パイオニア、2008年度通期純損失は1,305億円

-2009年度も純損失830億円を予想


2008年通期業績

5月13日発表


 パイオニア株式会社は13日、2008年度連結決算を発表した。売上高は前年比27.8%減の5,588億3,700万円、営業損失は545億2,900万円、純損失は1,305億2,900万円と大幅な赤字決算となった。

営業利益の増減要因

 売上高の減少については、世界的な消費の冷え込みや円高の影響などにより、カーオーディオやプラズマディスプレイ、DVDドライブの売上減が影響。営業損益は売上の減少とともに原価率の悪化により、損失が拡大。純損失拡大の要因は、加えて構造改革費用や投資有価証券評価損の計上など。

 ホームエレクトロニクスの営業収入は、前期に比べ36.5%減収の2,092億5,700万円でプラズマテレビやDVDドライブの売上減少が影響。ホームエレクトロニクスの売上全体に占めるディスプレイの構成比は前期の約40%から約38%に減少した。ホームエレクトロニクス事業の営業損失は386億2,200万円(前期は179億2,100万円)。

 カーエレクトロニクスの売上高は、前期比22%減の2,917億400万円。前期は261億の営業利益を上げていたが、今期は営業損失123億370万円と赤字になっている。

 世界的な自動車販売不振の影響もあり、ナビ、オーディオともに売上が減少した。カーナビについては市販市場向けが北米や国内、欧州で減少。OEMは北米で減少したが、国内や中国で増加して増収となったという。カーオーディオは市販市場向けが主に海外で減少、OEMも国内や北米の売り上げが減ったという。カーエレクトロニクス全体の売上に占めるOEMの売上構成比は約41%で、前年の約39%から拡大している。

 その他の事業部門では、電子部品や携帯電話用スピーカー、FA機器、有機ELの売上が減少し、売上高は前期比で18.6%減収の578億7,600万円となった。営業損益は33億7,700万円の損失となった。

ホームエレクトロニクス事業の概要カーエレクトロニクス事業の概要その他事業の概要

 同社では、損益改善に向けて構造改革に取り組んでおり、カーエレクトロニクス事業を中核事業に位置付け、経営資源を集中する。三菱電機とカーナビゲーションシステムとカーAV製品における共同開発で合意しているほか、中国での事業拡大に向けた現地合弁会社の設立などを予定している。

2009年度通期業績予想

 ホームエレクトロニクス事業では、ホームAV、DJ、CATVを3つの中心として展開。ディスプレイ事業は2009年度中のプラズマテレビ販売から完全撤退する。また、光ディスク事業についてはシャープとの合弁を計画しており、10月1日までの合弁会社設立予定している。

 2009年度の通期連結業績予想は、売上高が前期比24.8%減の4,200億円、営業損失は215億円改善の330億円、純損失は約470億円改善の830億円を見込んでいる。想定為替レートは1ドル90円、1ユーロ115円。



(2009年 5月 13日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]