデジタルカメラ最上位モデル「LUMIX GH6」を3月25日に発売する。価格はオープンプライスで、ボディのみの店頭予想価格は26万3,000円前後。「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」が付属するレンズキットは33万7,000円前後。

LUMIX GH6

ミラーレスのデジタル一眼はフルサイズセンサーの製品を中心に語られる事が多いが、GH6はフルサイズ機を部分的に凌駕するような高い動画撮影機能を盛り込み、多彩な映像表現が可能。それでいて、フルサイズのカメラよりもコンパクトかつ軽量で可搬性や機動力に優れる事、価格を抑えられる事でレンズや周辺機器も充実できるといった点をメリットとし、「フルサイズではない、選択肢を」テーマに開発。マイクロフォーサーズユーザーはだけでなく、クリエイティブを追求するクリエイターにも訴求するカメラとして誕生した。

画像処理エンジンは新開発で、フルサイズハイエンドカメラ「S1H」と比べても約2倍の演算処理能力を持つ「新世代ヴィーナスエンジン」を搭載。画質やAF性能を大幅に高めているほか、多彩な動画記録モードも実現している。

処理能力向上により、「新インテリジェントディテール」では、被写体のフラット・ディテール・エッジを判別する精度が向上。解像感や立体感を改善。さらに、色ノイズを抑制し、輝度ノイズの粒状性を向上させた「新2Dノイズリダクション」も搭載。動画撮影時に使える「高性能3D-NR」では、静止画・動き部分の判別性能を向上させ、動きがある映像の画質をアップした。

搭載するセンサーは、新開発の2,520万画素Live MOSでローパスフィルターレス。高解像度と高速性に優れており、センサーをシフトさせて高画素記録する「ハイレゾ撮影」では約1億画素記録を実現。動画でも5.7Kでの撮影が可能。最大300fpsのセンサー読み出しを実現し、4K動画でも120fpsの高速読み出しが可能。高速性を活かし、ローリングシャッターも抑制している。

新開発の2,520万画素Live MOSでローパスフィルターレス

新機能「ダイナミックレンジブースト」は、単一露光で、低ISO回路を使う“飽和優先”の画像と、高ISO回路を使う低ノイズ優先の画像を取得。その2種類の画像を、画素ごとに合成し、最大13+ストップのダイナミックレンジを実現するもの。明暗差の大きいシーンでも、高い階調性能を発揮できるという。

このダイナミックレンジブーストが有効なISO感度設定は、スタンダード/シネライクD2/シネライクV2/709ライクが、ISO 800~12800(ベース感度ISO 800)、V-Log/HLGが、ISO 2000~12800(ベース感度ISO 2000)。なお、演算性能を使うため、クリエイティブ動画モードを使う場合は、60fps以上の動画撮影はできない。

動画撮影では、V-Log、V-Gamutに対応。ポストプロダクションにおいて、シネマカメラで撮影した映像素材とも絵合わせがしやすくなっている。

動画記録モードも一新。LUMIX初となる、5.7K(5,728×2,024ドット)/60p、C4(Cinema4K 4,096×2,160ドット)/120p、さらにApple ProRes 422 HQ記録モードも備えている。また、様々な記録モードにおいて、センサーをフルに活用したクロップレスで撮影できるほか、10bit記録も実現している。

具体的には、16:9時は4K120p(4:2:0 10bit)、4K 60/48/30/24p(4:2:2 10bit)。17:9の場合は、5.7K 60/48/30/24p(4:2:0 10bit)、C4Kでは、120p(4:2:0 10bit)、C4K 60/48/30/24p(4:2:2 10bit)で撮影できる。

さらに、アナモフィックレンズでの撮影用に、解像度優先の5.8K-A(5,760×4,320ドット)/30/24p(4:2:0 10bit)モードと、フレームレート優先の4.4K-A(4,352×3,264ドット)60/48p(4:2:0 10bit)モードを用意。フレアやボケを用いたシネマティックな表現において、自由度を拡げている。

記録ビットレートも大幅に向上。Apple ProResでは、1~1.9Gbps、ALL-Intraでは200~800Mbps、LongGOPでは20~300Mbpsまで対応する。

5.7K/60p撮影はLUMIX初の対応で、5.7Kからオーバーサンプリングした、高い解像感のC4Kや4Kの動画記録が可能。前述の、ダイナミックレンジ13+ブーストを使いながら、5.7K/60p 4:2:0 10bit記録ができる。

ポストプロダクション業界で広く使われている低圧縮の中間コーデックApple ProRes 422HQで、5.7K/30pの記録が可能(CFexpressカード記録時のみ)。編集作業時などのPC負荷を低減しつつ、トランスコードも不要でノンリニア編集ができるため、ProRes 422HQで納品するような業務用途でも便利に活用できる。

LUMIXで初めて、C4K/60p 4:2:2 10bit撮影時での記録時間無制限を実現。S1HではC4K/30p 4:2:2 10bitになってしまうほか、GH5IIではC4K/60p 4:2:0 10bitで熱制限があり、それらと比べても、GH6はより高性能になった。

スローモーション撮影でも制約が緩和され、全てのモードで10bit記録が可能になり、グレーディング耐性が大幅に向上。ノンリニア編集向けの、10bitハイフレームレート記録では、C4K/4Kで120p(最大5倍スロー)、48p(最大2倍スロー)、フルHDで240p(同10倍スロー)、120p(同5倍スロー)、48p(同2倍スロー)を実現。

カメラ内で撮影フレームレートと記録フレームレートを自由に設定し、スローモーション動画を直接記録する10bitバリアブルフレームレートの場合は、C4K/4Kで120p→24p(最大5倍スロー)、1fps→60p(最大60倍クイック)、フルHDで300fps→24p(同12.5倍スロー)、1fps→60p(同60倍クイック)が可能。

