AQUOS向けヤフーの動画配信が27日より開始

-DS6シリーズで視聴可能。使いやすさと情報連携を両立


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5月27日サービス開始

料金:無料


 ヤフー株式会社は、フルハイビジョンテレビ向けのインターネットサービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS」において、動画配信サービス「動画チャンネル」を5月27日より開始する。同日に、都内でサービス内容の記者説明会を行なった。

 このサービスでは、テレビ向けに最適化された「オフィシャルチャンネル Powered by Yahoo! 動画」の動画を中心に、お笑い、音楽、アニメ、映画予告編など3,000本以上の動画を無料でストリーミング配信。コンテンツは随時追加/更新される。会員登録は不要。

 サービス開始時点で、利用できるテレビはシャープの「AQUOS DS6シリーズ」のみ。なお、この製品の発売日は6月10日だが、「一部店舗では出荷されている」(シャープ)ため、5月27日のサービス開始となっている。

 特徴は、「テレビ視聴の受動性と、インターネットによる情報検索などの能動性をあわせ持つ」点。コンテンツは「おすすめ」や「新着」など5つの再生リストと、その中の「カテゴリ」に含まれるニュース/スポーツ/映画/ドラマなど12のカテゴリから選んで再生する方式。再生している動画に関する情報や、他の動画のサムネイルを再生画面と同時に表示できる。

 配信タイトルは、吉本興業の「よしもと見ホーダイ」や、BS朝日のドラマ「7万人探偵 ニトベ」のほか、新作映画の予告編など約3,000本以上をラインナップ。動画の解像度は公開していないが「HD品質」の作品も含まれる。映像のフォーマットはMPEG-4 AVC/H.264。通信環境は6Mbps以上を推奨している。なお、ダウンロードサービスについては未定。

再生リストやカテゴリから動画を選んで再生する配信コンテンツの例動画と情報の連携が特徴
R&D統括本部フロントエンド開発本部 EW開発部ディレクション4リーダーの菅泉尚史氏

 サービスのコンセプトについて、ヤフーのR&D統括本部フロントエンド開発本部 EW開発部ディレクション4リーダーの菅泉尚史氏は「ネット動画の“テレビらしい使いやすさ”と“新しい使い方”を提案する」と説明。

 “テレビらしい使いやすさ”については、サービスに入るとすぐに動画再生を開始することや、動画を見ながら他の動画を簡単に探せること、テキストなどの情報を画面下部または右側に表示する2つの表示モードを備えていることをアピール。使い勝手の面でも、前述した5つの「再生リスト」と、12のカテゴリにより、誰でも分かりやすく検索できるという。


再生画面。全画面表示も可能リモコンのカラーボタンで再生リストなどのメニューを呼び出せる映画予告編から、映画の作品情報を表示
※動画部分はモザイク処理しています

 “新しい使い方”では、映画の予告編再生時に、上映館のタイムスケジュールを表示できることや、視聴している番組の携帯電話向け配信サイトへのQRコードを表示するといった関連情報との連携が特徴となっている。

 菅泉氏は、「ネット動画をテレビで見る」というサービスへの考え方について、「CGMやコンテンツ数、有料/無料、広告の有無など様々な論点があるが、多くの人に長く使って頂くサービスとしてまず考えるべきなのは『使いやすさ』や『新しい楽しさの提案』」とした。

 今後のサービス展開としては、PC向けサービスを、よりテレビに適した見せ方にするといったUIの改良を予定。また、CMなどで見られる「続きはWEBで」の受け皿としての機能も検討しているとのことで、「パソコンを立ち上げなくても、番組に関連した情報がすぐ表示できる環境を実現したい」とした。なお、キーワード入力での動画検索には対応しないが、レコメンデーションなどを含め検索方法については多方面から検討を進めているという。


よしもとの動画視聴時に、ケータイ向けの配信サイトへのQRコードを表示動画の関連情報として、静止画のスライドショー再生も
映画予告編から、上映スケジュールを検索テレビ向けサービスの今後の計画

■ 早期の100万台突破が目標

 ヤフーのR&D統括本部プラットフォーム開発本部EW開発部の坂東浩之部長は、新サービスの開始経緯について「従来は、IP動画を見られるテレビが少ない、ブロードバンド環境が整っていないという状況だったが、シャープさんが最も売れているというDSシリーズで動画対応の環境を整えてくれたので、Yahoo! JAPANとしてもとしても初のテレビ向け動画サービスを展開できる」とした。

 ユーザー数の目標は、「ユニークデバイス数100万台を早期にクリアしたい」(R&D統括本部 フロントエンド開発本部 EW開発部 部長の村上臣氏)。ビジネスモデルについては「公表できる段階ではない。まずは市場に提案して、広げていきたい」としている。

坂東浩之氏村上臣氏

 発表会には、シャープ研究開発本部の松本融氏も出席。Yahoo! JAPAN for AQUOS 動画チャンネルを支える技術として、AQUOS DS6に搭載された新「Exシステム」を紹介した。

シャープの松本融氏

 松本氏はExシステムについて、「携帯電話に例えると、基本的なブラウザと、Javaなどのアプリのうち、Exシステムはアプリに相当するプラットフォーム」と説明。

 続けて「テレビ向けのネットサービスはまだ1つも成功事例がでていない分野だと考えているが、PC、携帯電話に続く3つ目のプラットフォームとして、テレビがネットにつながることで新しい世界が作られる。Exシステムは、幅広い年代層に対して家電的なサービスを提供するために必要と考えた」と述べた。

 2006年のGX1/2シリーズより搭載されてきたExシステムは、これまでフルHDの静止画表示や、スライドショー、BGM再生などの機能をテレビ向けに最適化してきた。DS6シリーズの新Exシステムでは、動画向けの最適化も行なったことで、「テレビの本流である動画と、情報系を充実させ、家電型のインターネットサービスを展開できるプラットフォームができた」という。

 具体的な特徴としては、半透過のオーバーレイによる情報表示などのUI/デザイン面と、ハードウェアデコードや動画/静止画のシームレスな切り替えなどのアクセス性/高速実行性、数字ボタンでのダイレクト選択など家電的な操作設計の3つを柱とし、動画や文字情報などのデータをテレビで快適に利用することを追求している。

 松本氏は「我々は家電メーカーなので、家電ユーザーに対して提供できることを重視している。ヤフーさんは先端的なネットの技術で、様々なサービスを提供できる会社。話し合いの中で、シャープのエンジニアは『テレビはこういうUIでなければ』と提案し、ヤフーさんは『ネットだからこういう新しいことができる』と互いに切磋琢磨したことで、新しいアイディアをサービスとして具体化できた」と自信を見せた。

Exシステムのこれまでの進化Exシステムの特徴Exシステムで「家電型インターネットサービス」の普及を目指す

(2009年 5月 26日)

[AV Watch編集部 中林暁]