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大泉洋主演の映画「室町無頼」舞台挨拶。「時代劇でしか表現できないことがある」
2025年1月20日 13:07
大泉洋主演の映画「室町無頼」の初日舞台挨拶が1月17日に行なわれ、主演の大泉をはじめ、堤真一、長尾謙杜、松本若菜のキャスト陣と入江悠監督が登壇。大泉は「時代劇でしか表現できないことがある」とし、「民衆の力で世の中を動かしていく部分は、現代にも通じる大変痛快なものがある」と作品の魅力を語った。
時は室町、“応仁の乱”前夜の京(みやこ)——。大飢饉と疫病の連鎖、路上に重なる無数の死骸。そんな混沌の世の中に風の如く現れ、巨大な権力に戦いを挑んだ者たちがいた。蓮田兵衛、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史にただ一度だけその名を留める男。彼の元に結集した「アウトロー=無頼」たちの知られざる闘いをドラマチックに描いた作品。原作は垣根涼介の「室町無頼」(新潮文庫刊)、配給は東映。
企画段階から8年もの歳月を経て公開を迎えた今作の舞台挨拶は、今年7月の閉館が発表されたばかりの丸の内TOEIで実施され、その模様は全国の劇場でライブビューイング中継も行なわれた。
主人公・蓮田を演じた大泉は「いよいよ初日を迎えまして、今日から『室町無頼』が始まっていきます。今日はライブビューイングも繋がっているということで、是非全国の映画館の皆さんで、徒党を組んで一揆していただければと思います!」と挨拶。
骨皮道賢役の堤は「最初に話をいただいたのは何年も前で、コロナで頓挫することもあった中で、ここまでたどり着けたのは奇跡的なことです。これから楽しんでください」、才蔵役の長尾は「今日こうして公開を迎えられて嬉しいです! よろしくお願いします」、芳王子役の松本は「ようやく初日ということで、皆さんの前に立ててとても幸せです」、そして入江監督は「今年の7月に約65年の歴史に幕を下ろす丸の内TOEIで最後に上映される時代劇が本作ということで大変光栄です。これから観ていただく方から、もう一度時代劇の熱を盛り上げていただければと思います」と、それぞれ笑顔で挨拶した。
企画が動き出してから、コロナ禍も経て約8年越しの映画公開となる本作。大泉は「一度はできないと言われて本当に残念に思って、別の現場で堤さんと会った時にも残念がっていました」と、当時から思い入れが強い作品だったと明かし、「その後プロデューサーに『なんとかできませんか!』とお願いしてどうにかできたので、公開は僕のおかげです(笑)」と、笑わせながらも、「もっと早くできていればここまで私と堤さんが(殺陣のアクションで)ボロボロにならずにすんだけど、ただ、そうなると長尾くんがあまりにも若過ぎるということで……。やっぱり、この布陣が揃うのを待っていたのでしょう!」と、満を持して公開が実現した作品に胸を張った。
本作の注目ポイントにについて話が進むと、堤は激しい殺陣や心動かすキャラクター達の人間関係について、松本は柄本明演じる唐崎の老人が、一瞬誰かわからないほどの役作りを見どころにあげる中、長尾は「この作品はアクションを注目してくださっている方も多いと思いますし、大泉さん演じる兵衛と才蔵の師弟関係にも注目してほしいです」とコメント。
撮影現場での“師弟関係”についても聞かれると、「現場では厳しく鍛えてました。親指だけで腕立て伏せをさせたり、最終的には人差し指で逆立ちしてましたから」とボケる大泉。すると、堤がすかさず「ジャッキー・チェンじゃないんだから!」と鋭いツッコミを飛ばし会場を笑わせる一幕も。
また、入江監督は「これだけ大勢の人が画面に映っている映画ってなかなかない。撮影所から宿泊施設に戻る途中でも『撮影に参加しました』というエキストラの方によく声をかけられました」と、撮影の規模について話すと、大泉は「京都市の人はほとんどでてるんじゃないかな。絶対観たほうがいいですよ」とまたしてもボケて、ライブビューイングで見ているであろう京都のファンにも語り掛けて笑い誘った。