音声面も進化

音声面では、内蔵マイク・外部マイクでの、48kHz/24bit記録に対応。XLR入力の音声は48/96kHz 24bitで記録できる。さらに、LUMIX初となる4ch音声収録をサポート。例えば、人間の声をハンドヘルドマイク(XLR 1)・ショットガンマイク(XLR 2)で録音し、周囲の環境音をアンビエントマイクとしてカメラ内蔵/外部マイクで2ch録音する事が可能。

複数人の声をラベリアマイク×2で録音し、環境音を内蔵/外部のアンビエントマイクで収録する事も可能。同じ指向性、用途の音を異なるマイクで収録しておき、タッチノイズなどの異音や収録ミス時のバックアップとして活用することもできる。

使い勝手も向上

撮影アシスト機能も進化。V-Logビューアシスト機能では、新たに.cubeに対応、ポスプロのLUTが共用できるようになった。MFアシスト機能では、動画ライブビューの拡大表示(60fpsまで)に対応。セーフティーゾーンマーカー表示や、動画記録中に赤枠を表示するといった機能も備えている。

手ブレ補正機能も進化。高精細ジャイロセンサーを採用し、アルゴリズムを最適化する事で、LUMIX最高となる補正段数7.5段(GH5IIやG9は6.5段)と、動画撮影時のなめらかな補正を実現した。

この手ブレ補正と、センサーシフト、前述の高性能な画像処理エンジンを組み合わせる事で、センサーシフトを用いた1億画素の「ハイレゾ撮影」機能が進化し、“手持ち”でも1億画素のハイレゾ撮影が可能になった。モードダイヤルに「ハイレゾ」も新たに追加、解像感を優先させるモードと、被写体ブレを抑えたモードも用意する。

モードダイヤルに「ハイレゾ」も新たに追加

静止画の高速連写も可能。AF-Sモード、電子シャッター時で、秒間最大75コマを実現。メカシャッターでも14コマで連写できる。

像面位相差AFは搭載していないが、画像処理エンジンの進化と、アルゴリズムの改善により、AF性能も向上。AF演算速度は3倍になり、アルゴリズム面では見栄え、背景抜け、追従性、光源への対応などを改善している。

AFエリアは、従来の225点から315点へと測距点数とカバー率が大幅に向上。顔・瞳認識AFや、動物認識AFも利用でき、AFメニューでは、これらの認識AFの組み合わせを細く設定できるようになった。例えば、顔・瞳認識AFをONにしながら、人体認識はOFFにして、メイン被写体以外にAFが食いつかないようにするといった使いこなしができる。AFの駆動範囲を限定するフォーカスリミッターも設定可能。

チルトフリーアングルモニターを背面に搭載

背面のモニターは、184万画素の液晶。HDMI端子などと干渉しないように、チルトフリーアングル機構を採用。ビューファインダーは368万画素のOLEDで、背面モニターとの同時表示にも新たに対応。モニターを反転させて被写体に見せながら、撮影者はビューファインダーを使って撮影するといった使い方が可能。

信頼性と堅牢性も確保。内部にファンを搭載し、オーバーヒートを抑制しているほか、ボディの素材にはマグネシウム合金を採用。軽量と耐久性を両立させた。接合部分や操作部材にはシーリング構造を採用し、防塵・防滴・耐低温-10度を実現している。

ボディの素材にはマグネシウム合金を採用

記録メディアはSDカードに加え、CFexpress Type Bにも対応。よりデータ量の大きい動画ファイルの記録に対応する。HDMI A端子や、USB PDに対応したUSB端子も装備。シンクロターミナルからBNC変換で、タイムコード同期も行なえる。

バッテリーは、2,250mAhの大容量バッテリーを採用。その一方で、従来のGHユーザーが持っているバッテリー「BFL19」も使用可能なのだが、従来のバッテリーを使った場合はC4K/60pまでで、ハイフレームレートや高解像度モードなどは利用できない。

本体、バッテリー、SDカード込みでの重量は823g。

2,250mAhの大容量バッテリーを採用

発売後の性能向上も予定

発売後も、ファームウェアアップデートによる性能向上を予定。ATOMOS NINJA V+と組み合わせて使うために、C4K 120p動画RAWデータ出力に対応。

Apple ProRes対応の強化として、C4KおよびフルHDのApple ProRes 422/422HQにサポートする(発売日は5.7K/30p対応)。

他にも、4K/120pのHDMI動画出力や、USB SSD記録のサポートなどを予定している。

オンラインイベントも続々

「CREATORS LIVE WITH LUMIX GH6」と題して、2月23日19時から、YouTube LIVEで動画も配信。メーカー担当者からの商品紹介や、クリエイターらのトークなどで、より詳しい情報や、GH6の魅力がわかるという。

さらに、オンライン開催されるCP+2022においても、様々なライブ配信プログラムを予定。

また、2月24~27日までは、東京のLUMIX BASE TOKYOにおいて、完全予約制のタッチ&トライイベントも実施する。これらの詳細は、製品のページを参照のこと。

キャッシュバックキャンペーンも

GH6発表にあわせ、予約購入者限定のキャッシュバックキャンペーンも実施する。購入期間は3月24日まで、応募期間は4月10日の消印有効。ボディのみか、レンズキットが対象で、ボディのみの場合は2万円、レンズキットでは3万円がキャッシュバックされる。

さらに、予約購入限定プレゼントとして、レキサープロフェッショナルのCFexpressカードもプレゼントされる。