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4Kデジタル修復の小津安二郎BOX。初BDのモノクロ5作品
2023年10月6日 10:00
松竹は、小津安二郎監督の生誕120年を記念して、映画「父ありき」などモノクロ5作品を収めたBD集「5 FILMS of OZU 永遠なる小津の世界」を12月20日に発売する。4Kデジタル修復を施したレストア盤で、初回限定500 BOXでの販売となる。5枚組で、価格は28,600円。
2023年12月12日に生誕120年を迎える小津安二郎は、イギリス映画雑誌「Sight&Sound」誌での「史上最高の映画」ランキングにおいて、「東京物語」が4位に入るなど、今なお多くの世界中の映画人や映画ファンから支持を集める監督。生涯54本の作品を発表するが、その多くがモノクロ映画で、内34作のサイレント作品を製作。時代がトーキー映画へと動いていく中でもサイレントにこだわり、多くの名作を残した。
今回のボックスには、初のBlu-ray化となるモノクロ作品5本を収録。サイレント映画の傑作と高く評価されている「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」、衣装・美術に至るまでセンスの良さに目を瞠る小津作品には珍しい和製ギャング映画「非常線の女」。
そして戦時下で撮影され、小津作品の常連・笠智衆の初の主演作「父ありき」、戦後第1作、大船撮影所の名優たちが再集結し描いた人情喜劇「長屋紳士録」、戦後の日本が抱える厳しい現実に焦点を当て、苦悩する女性の姿を描き、小津監督の作品の中でもひときわ異彩を放つ「風の中の牝雞」と、時代の空気の変化と小津映画の変遷をみることができる作品を選んだという。
中でも、注目なのが1942年公開の「父ありき」。
公開当時のオリジナル版は本編尺が94分と記録に残るも、戦後占領期に再公開される際、GHQの検閲で多くのシーンがカット。松竹に残る原版尺は87分と短いものになっていた。
今回、ロシアで発見され国立映画アーカイブが保管しているプリントと松竹に残る原版を比較し、欠落している個所を組み合わせることで、本編尺92分という1942年公開時のオリジナル版に限りなく近い状態での修復が実現。
同窓会の場で、笠智衆が演じる父・周平が詩吟を見事に吟じるシーン、そしてラストシーンの背景に流れる楽曲「海ゆかば」が復活。「不自然に途切れたセリフが滑らかな流れを取り戻し、今までは観ることができなくなっていたシーンをお楽しみいただけることとなりました」とのこと。
BDボックスには、海外版のビジュアルポストカード5種が特典として封入される。