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ソナス・ファベール40周年記念、日本限定12ペアの「Stradivari G2 Anniversary」

Stradivari G2 Anniversary

ノアは、ソナス・ファベールの新フラッグシップスピーカー「Stradivari Homage」の第2世代モデル「Stradivari G2 Anniversary」を発表した。世界120ペア、日本では12ペア(3仕上げ各4ペア)の限定モデルで、11月10日10時より予約受付を開始する。仕上げはWenge、Red、Graphite。

Wenge、Red、Graphite

初代は、2003年にクレモナのヴァイオリン職人、アントニオ・ストラディヴァリへ捧げるスピーカーとして開発。その設計から20年後、ソナス・ファベールの創業40周年を記念するモデルとして2023年に登場するのがStradivari G2 Anniversary。

このモデルのために開発したという最先端の技術を用いて、内部構造からユニット、キャビネットのデザインなど全てを新設計。「伝統的な熟練の職人による徹底した手作業だからこそ実現でき、創業40年の歴史と哲学の真髄を体現した」という。

エンクロージャーは伝統のスピーカーづくりの手法をふまえた一方、そのフォルムは初代の楕円形から五角形デザインに発展。「美的ニーズに対して技術がシームレスに適応した画期的な進化」だという。

特徴的なフロントバッフルは、ヴァイオリンづくりに習熟したソナス・ファベールの職人が練り上げたもので、木材をアルミニウムで挟んだデザインになっている。塗装・研磨も、最上級の楽器づくりに適用される技術に基づいており、グロス塗装は7層にも及ぶ。

天然木によるキャビネットに、アルマイト処理とラウンド・エッジ処理を施したCNC加工アルミニウムプレートをキャビネットの天地に取り付け、背面もアルミニウムパーツを装着、強靭なパーツで挟み込む独自構造「エキソ・スケルトン・クランプ」を採用した。

これにより、キャビネットをダンピングさせ振動成分を抑制。天然木ならではの豊かな鳴りと適度に引き締まった低域域の再生を実現したという。

床面からの振動伝播とキャビネット全体をデカップリングする手法として、「Z.V.T.」(ゼロ・ヴァイブレーション・トランスミッション)テクノロジーを踏襲。スパイクの取り付け部にエラストマー樹脂を挟み込むサイレント・スパイクを搭載している。

ユニット構成は3.5ウェイの4スピーカーでバスレフ方式。ツイーター、ミッドレンジ、ウーファーで、ウーファーは2基搭載する。

バスレフシステムは、このスピーカーのために新たに開発した「クレプシドラ・テクノロジー」を採用。「砂時計」を意味するもので、ダクト長を抑えながら最大の低域パフォーマンスを獲得する一方、底面方向への音波放射によって、スピーカー設置の自由度を最大限に上げることを目指したという。低域チェンバーの内部は平行面を排し、定在波の発生を抑制している。

「イントノ・テクノロジー」も投入。「イントネーション(調音)」を意味するもので、、密閉された高域/中域のチェンバー内で綿密な調整が施された小孔を設けることにより、ミッドレンジ・チェンバー内のインピーダンス・ピークは大幅に減少、改善。

ツィーターには同社伝統の木製チェンバーをドライバー背面に搭載することで、ミッドレンジ・ドライバーの影響は受けず、ツィーターの純度を保ったまま、高域再生を実現した。

振動板の動きによって生じる空気圧は、小孔による適切な気流調整で効果的に減衰されるため、比類なくナチュラルな中域再生を実現。クロスオーバー・ネットワーク回路のサイズやパーツ点数を最少限に抑える事で、シンプルなクロスオーバー・デザインとしている。

超低域周波数の調整システムとして、LFA(ロー・フリケンシー・アジャスター)を用意。ドライバー・ユニットの共振ピークを補正し、信号経路に抵抗部品を実装することなく、低域レンジの効果的なダンピングを行なう事で、可能な限り低域の浸潤性を高めるとのこと。

スピーカーターミナルに隣接するボードに4口の端子が設置されており、中央の1つがマイナスで、他3口の端子いずれかにジャンパーで接続することで、それぞれ異なる低域レスポンスを得られる。

超低域周波数の調整システム、LFA

ツイーターは28mm径アローポイントDAD搭載シルク・ソフトドーム。強靭なアルミニウム・ダイキャストのフレームに搭載し、ツィーターの頂点を部分的にダンピングさせ、ダイアフラムの逆相挙動を抑制。高域の透明感、伸びやかさをより発揮させる独自の「DAD(Damped Apex Dome)テクノロジー」を使っている。さらに、トライポッド構造のD.A.Dを搭載する事で、高域の音波拡散と大音量時の制御能力を大きく向上させた。

ミッドレンジは、セルロース・パルプ、カポック、ケナフなどの天然繊維を調合し自然乾燥させた独自振動板の150mm径ペーパーコーン。強力なネオジム・マグネットが、銅クラッド・アルミニウム巻線(CCAW)で構成されたムービングコイルの高速且つ最短で正確な応答を実現。バスケットは強靭なアルミニウム・ダイキャスト・フレームで、「理想的なハイスピード駆動と高いコントロール性を兼ね備えた事で、淀みのないナチュラルなサウンドを提供する」という。

フェーズ・プラグも新設計で、独自のダンピング・リングを設けたことによりコイルの動作に起因する音の乱れを最小限に抑え、ペーパーコーンの高周波数帯域における共振を物理的に修正している。

ウーファー

ウーファーは専用設計の260mm径。2つの超軽量CCAWボイスコイルは超高速駆動を実現するため、カスタムメイドのネオジム・ドライバーを搭載しながら、ボイスコイルの冷却を強化するアルミニウム製のエア・ギャップを備えた。

新開発センターキャップは、剛性に優れたABS樹脂で構成。そしてF.E.M(Finite Element Method=有限要素法)に基づくコンピューターを用いた構造解析により、コーン部、ラバーエッジ、BIMAXスパイダーの素材や形状、厚みなどを解析し最適化しながら、ダイアフラムを保持するフレーム・バスケットも新規設計としている。

クロスオーバー・ネットワークは、アイーダIIにも採用されているPARACROSS TOPOLOGYと、新たに開発した「Interactive Fusion Filtering」に基づく設計で、各ドライバー・ユニットの振幅/位相特性、空間/時間特性を最適化する一方、低周波数のインピーダンスを最適に制御してアンプとのマッチングに配慮した。クロスオーバー周波数は160Hz/220Hz/2.2kz。

周波数特性は25Hz~35kHz (ステルス・ウルトラフレックス含む)。出力音圧レベルは92dB SPL(2.83V/1m)、公称インピーダンスは4Ω。スピーカー端子はバイワイヤリング対応。外形寸法は715×428×1,374mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は63kg。