そんな大泉は「あまりの迫力に観終わった後に放心状態になりました。風を起こすためにセリフが聞こえないほど扇風機を回していて、聞こえてるつもりでセリフを言っている場面もあるんですけど、柄本さんだけ『聞こえなきゃ成立しない!』と実際に叫んでるんですよね(笑)。その叫んでいるのに役が成立してるというところをぜひ見てほしいです」と、意外な撮影の裏側を明かした。
続いて、腐りきった世の中を変えるため巨大な権力に挑み、起死回生の「大逆転」を狙う登場人物たちにちなみ、「これまで大逆転したこと」や「これから大逆転したいこと」をフリップで発表することに。トップバッターの入江監督は、学生時代の厳しかった部活動を振り返り『暗黒の剣道部』と書き、「あのつらい経験は人生の何の役に立つのか今までわからなかったんですけど、この『室町無頼』ではじめて、殺陣のシーンの刀の構などを見る時に役に立って、ついに逆転しました」と、つらい学生時代の経験が本作の撮影に生きたことを明かした。
松本は『蚊』と書き、「去年の夏はあらゆる蚊よけ対策をしたのに、めちゃくちゃ刺されて……。今年は絶対刺されないようにしたいです!」と、今年の逆転を宣言。続いて長尾は『大泉さんといろいろ逆転してみたい!』と掲げ、「大泉さんは北海道出身で、僕は大阪出身。(中身を“逆転”して)大阪で生まれた大泉さんがどれくらい喋るのか見てみたいし、めっちゃアイドルしてる大泉さんも見てみたい!」と大泉に投げかけると、「つまり私が“なにわ男子”に入って、あなたかが“チームナックス”に入ると。」と大泉。「なにわ男子入ったらすごい嬉しい。『大泉君』て呼ばれたいな」と、大泉もまんざらでもない様子で、「いつか是非コラボしたいですね」と、夢の約束を交わした。
堤は『結婚』と書き、「まわりのみんなに結婚すると思われてなかった中で、まさかの結婚で。まさに大逆転です」と、幸せな家族との話と共に微笑ましいトーク。最後の大泉は『長尾謙杜に勝つ!』と記し、「『室町無頼』の評判をエゴサーチするとね、“長尾謙杜がかっこよかった”という評判が多いんですよ!」と、SNSでの評判にツッコミ。「今年は長尾くんに勝つくらい『大泉洋かわいい! かっこいい!』と言われたい!」と、長尾をライバル視して意気込んだ。
舞台挨拶では、全国342のスクリーンでライブビューイングにて参加した観客からもリアルタイムで質問を募集。エキストラとして撮影に参加したというファンから堤へ寄せられた、『現場では本物の炎のついた松明を使ったことにビックリしました。堤さんが現場で“ほんとにやるの?”とビックリしたエピソードは?』という質問には、「台本上はなかった洋ちゃんとの一騎打ちが実現して大変でした。稽古して、腰痛めて……」と、監督からの無茶ぶりに苦労しながら実現した、大泉演じる兵衛と堤演じる道賢の見せ場のシーンを上げた。
キャスト陣のアクションに関する質問には、入江監督から殺陣などを指導するアクション監督との現場でのやり取りが明かされ、「大泉さんの初日の殺陣の時に『監督、これワンカットで行けますよ!』と言われて」と、練習の段階では殺陣に苦労していた大泉の上達ぶりが撮影を止めずともシーンが成り立つほどだったことに驚かされたとし、大泉も「終わった後に『よくここまで頑張った!』と、その方泣いてくれたんですよ」と、現場の殺陣師を感動させるほど、剣術の達人・蓮田兵衛を仕上げ切ったことを印象付けた。
イベントの最後に大泉は、「最初に監督が言ったように、この丸の内TOEIで上映される時代劇としては最後ということで」と感慨深い様子で語りながら、「時代劇でしか表現できないことがあります。この作品でも、現代ではありえない“こんなことで人が死んでしまうのか”とか、時代劇ならではの人間の憤りや熱い魂が描かれています。そんな中で、民衆の力で世の中を動かしていく部分は、現代にも通じる大変痛快なものがある映画です」と、時代劇である本作の持つメッセージをアピール。
そして、「改めて、“一揆”というものが流行ってもいいのにね。夕方のニュースとかで、『何百年ぶりに“一揆”が起こりました』とか(笑)。この映画を観て、仲間と“一揆”しようじゃありませんか!(笑)」と、最後まで会場と全国の劇場を笑いで包み、大盛況となった舞台挨拶を締めくくった。