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フォステクスやFitEarから新ヘッドフォン。インドからユニークな静電型ヘッドフォン上陸
2025年4月26日 17:48
フジヤエービック主催「春のヘッドフォン祭 2025」が26日に「ステーションコンファレンス東京」で開催されている。入場者登録不要・入場は無料。多数の企業などが新製品や開発中製品の参考出品を行なっている。ここでは、フォステクスやMeze Audio、NUARLなどのブースをレポートする。
フォステクス
フォステクスブースでは、4月下旬に発売する、第4世代に進化した全面駆動型平面振動板のRPドライバーを採用したヘッドフォン「T60RPmk2」を多数展示中。価格はオープンで、市場想定価格は64,350円前後。
フォステクスが独自に開発し、自社で製造する全面駆動型平面振動板ドライバーの第4世代RPドライバーを、黒胡桃無垢材のハウジングに搭載したモデル。ハウジングはセミオープン。黒胡桃無垢材から削り出しており、美しい木目と天然の質感が楽しめるのだが、1台1台、木目が違うことを見てもらうために、多数展示しているという。
第4世代のRPドライバーは、平面振動板の振動領域の拡大と均一化のため、振動板を挟み込むマグネットを増量し、プリンテッドコイルのパターン形状を新設計。さらに磁気回路の構成部品も一新し、磁束分布を最適化することで、振動板の不要共振を低減。これにより、鋭いレスポンスでの音の立上がりと立下がりを実現している。
さらに、2つの試作ヘッドフォンも参考展示。
1つは、T60RPmk2は木のハウジングでセミオープンだが、これを密閉にしたモデル。もう1つは、木のハウジングではない、第4世代RPドライバー搭載のセミオープン型「T50RPmk4」のハウジングを密閉にしたモデル。
木のハウジングの密閉型は、リスニング用として開発。樹脂ハウジングの密閉型は、モニターヘッドフォンとして開発されており、どちらも第4世代RPドライバー搭載だが、用途に合わせてサウンドはチューニングされているという。
NUARL
NUARLのブースでは、完全ワイヤレスイヤフォン「NUARL Inovatör 2x2 Sound Truly Wireless Earbuds」の、新たな限定カラー「Burgundy Red(バーガンディー・レッド)」を展示。5月23日発売で、全世界で200セットの限定生産となる。価格は82,500円。
新カラーのBurgundy Redは、「王のワイン」として知られるフランス・ブルゴーニュ地方の赤ワインの色からインスパイアされた濃い赤色になっている。
Inovatörは使用者の聴覚特性に合わせた音質補正など多彩な機能を備えるほか、超高域再生を実現する次世代ドライバーのMEMSスピーカーと、ダイナミックのデュアルドライバーに独自の「2x2 Soundテクノロジー」を組み合わせているのが特徴。
筐体は3Dプリントで作られ、職人が1つ1つハンドメイド仕上げを施して作られており、同じ模様は世に2つとない。「単なる音響機器の枠に留まらない物として所有する価値をも提供している」という。
さらに、有線イヤフォンの新モデルとして開発中「X092 Revision3(仮称)」も参考出品。発売日や価格は未定。
「NX1」の後継となる、ダイナミック型ドライバー×1基のイヤフォンが、2ピンのリケーブル対応になったもの。NUARL有線イヤフォン共通のノズル交換にも対応しており、ユーザーがノズルを交換する事で、臨場感や帯域バランスが調整できる。
FitEar
FitEarブースでは、現在開発中のヘッドフォン「Monitor-1 Studio Reference」を初公開。
同社は、FitEarのカスタムIEM「MH334」と音の整合性がとれるヘッドフォンとして「Monitor-1」を開発。MH334の音質バランスに加え、ステージやレコーディングなど周囲の音圧が高い環境での運用を前提として開発し、現在は業務用製品として展開している。
一方で、イヤフォンのMH334には、音楽製作といったステージより抑制された音圧環境下において、よりレンジを拡大したサウンドバランスへのニーズに対応するモデルとして、「Studio Reference」が開発されている。
Monitor-1でもこの使用条件の違いを想定し、耐入力性を最重要項目とした通常のMonitor-1に対し、フラットネスとワイドレンジの両立を主眼とした開発されたのが、今回登場した「Monitor-1 Studio Reference(SR)」となる。
展示されたプロトタイプは、Monitor-1 SRを音楽鑑賞用としても使うため、ケーブルを左右両出しとし、プラグも4.4mmバランス接続としている。
Meze Audio/Warwick Acoustics
Meze Audioのブースでは、発売されたばかりの開放型ヘッドフォン「POET」を聴くことができる。
フラッグシップモデルに搭載された最先端の振動板技術を継承したという平面磁界型ドライバー搭載の開放型ヘッドフォンで、価格は330,000円。
Meze AudioとRINAROが8年以上の歳月をかけて共同開発した平面磁界ドライバー「RINARO MZ6 Isodynamic Hybrid Arrayドライバー」を搭載。既存モデルの「LIRIC」で採用したMZ4ドライバー、フラッグシップ「ELITE」で採用したMZ3SEドライバーの技術を融合させた最新設計。
ドライバー上部には低音再生に特化した「スイッチバックコイル」、耳道直上には中高音再生で性能を発揮する「スパイラルコイル」を搭載。ふたつのコイルが連携することで、低音から高音まで全帯域で歪みのないクリアで正確なサウンドを実現している。
その他
タイムロードのブースでは、LakePeopleのViolectricシリーズ新ヘッドフォンアンプ「HPA V324」が登場。5月20日受注開始で、価格は605,000円。
4つのパワーステージ、バランスとアンバランスの2つの入力、背面にバランスとアンバランス出力とプリアンプ機能を備えたピュア・バランス・ヘッドフォンアンプ。前面には、この製品のために新たに作られた入力レベル表示用のVUメーターも備えている。ブリゲインは前面で調整可能、ボリュームは赤外線リモコンで操作可能。
Questyleのブースでは、DAC内蔵の小型ヘッドフォンアンプ「M18i」が注目を集めている。5月ころの発売予定で、価格は未定だが55,000円前後のイメージだという。
独自技術の「電流伝導アンプテクノロジー」を搭載するほか、ESSのDAC「ES9219Q」をデュアルで搭載。USB DACとして機能するほか、Bluetoothレシーバー機能も備えているのが特徴。
「QCC Dongle PRO」も5月頃の発売を予定。USB-C接続のBluetoothトランスミッターで、Qualcommの最新Snapdragon Sound技術を搭載。aptX、aptX HD、aptX Adaptive、LE Audio、LDACなど、幅広いコーデックに対応する。価格は9,900円程になる予定。
さらに「NHB15」というイヤフォンも登場。ダイナミックドライバーを搭載したイヤフォン。ステレオミニのケーブルに加え、DACアンプを備えたUSB-Cケーブルもセットになっており、価格は未定だが、32,000円程度のイメージだという。
Kaldas Researchというインドのブランドも登場。静電型のヘッドフォンで、500ドルと手頃な価格の「RR1」というモデルと、同じく静電型で、ハウジングが密閉型の「INOX」(日本での価格は27万円程度のイメージ)、開放型で初披露という「Olympia」(同15万円程度のイメージ)の3モデルが展示されていた。いずれも駆動するアンプは別売。
いずれも凝った造形が特徴で、特にRR1はハウジング部分に、内部を通るケーブルの一部が見えているのがユニーク。INOXも、静電型ながら密閉型というユニークなヘッドフォンとなっている。